あなたの身代わり捜します。
業務報告
病院の外で、天田 不死瑠がいつもと同じ白いスーツ姿で、日差しの強い空を見上げてから、頭に白いシルクハットをちょっこんと乗せる。
病院から続く大通りの歩道を歩いていく中、街路樹の影が、天田 不死瑠の体を通り抜けていく時に、天田 不死瑠が立ち止まった。
「まだ見ぬ、顧客の皆様、身代わり代行サービス 天田屋代表取締役兼唯一のセールスマンの天田 不死瑠と申します。先ずは今回の2つの契約について報告させて頂きます。
1人目の契約者、天野美穂様。両目を失いそうになっている娘を助ける為に天田屋にご契約頂きました。
2人目の契約者、佐々木雪菜様。歌手になって売れる為に天田屋とご契約頂きました。
皆様にご説明しなくてはいけない点が、ご契約上で何点かあります。
代償についてです。
皆様も分かって頂けていると思いますが、佐々木雪菜様が支払う事になった物は、もちろん目です。
何故に私が目を彼女から取り上げたか、もちろん天野 恵様に移植する為でもありますが、もう一つ理由がございます。
それは絶望。
私が知ってる音楽プロデューサーに彼女の声を聞いてもらい、足りない所を聞かせて頂きました。
"
彼女の声は凄い良いが、今までの経験が足りないのか、感情の移入が確実に足りない。まぁ僕がプロデュースすれば、良い所までは行くかなって所だな。
"
私の仕事で、良い所などと言う中途半端な事は許されません。
そこで、注目を集める為にも、彼女から光を奪わせて頂きました。
この事で彼女には、盲目と言う絶望と、盲目の歌姫と言う価値を与える事に成功したわけです。
健康な方からいきなり視界を奪うだけで、かなりの絶望の感情を感じるはずです。
ですがこれだけでは、私の仕事は終わりません。
彼女の歌手として、ずっと売れ続けて頂かないといけません。
そこで天野 美穂様にその身代わりの代償を支払って頂きました。
天野 美穂様は、大人気シンガーソングライターでありましたが、佐々木 雪菜様の専属の作詞作曲家として、歌手からは卒業して頂きました。
作詞作曲家として生きている限りサポートして貰う事となりました。
これが天野 美穂様が愛する我が子を救う為に支払った代償となりました」
天田 不死瑠が、顔を上に上げて少し遠い目をして、息を吐き出した。
「きっと、皆様は私に聞きたい事がいっぱいお有りでしょう。例えば、これだけ働いて何故に報酬を取らないのか?電話後に何故に直ぐに私が現れたのか?アシスタントの美女は何なのか?様々にあると思います。ですが、ここでは謎のままにして置こうと思います。では、長くなってしまいましたが、報告はここまでといたします。天田屋のご利用をお待ちしております」
その時に強い風が吹いたら、そこにはもう天田 不死瑠の姿はなくなってしまっていた。
もしかしたら、あなたのポストにも黒いポストカードが入っているかも知れません。まだ強い風が吹いている中で、何か声のような音が聞こえてくるように思える。
「…ワタシニハ ハッピーエンド ナノカ バットエンド ナノカ ワカラナイ…」
病院から続く大通りの歩道を歩いていく中、街路樹の影が、天田 不死瑠の体を通り抜けていく時に、天田 不死瑠が立ち止まった。
「まだ見ぬ、顧客の皆様、身代わり代行サービス 天田屋代表取締役兼唯一のセールスマンの天田 不死瑠と申します。先ずは今回の2つの契約について報告させて頂きます。
1人目の契約者、天野美穂様。両目を失いそうになっている娘を助ける為に天田屋にご契約頂きました。
2人目の契約者、佐々木雪菜様。歌手になって売れる為に天田屋とご契約頂きました。
皆様にご説明しなくてはいけない点が、ご契約上で何点かあります。
代償についてです。
皆様も分かって頂けていると思いますが、佐々木雪菜様が支払う事になった物は、もちろん目です。
何故に私が目を彼女から取り上げたか、もちろん天野 恵様に移植する為でもありますが、もう一つ理由がございます。
それは絶望。
私が知ってる音楽プロデューサーに彼女の声を聞いてもらい、足りない所を聞かせて頂きました。
"
彼女の声は凄い良いが、今までの経験が足りないのか、感情の移入が確実に足りない。まぁ僕がプロデュースすれば、良い所までは行くかなって所だな。
"
私の仕事で、良い所などと言う中途半端な事は許されません。
そこで、注目を集める為にも、彼女から光を奪わせて頂きました。
この事で彼女には、盲目と言う絶望と、盲目の歌姫と言う価値を与える事に成功したわけです。
健康な方からいきなり視界を奪うだけで、かなりの絶望の感情を感じるはずです。
ですがこれだけでは、私の仕事は終わりません。
彼女の歌手として、ずっと売れ続けて頂かないといけません。
そこで天野 美穂様にその身代わりの代償を支払って頂きました。
天野 美穂様は、大人気シンガーソングライターでありましたが、佐々木 雪菜様の専属の作詞作曲家として、歌手からは卒業して頂きました。
作詞作曲家として生きている限りサポートして貰う事となりました。
これが天野 美穂様が愛する我が子を救う為に支払った代償となりました」
天田 不死瑠が、顔を上に上げて少し遠い目をして、息を吐き出した。
「きっと、皆様は私に聞きたい事がいっぱいお有りでしょう。例えば、これだけ働いて何故に報酬を取らないのか?電話後に何故に直ぐに私が現れたのか?アシスタントの美女は何なのか?様々にあると思います。ですが、ここでは謎のままにして置こうと思います。では、長くなってしまいましたが、報告はここまでといたします。天田屋のご利用をお待ちしております」
その時に強い風が吹いたら、そこにはもう天田 不死瑠の姿はなくなってしまっていた。
もしかしたら、あなたのポストにも黒いポストカードが入っているかも知れません。まだ強い風が吹いている中で、何か声のような音が聞こえてくるように思える。
「…ワタシニハ ハッピーエンド ナノカ バットエンド ナノカ ワカラナイ…」
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