神眼使いの異世界生活

黒鉄やまと

第35話 ソウマ商売始めるってよ…… 1

「それじゃ一昨日の決闘のことを話そうか。」

シフォルが落ち着いて、4人と1匹で紅茶を飲んでほっこりしてからシフォルが話を始めた。あ、ハクは飲んでないよ。

「まずソウマ君が受け取る全財産の内訳から。まず、テレフォンが決闘に連れてきた飛竜の死体の買取額が白金貨5枚。それと、ミスリル装甲はソウマ君が売るって言ったから白金貨10枚になったよ。次にテレフォンの屋敷から見つかった現金白金貨1535枚。屋敷にあった服や装飾品、お皿や家具などはソウマ君が屋敷に行った時に考えて。そして、屋敷。これは王都南の平民街との境にあるよ。構造は二階建て地下1階あり、訓練場、庭など大抵のものは揃ってるよ。」

「なんか意外だな。貴族ならもっとやばいのとか隠し持ってるかと思った。」

「あんな性格だからね。そんな根性はなかったみたいだよ。だから、今回の事はペーパー子爵とかはかなり驚いて力を入れていたみたいだよ。まあ、ダメだったんだけどね」

「そうなのか。そう言えば俺がもらったのは全財産だが、公爵って肩書きはそのままだろ?どうしたんだ?」

「それは陛下かな」

「うむ。まずテレフォンのやつは爵位取りあげ、さすがに処刑するわけには行かないから、少量の金を持たせて王都に放した。次にペーパー達取り巻きじゃが、主犯じゃないからの軽く罰金白金貨30枚と爵位を一つ下に下げておいた。」

「けど、テレフォンって全財産だから服も剥ぎ取られたんだろ?早速、警備隊に捕まってそうだけどな」

「さすがにそこまで鬼畜ではない。最低限の服は着せて置いた。それと、その親族は完全に巻き込まれたため、お咎めなしと言いたいところじゃが、当主が平民に落ち、全財産はソウマに取られ家を失ってしまったため、テレフォンの保護及び接触を生涯しないと約束させた上で平民街の一般の家に住まわせた。」

「さすがに家族の人には悪いことしたな。まあ、前当主がテレフォンを選んだのが悪かったのかもしれないがな」

「それは仕方がなかったみたいだよ。前当主は当主中に病気になってね。後ちょっとで死ぬところだったんだ。何とか立ち直ったものの随分と衰弱してしまったそうでね。もう当主は出来ないから仕方がなくたった一人の息子のテレフォンに当主を明け渡したそうだ。まあ、もう元気になったみたいで、最後にテレフォンをがみっガミ怒ってたけどね。」

「そ、そうなのか。まあ、あいつが買った服ってサイズ絶対合わないしなんか着たくないから服は全部売却で。」

「それは誰だってそうですよ」

「どうやらサイズがないから特注で頼んでたみたいだよ」

「ある意味すごいな。」

「前当主はなかなか仕事が出来るやつだったんだがな。なんであんなふうに育ったんだか」

「お父様。確かにそうでしたけど、もう仕方が無いことです。」

「アルテミス王女も割り切ってるなぁ。まあ、それより大事なことがあるんだけどね」

「大事なこと?」

「そう。最後の財産。」

「まだあるのか?けど、屋敷の話は出たし、その内部の事はだいたい話しただろ?他に何があるんだ?」

「それがね。これは僕も予想外だったんだけど、使用人と奴隷」

「は?」

「だから、使用人と奴隷だよ。いや、使用人て言っていいのかわからないね。まあ、奴隷はそもそも買わないと持てないから仕方がないとして使用人は本当に予想外だったんだ」

「使用人て普通、メイドギルドなどから雇うのではないのですか?」

「普通はね。けど、あそこの使用人元奴隷だったんだよ。」

「元奴隷?」

「なるほど。ギルドからだったら高額をギルドに振り込まなくてはならないが、奴隷だったら多少の給料で済むから、そっちにしたのか。しかも、家事や従者などが出来る奴隷だけを買ったんだろうな」

「その通りです陛下。奴隷は買われた金額を自分で働いて稼いだら奴隷から解放されるんだ。何年もそこで働いて何とかその金額を貯めて自分を買って奴隷から解放されたあとコール公爵の屋敷で使用人として働き始めた人ばっかりでね。しかもギルドに入ってないから完全に使用人はコール公爵家のもの。つまり財産に入ったんだ」

「まじか。なんてことしてくれてんねん」

ソウマは目元を抑え上をむく。
ハクが落ちそうになって飛んでソウマの膝の上に来てペちペちとソウマのことを叩く。

「ごめんごめん。にしてハクは多芸になってきたなぁ」

「それでね。その人達奴隷も含めここに来てもらってるんだ。セバスさんにお願いしておいてほかの部屋に通させてもらったよ。」

「ええぇ。」

「ソウマ君にはこれからあってもらいたいんだけど……」

「急だなぁ。」

「それと、新しい職を探してあげるか、奴隷商人に売るか。どうするのか言わないとダメだと思うんだ」

「えぇ。本当に急。」

(こんな時のリエル。その人たちがちゃんと稼げて、生活できる方法ない?あ、それと屋敷もどうしよう。旅出るから使わないじゃん)

『そうですね。それでしたら提案がいくつか。まずは売る、解放する。現奴隷の者は奴隷商人に再び売って、奴隷ではない人は最低限の金を持たせて解放という選択です。屋敷も売ってしまい金にする』

(けど、それは酷すぎるだろ。職を奪ったのはこっちなのに最低限の金あげるから適当に生きてくださいなんて。それに、いらないけど、せっかくもらった屋敷なんだからなんかに使いたいんだよな)

『それではその案は却下で。次はその屋敷に住むというものです。その屋敷に住んで、再び使用人としてその人たちを雇うという方法もありますが。それはマスターの旅がしたいというものから遠ざかってしまうためあまりオススメしません』

(確かにそれは却下。アルテミスと行く場所もう決めてるんだし)

『それでは最後の案です。商業ギルドに登録して商店を開く。最初の店員をその使用人たちにします。幸い、屋敷は平民街と隣合っているとのこと、入口を平民街にして、商店を開けば問題ありません。さらにマスターには神々の寵愛があります。ほとんどの神の寵愛はあるためもちろん商業神や守護神などの寵愛もあります。商業神の寵愛の効果は鑑定やアイテムボックスが使えるようになる。という加護の効果に加え、商会全体にその影響力を与えることができます。守護神の寵愛と重ねて使えば、100%儲けるでしょう。さらに、店舗拡大をしていき、各国、各都市に店を構えれば、マスターの旅の手助けができるはずです。最初の店員を店舗拡大の各店の店長にすればマスターの事はほとんど知っていることになりますし、スキル支配覇神を使って使用人を配下にしてしまえば、劣化しているとはいえマスターの強力なスキルを使えるようになります。さらに店員を奴隷商人から買い、配下の配下にしてしまえばマスターには絶対的な力が集まり、まず、反乱に会うことなく商会長として、また、冒険者として生活できるはずです。屋敷は本店にでもしてしまえば良いかと。もし、土地が余るならば半分売るか、ほかのものをしても良いかもしれません』

(…………)

『どうしましたか?』

(いや、リエルさん。なんかずっと考えてなかった?それ。じゃないとそんなに深く思いつかないでしょ)

『正直申し上げるとそうなりますね。マスターが決闘で相手に全財産を賭けさせた時点でコール公爵家の財産を調べあげ、どのようなことが出来るか考えておりました。そして、実際にそれが貰えるかの確認が今日済みましたのでお話しました』

(あ、その時からだいぶ分かってたのね。)

リエルの情報収集能力や将来のことを考えていることに驚きながらシフォルやアレク、アルテミスに話しかける。

「よし、商業ギルドに登録する」

「は?」

「へ?」

「はい?」


「神眼使いの異世界生活」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く