自殺するなら異世界転生を‼︎

ハト

第5話

そう、俺は自分がとても嫌いだ。
努力してもそれが実力になることはあまりなかった。
努力をしているはずなのにそれが身を結ぶことがほとんどなかったのだ。
だから、自分のことが嫌い。

「あ〜、ごめんね赤ん坊からの転生は僕にはできないんだ  僕ができるのは今の肉体のまま連れて行くことだけなんだよね〜」

「そうか、じゃあ異世界に行くことはやめとくよ  普通に死んで死後の世界に行ってまた新しい命に生まれ変われるよう期待してるよ」

自分のこの体のまま異世界に行くならあの世に行った方がまだましだと思う。
しかし、天使さまはそれを否定してくる。

「残念だけど今からあの世に行くことはお勧めしないな、あの世に天国と地獄があるのは知ってるよね、千尋くん?」

いきなり異世界転生のメリットについて説明する勢いで天使さまの口は語る。

「まぁ、それくらいは知ってるよ、どんな宗教でもそのような世界があるじゃないか。 生前悪い人は地獄に、良い人は天国にとかだろ?」

「そうそう、まぁそれくらいは誰でも知ってるよね〜。でも自殺した人間がどこに行くか知ってる?」

「いや、知らないかな。でも普通に考えれば天国に行けるとは思うんだけど」

浅はかな考えで答えたのか天使さまはニヤッと軽く口角を上げて言う。

「千尋くん、残念ながら自殺した人は天国には行けないんだ。知ってるかい?命をもらうってことはとても奇跡的なことなんだ。君がここにいるのは何億、何兆分の1という確率で君は生まれてきてるんだ。それを無駄に捨てようとするということはとても罪のあることなんだよ」

最初に口角が上がっていたが言い終わる頃には逆に悲しそうな顔をしている。

「地獄行きか、どんなところかはわからないけどまぁ、どっちでも良いかな?」

別段どっちに行っても構わないと思う俺だが、流石に天国に行きたいという欲はある。

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