モブキャラな私が孫子の兵法を手にしたら♪
第11話 魔法使いメグ登場
こうして家は完成した。
わ~!!
どんどん!!
ヒューヒューパフパフー!!
場所はマップ上の中心よりやや少し上のあたりに2軒の家と周りを木の柵で囲った単純なものだった。そういえば、諸葛亮孔明殿が、地形効果がどうのとか言ってたのを思い出した。そして、画面上を操作して、柵のあたりを調べると防御効果最大50%、攻撃効果最大20%となっていた。なるほどと思った。私たちが今いる20x10のマップはそのほとんどが草原、少し沼地と小川があるくらいでそんなに地形効果は期待できない場所だった。
そんなことをしていると、ちょうど外回りから帰ってきたウサドンがこんなことを言ってきた。
「モンスターR様、私たち土地の北側にもっとヒール草が生えているのを発見しました。今までの倍以上はあります」
「ぴょんぴょん!!」
そいつは凄いぞ、けど、無理に進軍したとして、負ける場合もある何もわからないのに攻撃はできないというと
「あそこには、魔法使いメグがというものがおりまして、たまたま彼女と遭遇しまして、ヒール草を自由にとっていいかと聞いたら、いいよと言ってました。また、土地もそのまま、譲渡してくれるそうです。ただし」
ただし?と聞くと
「とれた売上げの半分をよこせと言っているけど、どうします」
「ぴょんぴょん!!(とりあえずあってみよう)」
魔法使いメグ、彼女は、魔女っ娘サリーと並ぶこのゲーム上における魔導士としてはSSRキャラしかも、星7ついう。超レアキャラで、ふつうは、特別なイベントのガチャでしか出てこない存在だった。しかし、何故そんなキャラがここにいるのかは、別として、これから交渉をしないといけないのは事実だった。
「あら、かわいい」
これが彼女が私を見た一言目に放った言葉だった。髪は紫色の長髪で上は、魔導士風のローブというより白黒の縦じまのパーカー、中には、虎の顔をしたシャツを着ていて、何故か虎マークがついた黄色いメガホンを首からぶら下げている。ちなみに、下は、赤いふわっとした感じのミニスカートに白いニーソックスで、絶対領域がまぶしい。そして、靴は黒いブーツ、ブーツと言っても軍用のかっこいいやつ、そんな感じの女の子が目の前に立っていたんだけど、私を見るなり、抱き上げ頭を撫でだした。
「きゃーかわいい~こんなぬいぐるみ欲しかったのよね~」
「ぴょんぴょん!!」
思わず声を上げたんだけど、それを見て、目を丸くしたメグ、
「あら、音声機能もついているの~バリやば~」
そう叫んで私をぶんぶんと振りまわしていた。そんなとんでもない状況にあんぐりと口を開け、立ち尽くしているルウサドン。それに対して私は、きゃーかわいい!!とばかりにまだ回されている。ぐ・・やばし、さらにブンブンと振り回される私、当然、目が回って来る。
「あれ?ぐったりしてきたわよ。ちょっとこれ安物じゃないの?」
ビシッとメガホンを刺されたウサドンはビクッとなった。そして、額の汗をぬぐいながら、ぼそぼそと話し出した。
「じ・・・実は・・・そ・・の」
「えっ?何?聞こえないわよ」
カッー!!!
タッタッタッタッター!!
という交換音が鳴り響き、鋭い眼光と顔がバン!!と大きくなった。そして、スコーンと黄色いメガホンがウサドンに向かって飛んでいった。それの直撃を食らったウサドンは、必死のパッチの必死のパッチで、これまでにないくらいの大声で叫んだ。
「あ・・その方が私の主君である。モンスターR様です!!」
その言葉を聞いて、大きくなった顔がスパーンと小さくなって目が点になった。そして、ようやく振り回される状態から解放されたんだけど、未だに頭がグァングァンする。そんな状態の中、なんともリアクションのオーバーな人なんだろうと思っていると急に大声を上げた。
「ええ!!うそ!!」
うぐっ・・
驚くのはいいんだけど、その手を離し、ぽとりと私を落としてしまった。ぐったりとしたままの私は当然の如く地面に激突、立ち上がるのにしばらくかかったのは、言うまでもない。
こうして、魔法使いメグとの交渉が始まったんだけど、やはり、彼女は凄い。さすがSSRの超レアキャラ
LV12、ライフ986、HP973、MP998、知力80
これまで見たことがない数字だった。しかし、こんなスキルキャラがいたら、序盤戦は何もしなくてもいいに決まっている。楽勝なのは確かだった。そんな彼女が私のことに気付いた。
「あなた・・・モブキャラね」
「ぴょんぴょん!!(はい・・そうです)」
しかし、彼女は、ふーんと呟きながら、しばらく、私を見ていると再び頭を撫でてきた。
「あなたの魔力・・・モブキャラにしては、ずいぶんと高いわね。けど、無駄が多すぎるはよ」
そう言われても、所詮モブキャラどうすることも出来ないというのが、本音だった。だけど、彼女は私をじっと見つめていて、ブツブツと私の方を見ながらひとりごとを言っていた。そして、キッと私を睨んだ。その視線に背筋がゾクッとした途端、その口を開いた。
「私があなたを調教してあげるわ」
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