ジジイのファンタジイ

生明死暗

第6話 わしは有名になったんじゃぁ!

「ほあっ、てやぁっ!」
わしは今、イツバ山でゴブリンの群れを討伐するクエストを行っていた。
迫りくるゴブリンの攻撃をひょいっと避け、相手が隙を見せたら斬る、それを何度も何度も繰り返す。


「ふぅ」
数分後には、立っているゴブリンは一体もいなくなっていた。
「今回も楽勝じゃったなぁ」
こんなにも俺TUEEEEしていいのかと逆に不安になるわい。


「ジジイ! あんた、一人で張り切りすぎよ! 私たち、ほとんどなにもしていないじゃない!」
ミルキィがぶつくさ文句を言いながら、こちらに駆け寄ってくる。
活躍したらしたでなにかとうるさいやつじゃ。


「おじさま! 今日もかっこよかったです!」
「ぬほほぉ」
マーヤがいつものように抱きついてくる。
相変わらずマーヤの胸は素晴らしいのぉ……。


「鼻の下伸ばしてんじゃないわよ、エロジジイ!」
「あいてっ!」
ミルキィに尻をげしっと蹴られる。
ぐぬぅ、ミルキィもいつも通りの見事な蹴りじゃのぉ。
格闘家の才能もあるんじゃないか?


「たくっ、ギルドまで戻って報酬もらいに行くわよ」
地面を強く踏んで歩きだすミルキィ。
「あ、待ってくださーい!」
ミルキィを追いかけるマーヤ。


「ちょ、そんなに速く歩くな! わしの体力を考えてくれ……ぜえぜえ」
息を切らしながら、わしは二人に必死についていった。


*


王国に戻り、冒険者ギルドに向かって歩いている途中、
「お、おい、見ろよ、あいつ」
「あれがうわさの……」
「あんなジジイが? うそだろ?」
「とても強そうには見えないだろ、でも若者顔負けの動きをするらしいぞ……体力はゴミだけど」
通りすがる人々がわしを見て、なにやらひそひそと話していた。


むふふ、わしも有名になったな……。最近クエストをこなしまくっているからのぉ。
「調子に乗んな、ジジイ」
ミルキィにすねを蹴られる。

「いでっ、おまえなぁ、もうちょっと年寄りを労らんか……」
「ふん」
そっぽを向くミルキィ。
むぅ、ツンツン状態が長いのぉ……。


「でも、おじさまは本当にすごいですよね……おじさまが仲間になってくれてから、戦闘がかなり楽になりました。ねぇ、ミルキィ」
「まぁ……そうね、認めたくないけど」
「むふ、むふふふ」
「キモい、笑うな」
「ぐげっ」


ミルキィがまた蹴ってきた。
いでで……今日だけでかなり蹴られてるぞ……。ミルキィのやつ思いっきり蹴りやがって……。


「まったく、マーヤ、あんまりこのジジイを誉めないで、すぐ調子に乗るんだから」
「でも、すごいのは本当ですし……」
「そうだぞ、わしはすごいんだぞ。だからもっとミルキィもわしを誉めるのじゃ」
「ほら……あー、もううざい……」


げんなりとするミルキィ。
マーヤは楽しそうにくすくすと静かに笑っている。


「ところで、明日もなにかクエストを受けないか?」
だいぶわしの名声も高くなったが、まだまだ足りない。
もっともっと有名になって、わしはモテモテジジイになるんじゃ……。
そのためにも、もっとクエストを受けないとな……。


「あ、おじさま、すみません、明日は学校が……」
「私も明日は学校だから、無理よ」
「学校? 二人とも学校に通っていたのか?」
「はい」
マーヤがよく通る声で返事をする。


「へー、どんな学校なんだ?」
異世界の学校……どんな感じなんじゃろ。
興味深いな……。


「冒険者を育成する学校なんですが、私は僧侶科なので、回復魔法の理論やその実技の授業が多いですね」
「私は魔法使いだから、攻撃魔法関連の授業が多いわね」
「ふーん」


冒険者を育成する学校か……行ってみたいな。
くそ、もうちょい若ければな……。また学校生活を味わいたいのぉ。


そうこう話しているうちに、冒険者ギルドの前まで来た。
中に入ろうとすると――


「ちょっといいですか?」
ギルドの扉の横らへんにいた、背の高い美人メイドに声をかけられた。


「なんじゃ?」
「ハヤブサ・リュウコウデンさんですね?」
「そうじゃが……」
「あなたの実力を見込んで、依頼したいことがあります。引き受けてくれますか?」
「依頼? どんな内容じゃ?」
「あなたに、姫を護衛してほしいのです」
「え!?」
「ええーー!?」
マーヤ、次いでミルキィが、わしより先に驚いた。

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