ミッション;神の打倒
4、朝まで?!
名前:カミナ 職業:冒険者
年齢:19
経歴:
・リョートー都で誕生。
・その後12歳までは親元で働く。
・家を出て13歳で冒険者となる。
・18歳で学校へ入学。19歳で中退。
すっかり辺りは真っ暗になっている。
瀬戸は色々なハプニングから食欲がなくなり、夕食は食べられなかった。
    自分の証明書を見ておかしな点に気づく。
「そういや、ここって学校あったのか?あったとしても、この歳で通うものなのか...?」
「受け付け嬢もそんなに経歴不思議そうに見てなかったし、まぁ大丈夫かな。」
そう言って瀬戸は立ち上がる。宿屋を出て夜の街を見るつもりだ。
夜のリョートー都は昼と雰囲気が全く別物だった。まるで廃れた街の将来を明確に表しているようで、人なんてまるでいない。
「夜の街へ来て、危険が孕んでないわけ無いんだけど、俺のアジ(素早さ)ならなんとかなるだろう。っていうか街灯ってどうやって光っているんだ?」
しばらく歩いて宙に浮く街灯に興味を持った瀬戸は跳んでギリギリ近くまで見える高さと見る。
「この高さなら全力でジャンプすれば見えるだろ。引きこもってたから筋力に自身は無いけど、それでも近くで見られる。」
瀬戸は跳ぶ姿勢を取って、ジャンプする。景色が一瞬のうちに無くなる。
「ってぇぇぇ!!跳び過ぎぃぃぃ?!こここれ着地どうするんだよぉぉぉー!!」
カミナが宙に舞う。見えるのは月に輝く立派な王城、そして神秘の光に照らされた夜空。遠くから見た景色というのは、やはりどこでも綺麗なんだと理解した瞬間......
「はぁ.....なんかこれももうなんか慣れてきた......落ちるぅぅぅえぇぇぇぁぁぁぁ!」
察した瀬戸は呆れたため息をつき、絶叫を上げて落ちる。夜に響く声。
(いっ、マズイ下に人が居る!非常にマズイ!これはよろしくない!早く避けないと!)
そう思いつつも簡単には動けない訳で、すぐに地面に到達する。......刹那。
「風よ空よ彼の者を巻き上げろ。」
姿が見える位置にまで来た。瀬戸はそれが茶色のコートを着てフードを目深に被った者だと見えた。そうして、カミナはとてつもなく強い風を下から受け、衝撃がゼロに近く着地出来た。
「大丈夫なのか、急に助けを呼ぶ声が聞こえたから助けたけど、何があったのだ?」
凛とした少女の声。上からだと判別出来なかった身長の高さなどの情報が入ってくる。意外と低い。158cmくらいだろうか。
「あ、あぁジャンプしたら想像以上に高く跳んだもので、着地出来なくなったんだ。」
(アジって走る速さだけでなく跳躍力も含まれてたのか.....恐るべし無知。)
「なんなのだそれは。自分の身体の事を全く把握出来ていないのだ。君は。」
すごく偉い奴みたいな口調で喋る少女。初対面の瀬戸にはほんの少し癪に障る言い方だが、澄み渡る声で中和される。
「助けてくれて本当にありがとうございます。名前はなんて言うんだ?」
カミナが頭を下げる。
「へ?!え、えとあの....ら、ラルラルク....」
王女の名前と一致していることに瀬戸は気づくが、敢えて触れないでおく。もしかしたら王族とは全く関係のない者かもしれない。
「へぇ、ラルラルクって言うのか!良い名前だ。俺はもりさ.....おっと、カミナって言うんだ。呼び捨てでカミナで良い。よろしく。」
カミナが手を差し出す。それをラルラルクが躊躇いがちに取る。
「は、はぁ、えっと、よろしく。」
(うん?俺、またなんか間違った事したかな?)
瀬戸はラルラルクの反応から疑念を抱くが、質問に入る。
「なぁ、ラルラルク。」
「ラナでいいのだ。父上からはそう呼ばれている。」
「んじゃあラナ、あの風を起こす魔法?みたいなのってどうやるんだ?」
「それは魔法じゃなくて、精霊技と言うのだ。魔法なんて異能なのだ。」
(魔法使いにもなってなくて良かったーーーー!!!)
瀬戸は心底ほっとした。
「失礼しました....んでその精霊技ってのはどうやって使うんだ?」
「完全に生まれ持った才能なのだ。ちなみに属性というものがあって、それは風、水、炎、土、電、災、霊、聖の7つなのだ。」
(なるほど、元素が全てって事かぁ....才能ってことは使える精霊技と使えない精霊技があるという事か?)
「その、才能があるのは、人によって使える属性とか使えない属性があるってことか?」
「そうじゃない。災を除く全ての精霊技をどの程度自在に操れるかが“才能”と言っているのだ。だから簡単に数値で表せられる代物じゃないのだ。そして使うには、それ相応の責任が伴うが故、位の高い者にしか使用する事は許可されてないのだ。」
「えっ?それ俺に教えて良かったの?」
「君は責任感がありそうなのだ。でも使うのは極力控えて欲しいのだ。」
「分かった。で、その“才能”を図りたいんだけど、どうすればいい?」
「風だとこう唱える。“風よ、我を取り巻く風よ、顕現せよ”」
瀬戸も倣って唱えると、肩甲骨まである髪が強風で巻き上がる。
「.....普通なのだ....」
「.....普通なのか....」
「一つの属性を調べるだけで、災以外のすべての属性の“才能”が分かったのだ。」
「災をいつも除外するけど、それはどうしてなんだ?」
「災は特別なのだ。災を操れる者はかなり少なくて、私でも操れないのだ。ちなみに詠唱は“災よ、そなたの姿を見せておくれ、さすれば災を招くだろう”」
瀬戸は困惑する。言っている意味が分からない。
「何それ、言ってる意味が全然分からない....まぁいいや。“災よ、そなたの姿を見せておくれ、さすれば災を招くだろう”」
「グアァァァァァァァァ.....!」
唱えた瞬間、上から巨大な生物が雄叫びを上げながら落ちてくる。カミナはため息しか出ない。
(まさしく災だよ...七星遊星.....お前一体俺にどんな加護を....)
「ドラゴン?!か、カミナ、早く納めるのだ!詠唱は“災よ、そなたは十分。災は訪れた”!」
「えっえっえっと“災よ、そなたは十分。災は訪れた”!」
唱えた瞬間、ドラゴンは粒子となって消えた。
「カミナはどうして災の“才能”だけ溢れているのだ?」
「ハハ....俺が聞きたいぃ....そして嬉しくねぇ.....」
カミナは泣きそうになる。朝日が登って教会の鐘が鳴る。宿へ帰ろうとした頃にはラルラルクはもう居なかった。災の“才能”によりゲームマスターを心底恨みつつ、カミナは石で舗装された道を往くのだった....
年齢:19
経歴:
・リョートー都で誕生。
・その後12歳までは親元で働く。
・家を出て13歳で冒険者となる。
・18歳で学校へ入学。19歳で中退。
すっかり辺りは真っ暗になっている。
瀬戸は色々なハプニングから食欲がなくなり、夕食は食べられなかった。
    自分の証明書を見ておかしな点に気づく。
「そういや、ここって学校あったのか?あったとしても、この歳で通うものなのか...?」
「受け付け嬢もそんなに経歴不思議そうに見てなかったし、まぁ大丈夫かな。」
そう言って瀬戸は立ち上がる。宿屋を出て夜の街を見るつもりだ。
夜のリョートー都は昼と雰囲気が全く別物だった。まるで廃れた街の将来を明確に表しているようで、人なんてまるでいない。
「夜の街へ来て、危険が孕んでないわけ無いんだけど、俺のアジ(素早さ)ならなんとかなるだろう。っていうか街灯ってどうやって光っているんだ?」
しばらく歩いて宙に浮く街灯に興味を持った瀬戸は跳んでギリギリ近くまで見える高さと見る。
「この高さなら全力でジャンプすれば見えるだろ。引きこもってたから筋力に自身は無いけど、それでも近くで見られる。」
瀬戸は跳ぶ姿勢を取って、ジャンプする。景色が一瞬のうちに無くなる。
「ってぇぇぇ!!跳び過ぎぃぃぃ?!こここれ着地どうするんだよぉぉぉー!!」
カミナが宙に舞う。見えるのは月に輝く立派な王城、そして神秘の光に照らされた夜空。遠くから見た景色というのは、やはりどこでも綺麗なんだと理解した瞬間......
「はぁ.....なんかこれももうなんか慣れてきた......落ちるぅぅぅえぇぇぇぁぁぁぁ!」
察した瀬戸は呆れたため息をつき、絶叫を上げて落ちる。夜に響く声。
(いっ、マズイ下に人が居る!非常にマズイ!これはよろしくない!早く避けないと!)
そう思いつつも簡単には動けない訳で、すぐに地面に到達する。......刹那。
「風よ空よ彼の者を巻き上げろ。」
姿が見える位置にまで来た。瀬戸はそれが茶色のコートを着てフードを目深に被った者だと見えた。そうして、カミナはとてつもなく強い風を下から受け、衝撃がゼロに近く着地出来た。
「大丈夫なのか、急に助けを呼ぶ声が聞こえたから助けたけど、何があったのだ?」
凛とした少女の声。上からだと判別出来なかった身長の高さなどの情報が入ってくる。意外と低い。158cmくらいだろうか。
「あ、あぁジャンプしたら想像以上に高く跳んだもので、着地出来なくなったんだ。」
(アジって走る速さだけでなく跳躍力も含まれてたのか.....恐るべし無知。)
「なんなのだそれは。自分の身体の事を全く把握出来ていないのだ。君は。」
すごく偉い奴みたいな口調で喋る少女。初対面の瀬戸にはほんの少し癪に障る言い方だが、澄み渡る声で中和される。
「助けてくれて本当にありがとうございます。名前はなんて言うんだ?」
カミナが頭を下げる。
「へ?!え、えとあの....ら、ラルラルク....」
王女の名前と一致していることに瀬戸は気づくが、敢えて触れないでおく。もしかしたら王族とは全く関係のない者かもしれない。
「へぇ、ラルラルクって言うのか!良い名前だ。俺はもりさ.....おっと、カミナって言うんだ。呼び捨てでカミナで良い。よろしく。」
カミナが手を差し出す。それをラルラルクが躊躇いがちに取る。
「は、はぁ、えっと、よろしく。」
(うん?俺、またなんか間違った事したかな?)
瀬戸はラルラルクの反応から疑念を抱くが、質問に入る。
「なぁ、ラルラルク。」
「ラナでいいのだ。父上からはそう呼ばれている。」
「んじゃあラナ、あの風を起こす魔法?みたいなのってどうやるんだ?」
「それは魔法じゃなくて、精霊技と言うのだ。魔法なんて異能なのだ。」
(魔法使いにもなってなくて良かったーーーー!!!)
瀬戸は心底ほっとした。
「失礼しました....んでその精霊技ってのはどうやって使うんだ?」
「完全に生まれ持った才能なのだ。ちなみに属性というものがあって、それは風、水、炎、土、電、災、霊、聖の7つなのだ。」
(なるほど、元素が全てって事かぁ....才能ってことは使える精霊技と使えない精霊技があるという事か?)
「その、才能があるのは、人によって使える属性とか使えない属性があるってことか?」
「そうじゃない。災を除く全ての精霊技をどの程度自在に操れるかが“才能”と言っているのだ。だから簡単に数値で表せられる代物じゃないのだ。そして使うには、それ相応の責任が伴うが故、位の高い者にしか使用する事は許可されてないのだ。」
「えっ?それ俺に教えて良かったの?」
「君は責任感がありそうなのだ。でも使うのは極力控えて欲しいのだ。」
「分かった。で、その“才能”を図りたいんだけど、どうすればいい?」
「風だとこう唱える。“風よ、我を取り巻く風よ、顕現せよ”」
瀬戸も倣って唱えると、肩甲骨まである髪が強風で巻き上がる。
「.....普通なのだ....」
「.....普通なのか....」
「一つの属性を調べるだけで、災以外のすべての属性の“才能”が分かったのだ。」
「災をいつも除外するけど、それはどうしてなんだ?」
「災は特別なのだ。災を操れる者はかなり少なくて、私でも操れないのだ。ちなみに詠唱は“災よ、そなたの姿を見せておくれ、さすれば災を招くだろう”」
瀬戸は困惑する。言っている意味が分からない。
「何それ、言ってる意味が全然分からない....まぁいいや。“災よ、そなたの姿を見せておくれ、さすれば災を招くだろう”」
「グアァァァァァァァァ.....!」
唱えた瞬間、上から巨大な生物が雄叫びを上げながら落ちてくる。カミナはため息しか出ない。
(まさしく災だよ...七星遊星.....お前一体俺にどんな加護を....)
「ドラゴン?!か、カミナ、早く納めるのだ!詠唱は“災よ、そなたは十分。災は訪れた”!」
「えっえっえっと“災よ、そなたは十分。災は訪れた”!」
唱えた瞬間、ドラゴンは粒子となって消えた。
「カミナはどうして災の“才能”だけ溢れているのだ?」
「ハハ....俺が聞きたいぃ....そして嬉しくねぇ.....」
カミナは泣きそうになる。朝日が登って教会の鐘が鳴る。宿へ帰ろうとした頃にはラルラルクはもう居なかった。災の“才能”によりゲームマスターを心底恨みつつ、カミナは石で舗装された道を往くのだった....
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
4
-
-
1978
-
-
147
-
-
124
-
-
58
-
-
52
-
-
1
-
-
15254
-
-
59
コメント
小説書いてみたいけど内容が浮かばない人
…ありがとうございますを忘れるんだカミナッ!