神眼使いの異世界生活

黒鉄やまと

第38話 ソウマ商売始めるってよ…… 4

その後、ソウマとアルテミス、シフォルは城を出て、街を歩いていた。

「しかし、良かったのか?護衛付けないで街を歩いて」

「だってこれからソウマと二人で旅をするのよ?護衛なんて邪魔で仕方が無いわ。それに、ソウマの近くが1番安全なんだから」

「それもそうだな。」

「二人とも。ラブラブしてるのはいいけど、ちょっとこっちのことも考えてよね。それにもうすぐつくんだから」

「わ、悪いな」

「はい、ここだよ」

シフォルが案内したのは馬車の絵が書かれた看板が下げられている、立派な建物だった。

「ここが商業ギルドか」

「そうだよ。じゃあ、入ろうか」

ソウマ達は入って受付まで行く。

「いらっしゃいませ。本日はどんなご用事でしょうか」

「登録に来たんだ。あ、冒険者ギルドにも登録してるけど大丈夫なのか?」

「それは大丈夫だよ。逆に早く登録できるからね」

「はい。冒険者ギルドに登録しているならば早く登録できます。それでは、こちらの紙に必要事項を書いてください」

受付の人に出された紙には、名前、性別、加護・寵愛の有無、商会名、最高責任者、次席責任者、商会本店、主な商品などを書く欄があった。

(名前はソウマっと、性別は神性とかあるけど男でいいか。加護・寵愛は……どちらかがある場合か、じゃあ、有。商会名は……やべ、考えてなかった。)

『それならばネクサス商会なんてどうでしょう。ネクサスは繋がり、絆などを表します。店員が配下で繋がっているマスターの商会名にはちょうどいいかと』

(ネクサス商会……いいな、それにしよう)

ソウマは商会名の所にネクサス商会と書いた。

(さてと、最高責任者は俺として、次席は誰にするか。できるならずっと居た方がいいよな。……アレクにするか?)

「なあなあ、次席責任者アレクにしたら面白い?」

「え?!お父様ですか?」

「そ、それはどうだろう。僕は知らないよ」

「アルテミスは?」

「一応、言っておきますけど、知りませんよ?」

「ええぇ」

(よし、少し怖いからシフォルにしちゃえ。えっと次は商会本店は……ってこれどうやって書くんだ?)

「シフォル。商会の場所ってどうやって書くんだ?」

「それなら東通りの屋敷でいいと思うよ。番号とかは決まってないから」

「そうか」

(東通りの屋敷……と。主な商品。商品か……なんか適当でいいか。じゃあ、いろいろで)

ソウマは書き終わった紙を提出した。

「はい。それでは確認します。お名前はソウマ様、男性、商会名はネクサス商会、最高責任者はソウマ様、次席責任者はシフォル様、商会の場所は東通りにある屋敷、主な商品はいろいろでよろしいですか?」

「ソウマ君。なんで僕が次席責任者になってるの?」

「いや、アレクだと怖いし、アルテミスにしようかと思ったけど、2人で旅に出るのに、責任者2人ともいなかったら困るじゃん?だから、シフォルならいいかなぁって」

「僕もギルマスの仕事あるし、たまに外に出なきゃ行けないから難しいよ?」

「まじか。じゃあ、クラウスでいっか」

「確かにクラウスさんなら大丈夫だとおもうよ。頭良いし」

「じゃあ、次席責任者をクラウスに変えておいてくれ」

「わかりました。それでは次席責任者はクラウス様でよろしいですね。それではギルドカードを作りますので、身分証はありますか?」

ソウマは冒険者ギルドのギルドカードを出した。

「はい。お預かりします。」

受付嬢はソウマのギルドカードを受け取ると冒険者ギルドにあったような水晶にあててソウマが書いた紙を当てた。

「それではこれに魔力を注いでください。」

「わかった」

「ソウマ君。本当に少量にしておきなよ?」

「わぁってるよ。」

ソウマは球に手を当てて魔力を注ぐ。

「これでいいか?」

「はい。ありがとうございます」

「そうだ。受付さん。ソウマ君のギルドカード、纏めちゃってください」

「はい。わかりました。」

「纏める?」

「実はギルドカードを作る時に使う道具は冒険者ギルドにも使われているものなんだ。けれど、それは冒険者ギルドだけでなく、商業ギルド、魔道具ギルドその他ギルドは全て同じ道具を使っていてね。ギルド同士で同じギルカを使うなら纏めちゃおうって話になってね。それから纏めることの出来るようになったんだ。そして、纏めたギルドカードのことをマルチタイプギルドターミナル。略してMTGTと言うんだ。」

「へぇ。じゃあ、他のギルドに登録してもそのMTGTにできるのか?」

「出来ますよ。そのためのMTGTなんですから」

答えたのは受付嬢だった。

「これが新しいギルドカードの……って言うかカードではなくなってますが、マルチタイプギルドターミナル。MTGTです」

差し出されたのは腕時計に近かった。

「これを腕にまいて留めると……って出来てますね」

「ほんとだ。ソウマ君知ってたのかい?」

(いや、完全に腕時計だし……)

「ま、まあ、なんとなくな……」

「すごいのね。」

「それでは起動してみてください。起動はその平らの場所、ターミナルスクリーンというのですが、そこに触れて魔力を流すと起動します。」

ソウマは左腕に付けた時計の表面に触れ魔力を流すとステータスのような画面立体的に・・・・が現れた。

(おかしい。これはこの世界の技術を明らかに超えている。これは未来の日本でもできるのだろうか……いや、もし違う世界の人間が俺みたいにこの世界に来ていたら?そう考えればもし来た人間の元の世界が地球よりも科学の力が発展していたとしたら、その可能性もある。)

「どうしたんだい?急に黙っちゃって」

「いや、なんでもない。それよりこれからどうすればいいんだ?」

「はい。その画面にはまずあなたの情報が乗っています。次のページには最初に登録した冒険者ギルドの情報、その次が商業ギルドの情報が乗っています。」

ソウマが画面を操作すると2ページ目に冒険者ギルドで作ったギルドカードと同じ情報が乗っていた。

「すごいな。」

「ですよね。実はこれかなり昔の技術なんです。」

「昔?」

「どうやら、まだ、ギルドが出来て間もない頃に誰かから教わった技術らしいんだ。」

(やっぱり異世界人か?)

「その人間はどこから来たんだ?」

「さあ、分からないんだ。けど、ステータスの表示にも似てるよね」

「確かにな。ステータスの表示にも……!!」

(そうか!ステータスが元になって作られているとしたら。……いや、ステータスは今でも詳細が分かっていない。それを人間が解析できるはずが……いや、人間じゃなければ?ステータスを作った存在だったらどうなる?)

「どうしたんだい?なんかまた考えてるみたいだけど」

「いや、なんでもない。それよりこれの使い方はわかった。商業ギルドのことについて教えてくれ」

「わかりました。まず、ギルドランクについてですね。商業ギルドのランクというのは商会長だけに着くのではなく、商会自体に着きます。そして、ランクの決め方は1ヶ月の収入金額によって決まります。金貨50枚以下の商会がアイアンランク。大金貨50枚の商会がブロンズランク。白金貨50枚以下の商会がシルバーランク。黒金貨50枚以下の商会がゴールドランク。それ以上の商会が金剛ダイヤモンドランクになります。」

「最低でもゴールドにならなきゃな」

「が、頑張ってください。それと、ギルドランクの他に各商業ギルドで年間ランキングというものが出ます。それで入賞するとその順位によって違いますが、ギルドからプレゼントが貰えますので頑張ってください。」

「へぇ、面白そうなことやってんだな。」

「それではこちらが商会を開いた方に渡されるギルドの説明書と商業ギルドで推奨する商会ガイドです」

「わかった。ありがとな。」

「はい。また、来てくださいね」

「ああ」

ソウマ達は受付嬢から説明書とガイドを受け取り、ギルドを出る。

「よし、これで登録も出来たし、帰るか!」

「そうね。明日また屋敷に行くんでしょう?」

「ああ、屋敷のこともあるし、やることもあるからな」

「それじゃあ、僕はギルドに戻らないとね。これでもギルマスだし、仕事は沢山あるんだ」

「そうだったな。ありがとな。落ち着いたら顔を出すよ」

「そう言えば1ヶ月クエストを受けなければ退会だから、気をつけてね」

「聞いてねえぞ。まあ、そのうちな」

「シフォルさん。ありがとうございました。また、今度よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」

「じゃあな」

「それでは」

シフォルと別れたソウマとアルテミスは城に帰っていった。


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