美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

#82

 空に獣王が飛んでくのが見える。やっぱり打って出るか。予定通りだけど……アイツがどれだけやれるかは正直分からない。けど前獣王の装備と武器を持ってるし、獣王の名に恥じない戦いはしてくれるだろう。


「人の国に合図送っとこうか? パイロット達の準備もしないとね」


 タイミングが重要だ。人種にはあまり被害は出せないが、全く……とは流石にいかない。けど早くこの戦いに参戦しすぎると、今以上の混戦になるだろう。それは困る。アンティカはあるけど、直ぐにあいつら開放するのも問題。最初に潰し合うのはライザップとガロンであるべき。人の国は漁夫の利を得るのである。獣王となったラペラントは怒涛の勢いで飛空艇を落としていってる。
 そんな姿に避難を開始した獣人達が沸き立ち始めてる。


「呑気な者ね」


 アイツに向けての声援が返ってくる事は無いのにね。まあだけど、誇りは守ってくれるよ。取り戻すと言った方が正しいかも知れないけど。そんな事を言ってると、大きな振動が地面から伝わってきた。そして何やら蛇が何処かと通信してたと思ったら言ってたきた。


「どうやら門が破られたようですね。地上でも戦いが始まりますよ」


 取り敢えず地上部隊はまだ健在だろうし、そっちは頑張って貰おう。てかあいつらはまだ私を諦めてないと思うんだよね? ラジエルが最低なやつなら、私を誘き出す為にうさぎっ子を使う? だって攻めるのはかなり難しいだろう。混戦するだろうし、私だけを目掛けてなんて既に不可能。それなら私が出て来る様に仕向けた方が絶対にいい。
 うさぎっ子は自分の価値をわかってるだろう。


「取り敢えず今のこの国で人種は危険だし、一応生体兵器の人達を保護しに行きましょう」


 敵だけじゃなく、獣人達もなにやるかわかったものじゃない。追い詰められると、不足の事態とは起こり得るものだ。私はチート持ちだけど、なんでも出来る訳じゃないからね。今は何回かは魔法と呼べるかは分からない物が使える。けど、私自身が自身に科した枷は完璧ではないっぽい。そもそも流れてくる力が強大なんだ。それを調整するとなると更に強い力が必要になる。壁はよゃ強固に……けど、私の力の大部分はゼル側だからね。どう有っても流れてくる方が大きくなる。
 でも幾つかの段階を設けて隔てる事はできてる。けどそれも力を使う度にほころぶ。だけど、それも考えようだ。一回だった力の行使が複数回になっただけでも大きいし、更には普通は消耗してく所で強力になってくんだからね。
 上手く出来れば私は最強だね。


 私達は細い路地を通って生体兵器収容所に向かう。あそこは首都の端の方にあるし、まだ敵もそこまでは来てないはず。でも中央にある宮殿から収容所までは結構ある。本当なら馬車とか使いたい所だけど、ラジエルの奴が避難も何もせずにおっぱじめたせいで獣人達が溢れてるんだよね。避難誘導はしてるようだけど、さっきまでは混乱、そして今は興奮が市民を包んで避難もままなってないってゆうね。
 馬車が通れる場所はない。だから走るしかない。取り敢えずアンティカがある空挺は目立たない様にしとくようにとは言っといた。下手に動いて市民にバレると何されるかわかんないわよってね脅しもいれてね。


 だからネジマキ博士も無茶はしないだろう。一応空挺を操ってた部下たちは置いてきたしね。


「そういえば亜子は? 無事だった?」
「あの赤いアンティカのパイロットなら回収しました。空挺に居るはずです」


 あの娘はまだ混乱してるだろうし、無茶は多分しない。そう思う。グルダフを先頭に私達は進む。そして目的の場所に着くとそこにはカメレオンが居た。


「なにかありましたか?」


 そんな蛇の言葉にカメレオンは淡々と答える。


「幻獣種が人種をさらって行きました」
「は!?」


 やられた、まさかあのまま消えてここに来たとは……盲点だった。逃げたとばかりおもってたけど、そうじゃなかったのか……


「なんで止めないのよ」
「止めれる訳がない。我は勝てない戦いしない」


 流石は影。不確定な事はしないと……確かに下手にカメレオンが手を出してもどうにもできなかったと思うけど。取り敢えず何か残してる筈だろう。ラジエルは私を倒したいんだからね。ここの人達を攫ってったのもそれが目的の筈。


「奴等なにか残してなかった?」
「これを」


 私の言葉にカメレオンは直ぐに紙を出してきた。それを見るとなにかよくわからない数字が書いてあった。


「なにこれ?」
「座標ですよ。つまりはこの座標に来いということでしょう」
「なるほど」
「ですがこれは……」


 蛇はなにか苦い顔してる。どうしたの? 場所がわかってるのならさっさと行くだけだ。生体兵器の人達もアンティカのパイロット達も殺させる訳にはいかない。点数稼ぎの為にもね。


「ラーゼ、この場所は敵陣のど真ん中です」
「へぇー」


 私はそう返した。それだけだ。実際意外ではある。もっとひと目につかない所を指定するかと思ったんだけどね。それに私達が進軍すると、ガロンにも多大な被害出そうだけど……いいのだろうか? ガロンとは協力してるんじゃない? 分からないけど、悩むなんて私の性にはあってない。待ってるのなら、行くだけ。壁があるなら、壊すだけ。


「行くわよ」


 迷いなんてない。私達は戦場の只中に向かって進む。

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