美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
#76
「ハァハァハァハァ……」
そうやって肩で息をするラジエル。さっきから彼は必死に私へと攻撃を仕掛けて来るけど、それらが私にダメージへとなることはない。悲しいかな……チートと言うものは。まあこっちからも何も出来ないんだけどね。今の私には小さな攻撃手段が出来たけど、武術の心得なんかないから、かなり有利な状況じゃないと出せない。それか密着してる状態? 私のこの美貌があれば、良い顔してちかづいてザクッ……一回くらいやってみたい。
「どうしたの? もう終わり?」
私はそう言いながらも周りに警戒する。居るんだけどね……手を出してこない。何やってるのか気になる。私が反撃しないから向こうも何もしないのか……それともまだ分析中?
「なんでそんなに硬い……」
「酷いわね。私が硬い訳無いでしょ? こんなにやわっこいのに」
自分の頬を指で押し込んで柔らかさアピールする。私はこの通りめちゃくちゃやわらかいから。溶けて落ちないのが不思議なくらいだよ。そんな私を硬いとは……ラジエルの目は節穴だね。
「じゃあ、何故切れない!」
「それはほら……ラジエルの腕が鈍らだからでしょ」
まあ、私を切れる名刀があるかはしらないけど。取り敢えず腕も物も、ラジエルは足りてない。それは絶対だ。
「それなら、これはどうでしょう?」
そんな優しい声が聞こえた瞬間、私は壁に激突してた。
「かはっ!?」
一体何が? てかよく壁をぶち破らなかった。
「アルクシス殿、まだ俺はやれます!」
「そうですね。けど、貴方ではその怪物は殺せません」
私はその見えない奴に視線を向ける。蛇目じゃ、居ることはわかっても容姿までは見えないんだよね。さっさと出てきてほしい。派手にふっとばされたけど、ダメージは背中をぶつけた程度。無いに等しい。
「酷いじゃない。ラジエル、アンタって卑怯だったのね」
「君に言われたくはない! それにわかってたんだ。俺では君は倒せないと。だがそれでも他人に任せるだけにしたくなかった」
「そう、だから我儘はここまで。後は私が相手をしましょう」
その言葉の後にようやくその声の主が姿を表す。それは額に一本の角を生やした美女。栗色のショートヘアで着てるものは白いワンピ一枚。戦場には不具合なその格好で彼女は現れた。
「誰よアンタ?」
「名乗るほどの者ではありません。それにこの角を見てわからないのであれば、頭が足りないか、それかもっと何か特殊な事情があるのでしょう」
特殊な事情ね……そこでこのお姉さんの瞳が鋭くなった気がした。頭が足りないとは思われてないらしい、よかった。変な所でホッとしてると、いきなりズドン! と何かがきた。何かがね。なんか私と一角お姉さん以外が床に這いつくばってる。そういう趣味だったの?
「何やってるの?」
「うっ……ぎ……我々が潰れ……ます! 御慈悲を!」
ラジエルが必死に声を出してそういうとなにやら感じてた圧はなくなった。全くみんなして私を担ぐ気? その手には乗らないよ。
「効かないみたいですね。しかも自覚もないようですし、これはやはりあの手で行きましょう」
そういったお姉さんはその角を強く光らせる。まさかもう必殺技? ちょっと早すぎじゃない? そう思うも、お姉さんの角の光は強まっていき、目を開けてられない程になった。
(実はただの目くらましとか言わないよね?)
まあ物理攻撃は大抵弾けるから大丈夫だとは思うけど。そんな心配してたけど、目を再び開けるまで何もなかった。けど目を開けると何かが起きたという事は確実に分かった。見える風景に違いはない。お姉さんとラジエル、そして複数のまだ姿を表してない奴等。でも違和感は確かにある。何かがさっきまでとは違う。外じゃない……中? 私?
(え?)
私は自身の胸に手を置いた。そしてその違和感を確信した。
(ゼルの力を感じない……)
それは間違いなく、今までで一番の危機を示してる。冷や汗がどっと吹き出した。
そうやって肩で息をするラジエル。さっきから彼は必死に私へと攻撃を仕掛けて来るけど、それらが私にダメージへとなることはない。悲しいかな……チートと言うものは。まあこっちからも何も出来ないんだけどね。今の私には小さな攻撃手段が出来たけど、武術の心得なんかないから、かなり有利な状況じゃないと出せない。それか密着してる状態? 私のこの美貌があれば、良い顔してちかづいてザクッ……一回くらいやってみたい。
「どうしたの? もう終わり?」
私はそう言いながらも周りに警戒する。居るんだけどね……手を出してこない。何やってるのか気になる。私が反撃しないから向こうも何もしないのか……それともまだ分析中?
「なんでそんなに硬い……」
「酷いわね。私が硬い訳無いでしょ? こんなにやわっこいのに」
自分の頬を指で押し込んで柔らかさアピールする。私はこの通りめちゃくちゃやわらかいから。溶けて落ちないのが不思議なくらいだよ。そんな私を硬いとは……ラジエルの目は節穴だね。
「じゃあ、何故切れない!」
「それはほら……ラジエルの腕が鈍らだからでしょ」
まあ、私を切れる名刀があるかはしらないけど。取り敢えず腕も物も、ラジエルは足りてない。それは絶対だ。
「それなら、これはどうでしょう?」
そんな優しい声が聞こえた瞬間、私は壁に激突してた。
「かはっ!?」
一体何が? てかよく壁をぶち破らなかった。
「アルクシス殿、まだ俺はやれます!」
「そうですね。けど、貴方ではその怪物は殺せません」
私はその見えない奴に視線を向ける。蛇目じゃ、居ることはわかっても容姿までは見えないんだよね。さっさと出てきてほしい。派手にふっとばされたけど、ダメージは背中をぶつけた程度。無いに等しい。
「酷いじゃない。ラジエル、アンタって卑怯だったのね」
「君に言われたくはない! それにわかってたんだ。俺では君は倒せないと。だがそれでも他人に任せるだけにしたくなかった」
「そう、だから我儘はここまで。後は私が相手をしましょう」
その言葉の後にようやくその声の主が姿を表す。それは額に一本の角を生やした美女。栗色のショートヘアで着てるものは白いワンピ一枚。戦場には不具合なその格好で彼女は現れた。
「誰よアンタ?」
「名乗るほどの者ではありません。それにこの角を見てわからないのであれば、頭が足りないか、それかもっと何か特殊な事情があるのでしょう」
特殊な事情ね……そこでこのお姉さんの瞳が鋭くなった気がした。頭が足りないとは思われてないらしい、よかった。変な所でホッとしてると、いきなりズドン! と何かがきた。何かがね。なんか私と一角お姉さん以外が床に這いつくばってる。そういう趣味だったの?
「何やってるの?」
「うっ……ぎ……我々が潰れ……ます! 御慈悲を!」
ラジエルが必死に声を出してそういうとなにやら感じてた圧はなくなった。全くみんなして私を担ぐ気? その手には乗らないよ。
「効かないみたいですね。しかも自覚もないようですし、これはやはりあの手で行きましょう」
そういったお姉さんはその角を強く光らせる。まさかもう必殺技? ちょっと早すぎじゃない? そう思うも、お姉さんの角の光は強まっていき、目を開けてられない程になった。
(実はただの目くらましとか言わないよね?)
まあ物理攻撃は大抵弾けるから大丈夫だとは思うけど。そんな心配してたけど、目を再び開けるまで何もなかった。けど目を開けると何かが起きたという事は確実に分かった。見える風景に違いはない。お姉さんとラジエル、そして複数のまだ姿を表してない奴等。でも違和感は確かにある。何かがさっきまでとは違う。外じゃない……中? 私?
(え?)
私は自身の胸に手を置いた。そしてその違和感を確信した。
(ゼルの力を感じない……)
それは間違いなく、今までで一番の危機を示してる。冷や汗がどっと吹き出した。
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