最弱が世界を救う。

しにん。

《憤怒》1

「ふぅ、長かったな。やっと戦える……この憤怒、この憎悪、この殺意、この怨恨、あぁ待ち望んでいた時が近い。人間と悪魔どちらが強者か、決着の時だ英雄よ」


赤い髪の少女は、ただひたすらに笑う。
窓から見える外の景色を見て―――




エクスは、国王の居場所を聞き全速力で走り抜ける。


「エクスさん、もうそろそろアブノーマル形態モードの限界時間です。一旦、解きますね」


「あぁ、ありがとう。おかげで割と順調に進めれたよ」


指輪に話しかけ、ニコリと笑う。
周囲の人からは不審に思われ、避けられた。
そんなことを気にせずエクスは自らの力で歩き続ける。
最後の七大悪魔……あの力を前に俺は絶望せずにいられるのか。
あの力を感じて俺は、俺は―――


「おっと、エクス、敵のお出ましだ」


「あれは―――馬?角が生えてる?」


「ありゃ、一角獣って奴だな。アムドゥスキアスか?」


「アムドゥ……?え?」


「簡単に言えばユニコーンだ。馬みたいな見た目のくせに、頭に一本の角が生えてやがる。あくまで俺の予想だがあれは《憤怒》の悪魔の使い魔、とやらだな」


ソロモンは、やや重ための言葉を漏らす。
余程、厳しい状況なのだろう。
声だけでも伝わってくる緊張感。


「来るぞ、油断はするなよ。貫かれるぞ」


気がつくと目の前まで迫られていた。
当たる寸前でギリギリに回避し、次の攻撃に向けて意識を向ける。


「ヒヒィン!!」


前足を浮かべ、大きく威嚇をしたかと思えばまばゆい光に包まれる。
反射的に目を隠し、収まるのを待つ。


「な、何だったんだ今の光。閃光弾か何か―――」


謎の金属音が聞こえ、言葉を消す。
ギシギシと歩いてくる音に目をやると、そこには一人の鎧騎士が見て取れた。
左手には体を包み込むほどの大きな盾。
右手にはトリアイナと同等と言っても、過言ではないほどの力を思わせる一本の槍。


「我が名は、ユニコーン。我が主の命令に従い、エクスを排除対象へと移行。目標発見のため、任務を遂行する」


「人になった……だと!?しかもあの槍はなんだ、人間界にある素材じゃないように思える。あそこまで禍々しい武器は久しぶりに見たぞ」


「ソロモンッ!!今はそれどころじゃない、ミルティの力を使えない分、お前の力が必要なんだ。何か良い策はないか?」


「同じ力をぶつけるってのはどうだ?」


「面白い」


ソロモンから知識を貰い、一人の悪魔を呼ぶ。
手のひらには一冊の本が現れ、パラパラとめくれて行きあるページで止まる。


「グリモワール・ゴエティア、召喚イヴォーク、アムドゥスキアスッ!!」


大きな召喚陣が空中に浮かび上がると、そこからユニコーンとほぼ同じの一角獣が鮮やかに登場する。
全身を白い毛で覆われ、頭の一本の立派な角は気高く。


久方ひさかたぶりだな、契約者。と、言いたいところだが君は契約者の後継者、エクスとやらか。私を呼んだということはそう何かあるのだろう?」


「率直に言う、目の前の敵を見て何を思う」


「私と同じ力を持っている者みたいだな。実に腹ただしい」


「了解だ、んなら力を貸してくれ。今俺は魔力がない。お前の力を俺は欲する」


「後継者、なかなかに面白い。いいだろう、我が槍容易く負けはせぬ」


アムドゥスキアスは一本の白い槍へと姿を変える。
エクスはそれを握りしめ、目の前の鎧騎士と対峙する。
その迫力に少しだけ怖気付くが、負けじと殺気をあらわす。


「英雄よ、凄まじい程の殺意、やはり先日の殺人は本当のようだな?」


「言っとくが俺は何もしてねぇ。俺が殺すのは―――俺が敵だと認めた相手だけだッ!!」


両者走り出し、槍を豪快に振り回す。
エクスの槍は盾で防がれ、槍を突きつけられる。


「くっ……負けるかッ!!一角獣の咆哮サイホーン・ブラストッ!!」


攻撃された右足の太ももの痛みを我慢しながら叫ぶ。
空へ槍をかかげると、一本の光が伸び空を翔る。
ユニコーンは攻撃を警戒し、盾で防御を。


「行くぜッ、アムドゥスキアス!!」


超高速でユニコーンの背後へと回り込む。
あらかじめ予想していたのか、ユニコーンはこちらを見ていた―――

「最弱が世界を救う。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く