あなたの身代わり捜します。

雨宮 心音

もう1人の契約者

2ヶ月後のある日、佐々木雪菜が入院していた病院にある一室で、目に当てられた包帯を医師に取り外されようとしている1人の少女がいた。

その少女の名は、天野 恵と言う。

天野 恵は、両眼をガンに侵されていて、ガンが転移する前に摘出手術をし、義眼を入れる予定であったが、両眼ともにドナーが見つかり、移植したのである。

そして、やっと包帯を取る日がやってきて、包帯を外された。

天野 恵が目を開けた時に、恵の母と医師が天野 恵の目を覗き込む。

「見えるかい?」

「先生の顔が良く見えるよ」


天野 恵の返事を聞いて、恵の母と医師は安堵の表情を見せる。

その恵の母が、私の方を向いてくる。

「天田さん、本当にありがとうございました」

「いえいえ、私どもは仕事をしただけですから、天野さんご契約の事は忘れずに」

「はい…」


恵の母が私に頭を下げてくる中で、病室にあるラジオから、天野 恵が好きな番組が始まった。

「本日、最初の曲は新人アーティストだぁ!エイビックスから売り出し中の正体不明の美声の持ち主だ!名はユキハ!今夜のMステに生出演するらしい、この曲は俺も聞いたが最高に良い!男の俺が泣きそうになってしまった。では、聴いてくれ!一筋の光」


ラジオから流れてくる歌声は、何かを頭の中に直接語りかけてくるような甘い声で、悲しみが混じり合った不思議な声だった。

「お母さん、綺麗な声だね」

「うん、そうね」


恵の母が悲しそうに頷いた時に、私は静かに病室を出た。


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