最弱が世界を救う。

しにん。

《憤怒》3

城門の前で、四人は肩を並べていた。
たった四人で一国を攻め落とすつもりで。


「さぁて、俺らの喧嘩祭と行こうかッ!!」


固く閉ざされていた城内を力任せで殴ると、城内には既に警備隊が待ち構えていた。
視界全てを、警備隊で埋め尽くされていた。


「総員、撃て!!」


掛け声と同時に四方八方に散らばっていた警備隊は、戦いの火蓋を切って落とした。
絶え間なく聞こえる銃声音。
砂埃が立ち上がり、四人の影は消える。
目標を見失い一度撃つのをやめてしまう。


「や、やったか?」


恐る恐る砂埃の方へ目を凝らす。
砂埃から、一人の影が見えた。
警備隊は他の三人は落とした、とばかりにはしゃいでいた。


「ったく、世の中の奴らは傲慢だな。まさかとは思うが、そんな攻撃で俺らが倒されるとでも思ってんのか?」


風に飛ばされ、一人の影の正体が明らかとなる。
エクスを前衛に、三人は後ろにたたずんでいた。


「何!?あれほどの銃弾の嵐、一体どうやって避けたんだ」


エクスをはじめ、全員が無傷。
不可避の銃弾を全て避けきったとしか言いようがなかった。
しかし、エクスは――


「はぁ……まさか本当にバカばかりだったとは。運ばかりで七大悪魔を倒した訳じゃあないんだぜ?」


右腕を前へ出し、己が剣を見せつける。


「銃弾の嵐だぁ?どうやって避けただぁ?決まってるだろ、全部喰った」


エクスの発言に一同唖然。
後ろの三人は、半ば呆れていた。


「全く、エクスさんそれでは貴方が銃弾を食べたみたいに聞こえますよ?」


「人の手柄を自分の手柄にするとは、エクスくんも隅に置けないなぁ?」


「エ、エクスさん。私はどんな時でもエクスさんの味方……ですよ?」


「心が痛い。とても心が痛い」


「ご主人はいじめられて喜んでいるのですか?」


「ちっがーう!!断じてそんな趣味はないと誓おうハルファスよ」


四人は戦場に立ちながらも、和気あいあいと。
それを見ていた警備隊は、開いた口が塞がらない。
エクスはイタズラに笑う。


「ハルファス、食事はもういいか?」


「無論。だが、まだまだ食べれる」


「よし、面白くなってきた」


ミルティの力を借り、戦場をかけるエクスは警備隊の持っていた武器全てを喰らい尽くした。
一瞬の出来事に、敵は震えて立ち尽くすことしか出来なかった。
負けを確信したのか指揮官は退却の命令を出した。
これ以上戦っても、目の前の敵に傷一つ付けることは不可能だと察したのだろう。
再びゆっくりと歩き出す四人を止めるように、ある声がどこからか聞こえてきた。


「やぁ、英雄の諸君。見ていたが相変わらず強いな、面白い。だがその力、腹ただしい。実に腹ただしいッ!!ムカつくぜ、ムカつくぜ、ぶっ殺してやる」


突如姿を現した少女は、いきなりエクスの顔を殴りつける。
勢いよく吹き飛んだエクスを見て、少女は大爆笑。


「ハッハッハッハー、愉快愉快。無様に吹き飛んでやんの。一層の事死んじゃえ」


追撃をするつもりなのか、飛ばされたエクスの方へ跳躍。
天高く飛び、蹴りの構えで落ちてくる。


「させませんッ!!」


セレネは一歩前へ出て、魔力を集中させる。
エクスの周りには固有結界が完成され、少女の蹴りは無事に防いだ。
戦いが楽しいのか、次の標的はセレネに切り替わる。
笑顔で突っ込んでくる少女をレインは拳に全てを注ぎ、顔面を思い切り殴る。
しかし、少女は吹き飛ばずに受けきる。


「いいパンチだ……ルシフェルッ!!」


「その名で呼ぶな、クソ雑魚がッ!!」


接触したままの拳に力を入れ直し、少女を殴り飛ばす。


「へっへっへー、まさか本当にルシフェルがいるとは思わなかったぜ」


「サタン、お前には二度と会いたくなかったよ」


対峙する二人を見て、セレネとリリーは固まる。


「うそ……レインさんが二人!?」


姿形レインにそっくりな少女。
違う点は、髪の色が赤か黒かだけ。
声も全く同じで、誰が聞いても間違えるほどだった。

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