神眼使いの異世界生活

黒鉄やまと

第30話 迷宮 その1


「それで?どうして遅れたんじゃ?」

今この部屋にはソウマ、アルテミス、アレク、シフォルの4人がいる。

「ああ、こっちにも言い訳がないこともないからな」

そして、ソウマは話し出した。
迷宮でやったことを……



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ここが迷宮か……」

ソウマは迷宮の目の前に立っていた。

『ここは中級の迷宮です。主にCランクからAランクの冒険者が利用することが多い迷宮のようです』

ソウマの目の前には迷宮と思われる塔が立っている。

「さてと、1週間以内にクリアしなきゃな」

『大丈夫です。マスターには迷宮神の寵愛があります。これでまず迷うことはありません。次に宝箱は最上階まで出ないと思われます。』

「ん?どうしてだ?」

『迷宮の宝箱システムは簡単にいえばポイント制です。例えばAさんの宝箱出現ポイントが100だとしたら1階出る事に少しずつ減っていきます。そして、最上階で100全てを使い切るというシステムなんです。加護の場合は何回か出てしまいますが、寵愛の場合、対象者が欲しいランクの物が出ることになっています。それに合わせて出る階層が違います。』

「へぇ。なかなか面白いシステムだな。それよりもさっさと入るか」

ソウマは迷宮の中へ入っていった。

ソウマは移動は高速で階層を突破して行った。
魔物とあった時は、すぐに強奪眼でスキルや身体能力を奪い、斬羽で切り裂き瞬間的に無限収納にしまうという行動を繰り返した。しかも、能力を奪っていくので、そのスピードはどんどんと早くなっていった。
迷宮神の寵愛があるため道には迷わずに進めた。


そして、三日目……


「リエル。もう最上階まで来ちまったぞ?」

『はい。だから、言ったでは無いですか、必ずクリアできると』

「言ったけどこんなに早くなるとは思ってなかったから仕方が無いだろ」

そう言いながらソウマは最上階のボス部屋の扉を開けた。

そこにボスとしていたのは……

「オーガか……」

しかも、通常青い肌が、赤い。つまり変異種である。変異種とは通常生まれる個体とは違い突然変異して生まれた個体である。
通常の個体より圧倒的に強い。

「けどまあ……」


スパン!


その音がしたと同時にオーガの首が落ちた。

「こんなもんか」

既に戦闘は終わっており、死体はソウマの無限収納に収まっている。
そして、目の前には宝箱があった。

「何が出るかな……」

ソウマが宝箱を開けるとそこには……

「なんだこれ……」

宝箱の中に入っていたのは、綺麗な立方体だった。

「鑑定」

ソウマが鑑定をかけるとその立方体の情報が入ってくる。

【名前】nameless
【種類】神器
【効果】吸収、形態変化、全物理耐性、全魔力耐性、全気力耐性、全神力耐性、全能力上昇、自由変化、魔力変換、魔纏、状況変化、想像伝心

「はい?」

宝箱からでたのは名前のない神器だった。

「普通こんなの出るのか?」

『まず有り得ません。恐らく、迷宮神やエルフィン様が介入したのかと』

「またか。この前俺が武器作った時もやってきたけどなんなんだ?」

『私にもわかりません。遊びだとは思いますが……』

「はあ、まあ、貰えるものは貰っておこうか。リエル。この武器の解析を頼む」

『はい。しかし、名前がないと私も最初の解析が出来ません。名前をつけてください』

「そうだな。じゃあ……ゼロだな」

『ゼロですか?』

「ああ、この神器は自由に形が変えられて元の形がない。数の0は負の数でも正の数でもないみたいな何者にもならないただ数と言うだけのものだ。だから、ゼロ。」

『いい名前だと思います。』

「だろ?」

ソウマは無限収納にゼロをしまう。

『それではゼロの解析を行います』

リエルはゼロの解析を始めた。

すると、ソウマはフロアの奥に階段があるのに気づく。

「なんだ?」

ソウマが階段を登ってみるとそこには広い空間が広がっていて、2つの魔法陣があった。

「なんだこれ」

すると、突然フロアに放送が響く。

『迷宮クリアおめでとうございます。制覇者には、選択肢が二つあります。1つ、このまま塔をでる。出る時は左の転移陣から外に出れます。2つ、裏迷宮に行く。裏迷宮に行く場合は右の転移陣から行くことができます。』

「裏迷宮?」

すると、リエルの声が頭に届く。

『裏迷宮とは稀に迷宮をクリアした時にある通常の迷宮とは圧倒的に難しい迷宮の事です。通常の迷宮との違う点はまず、魔物の強さです。裏迷宮にはSSランク以上の魔物しかいません』

「それは元の迷宮がどれだけ低かろうとか?」

『どれだけ低かろうとです。次にボスシステムです。通常の迷宮は10層ごとにボスが出ますが、裏迷宮は1層ごとにボスが出現します。次に、空間が違います。』

「空間?」

『はい。裏迷宮は異空間にあるのです』

「異空間か」

『はい。最後に宝箱です。裏迷宮は難易度が高い代わりに宝箱の内容がとても良いものとなっています』

「まあ、そりゃそうだろうな。さてと、どうするかな」

ソウマは悩んだ結果、このまま迷宮を出ることに決めた。

「よし、出るか。たしか左の魔法陣だったよな」

ソウマが魔法陣に立つと陣が光を放ち始める。

そして、ソウマは塔の外に転移された。




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