最弱が世界を救う。
新婚旅行の始まり。
「ってことがあって、俺はソロモンから夢を託された。勿論レイン達がソロモンの事を嫌いなのも分かっているけど、それ以上に託された夢を俺は全力で叶える」
エクスの話を聞いていると、レインは表情を暗くし俯く。
何かに怯えたようにぷるぷると方を震わせている。
「ど、どうしたの?」
「ソロモンが言っていたことは本当……だったの」
「世界を救いに行く」と、ソロモンは言っていた。
勿論、嘘だという根拠は何も無かったが、レインは信じていなかった。
こんな奴は世界を救うよりも、壊す側だと勝手に決めつけていた。
ソロモンを倒し、エクスを救うためにレインは戦った。
が、その逆もまた然り。
エクスを捨て、世界を救う。
ソロモンの強さならきっと七大悪魔を簡単に倒せただろう。
様々な思いがレインの頭の中で渦巻く。
「……ン!レイン!やっと気がついたか、また倒れていたぞ」
「ごめん……考えていたら頭の中が真っ白になった……」
心配し、レインに寄るが一向に表情は暗いままだった。
二人が色々な事で悩んでいると、目の前に大きな悪魔が現れる。
「なんだこの大きさ、今までの悪魔とは比べ物にならない。一体何が────」
大きさは近くで一番高い木を軽々と超えていた。
目測およそ15m越え。
これほどまでの悪魔と戦うのは二人にとって初めてだった。
「ぴゅーん!!」
効果音をそのまま叫んだ声が聞こえてくる。
何かが飛んできて、目の前の巨大な悪魔が消えていく。
「な、なんだ」
暴風が吹き荒れ、立っているだけでも厳しい中、砂埃の中から人影が見える。
「ひょー!ひょー!強そうな人はっけーん!」
「……は?」
呆気を取られ、エクスはみっともない返事をする。
「あれれー?言葉が通じないのかなー?もしもーし聞こえてますかー!」
「聞こえてるって、君は誰」
「私は近くで警備隊をやらされてる、ルーだよー?それよりも君たち強いんだよね!?」
妙に明るいルーは、レインと目が合うとすぐ近寄り大声で質問をする。
「元気ですかー!!」
「ちょっと今は元気ないかな」
「ありゃ、そうでしたか。ざーんねん、お姉さんとも戦ってみたかったけどこっちのお兄さんで我慢するかー!」
「待て待て、何いきなり戦うみたいな流れになってるの」
「えっ?」
「え?はこっちのセリフだな。戦って俺らにメリットはあるのか?」
「ん?楽しいからに決まってるでしょ?」
ルーはこちらの話を一切聞かない。
「ねぇねぇ!戦おうよ!ねぇってばぁー!」
おもちゃを買ってもらえない子供みたいに駄々をこね始め、精神年齢が低そう。
エクスが抱いた第一印象は、これだった。
「わかった、わかったってば。ひとまず落ち着け」
「エクスくんって本当に甘いよね……」
レインは少し嫌みがかった言い方で日陰へと移動する。
未だにソロモンを殺して正解だったのか、それだけを考えている。
その事を知らないエクスはルーと向かい合い攻撃態勢へと入る。
「やった!やった!やったった!いょーっし、行っくよ!」
ルーは叫ぶと一気に空へとジャンプする。
太陽と重なった位置に行くと、急降下してくるルーが見えてきた。
「キーック!!」
何をしてくるかと思うと、魔法も何も使わず、純粋な蹴りの体勢でこちらへと向かってくる。
難なく躱すと、ルーは地面と激しくぶつかる。
辺り一帯砂埃が舞い始め、視界を遮断する。
「パーンチッ!!」
次こそ魔法を使用するかと警戒していたが、何の変哲もないパンチが飛んできた。
「おりょ?止められた?」
「無闇に突っ込んでくるからね。来る場所がわかれば防御なんてし放題だぞ?」
ルーの拳は確実にエクスの顔面を狙っていた。
エクスの言っていたとおり、来る場所が事前にわかっている攻撃なんて攻撃と呼ばない。
顔の前で水の壁を生成し、防御しただけだが僅かに亀裂が入っていた。
「えー、ならこんなの?」
足元の土を力いっぱい殴り、地形を変える。
「せーっの!」
勢いよく地盤とされていた土が上に飛び、ルーの拳によって吹き飛ばされる。
「無茶苦茶な戦い方だな……嫌いじゃない」
一直線に飛んでくる大きな土の塊を剣で切った瞬間に気づく。
今の攻撃は囮だと。
切れ間から飛び出てきたルーはあっという間にエクスの目前へと距離を詰める。
防御が間に合わない────とエクスが考えていると、見えていた景色が変わる。
「ほいっと、大丈夫エクスくん?」
「助かったぜ、レイン」
予め標的をエクスに付けていたため、転移魔法で呼び寄せた。
レインは少し呆れた顔で
「本当にエクスくんってどこに行っても戦ってばかりだね?ここに来た理由覚えてる?」
「し、新婚旅行……です」
女が強い家庭の出来上がり。
エクスは流石の嫁には腰が低かった。
「おぉ、おおぉ!!パパッ!!」
「えぇっ!?」
パパと呼ばれ振り向いたところにはルーがいた。
「パパぁ、パパッパパッ!」
「だー、抱き着いてくるなって。いきなり何なんだッ!」
ルーはコアラのようにエクスにしがみ付いていた。
ギューッと力強く抱き着かれ、レインには白い目で見られる。
「ちょっと待て、パパってのはなんだ?」
「私ね両親に会ったことがないんだー。育ててくれた人が昔から言ってたんだよね、あんたより強い人があんたの親だよって」
「それ適当すぎねぇか!?」
ルー曰く、ルーより強き者が親。
全く意味がわからないエクスは更に頭を悩ませる。
「エクスくん……」
「なに?」
「隠し子かい?」
「ちがーう!!」
エクス達の新婚旅行はこうして、意味不明な出会いから始まった───
エクスの話を聞いていると、レインは表情を暗くし俯く。
何かに怯えたようにぷるぷると方を震わせている。
「ど、どうしたの?」
「ソロモンが言っていたことは本当……だったの」
「世界を救いに行く」と、ソロモンは言っていた。
勿論、嘘だという根拠は何も無かったが、レインは信じていなかった。
こんな奴は世界を救うよりも、壊す側だと勝手に決めつけていた。
ソロモンを倒し、エクスを救うためにレインは戦った。
が、その逆もまた然り。
エクスを捨て、世界を救う。
ソロモンの強さならきっと七大悪魔を簡単に倒せただろう。
様々な思いがレインの頭の中で渦巻く。
「……ン!レイン!やっと気がついたか、また倒れていたぞ」
「ごめん……考えていたら頭の中が真っ白になった……」
心配し、レインに寄るが一向に表情は暗いままだった。
二人が色々な事で悩んでいると、目の前に大きな悪魔が現れる。
「なんだこの大きさ、今までの悪魔とは比べ物にならない。一体何が────」
大きさは近くで一番高い木を軽々と超えていた。
目測およそ15m越え。
これほどまでの悪魔と戦うのは二人にとって初めてだった。
「ぴゅーん!!」
効果音をそのまま叫んだ声が聞こえてくる。
何かが飛んできて、目の前の巨大な悪魔が消えていく。
「な、なんだ」
暴風が吹き荒れ、立っているだけでも厳しい中、砂埃の中から人影が見える。
「ひょー!ひょー!強そうな人はっけーん!」
「……は?」
呆気を取られ、エクスはみっともない返事をする。
「あれれー?言葉が通じないのかなー?もしもーし聞こえてますかー!」
「聞こえてるって、君は誰」
「私は近くで警備隊をやらされてる、ルーだよー?それよりも君たち強いんだよね!?」
妙に明るいルーは、レインと目が合うとすぐ近寄り大声で質問をする。
「元気ですかー!!」
「ちょっと今は元気ないかな」
「ありゃ、そうでしたか。ざーんねん、お姉さんとも戦ってみたかったけどこっちのお兄さんで我慢するかー!」
「待て待て、何いきなり戦うみたいな流れになってるの」
「えっ?」
「え?はこっちのセリフだな。戦って俺らにメリットはあるのか?」
「ん?楽しいからに決まってるでしょ?」
ルーはこちらの話を一切聞かない。
「ねぇねぇ!戦おうよ!ねぇってばぁー!」
おもちゃを買ってもらえない子供みたいに駄々をこね始め、精神年齢が低そう。
エクスが抱いた第一印象は、これだった。
「わかった、わかったってば。ひとまず落ち着け」
「エクスくんって本当に甘いよね……」
レインは少し嫌みがかった言い方で日陰へと移動する。
未だにソロモンを殺して正解だったのか、それだけを考えている。
その事を知らないエクスはルーと向かい合い攻撃態勢へと入る。
「やった!やった!やったった!いょーっし、行っくよ!」
ルーは叫ぶと一気に空へとジャンプする。
太陽と重なった位置に行くと、急降下してくるルーが見えてきた。
「キーック!!」
何をしてくるかと思うと、魔法も何も使わず、純粋な蹴りの体勢でこちらへと向かってくる。
難なく躱すと、ルーは地面と激しくぶつかる。
辺り一帯砂埃が舞い始め、視界を遮断する。
「パーンチッ!!」
次こそ魔法を使用するかと警戒していたが、何の変哲もないパンチが飛んできた。
「おりょ?止められた?」
「無闇に突っ込んでくるからね。来る場所がわかれば防御なんてし放題だぞ?」
ルーの拳は確実にエクスの顔面を狙っていた。
エクスの言っていたとおり、来る場所が事前にわかっている攻撃なんて攻撃と呼ばない。
顔の前で水の壁を生成し、防御しただけだが僅かに亀裂が入っていた。
「えー、ならこんなの?」
足元の土を力いっぱい殴り、地形を変える。
「せーっの!」
勢いよく地盤とされていた土が上に飛び、ルーの拳によって吹き飛ばされる。
「無茶苦茶な戦い方だな……嫌いじゃない」
一直線に飛んでくる大きな土の塊を剣で切った瞬間に気づく。
今の攻撃は囮だと。
切れ間から飛び出てきたルーはあっという間にエクスの目前へと距離を詰める。
防御が間に合わない────とエクスが考えていると、見えていた景色が変わる。
「ほいっと、大丈夫エクスくん?」
「助かったぜ、レイン」
予め標的をエクスに付けていたため、転移魔法で呼び寄せた。
レインは少し呆れた顔で
「本当にエクスくんってどこに行っても戦ってばかりだね?ここに来た理由覚えてる?」
「し、新婚旅行……です」
女が強い家庭の出来上がり。
エクスは流石の嫁には腰が低かった。
「おぉ、おおぉ!!パパッ!!」
「えぇっ!?」
パパと呼ばれ振り向いたところにはルーがいた。
「パパぁ、パパッパパッ!」
「だー、抱き着いてくるなって。いきなり何なんだッ!」
ルーはコアラのようにエクスにしがみ付いていた。
ギューッと力強く抱き着かれ、レインには白い目で見られる。
「ちょっと待て、パパってのはなんだ?」
「私ね両親に会ったことがないんだー。育ててくれた人が昔から言ってたんだよね、あんたより強い人があんたの親だよって」
「それ適当すぎねぇか!?」
ルー曰く、ルーより強き者が親。
全く意味がわからないエクスは更に頭を悩ませる。
「エクスくん……」
「なに?」
「隠し子かい?」
「ちがーう!!」
エクス達の新婚旅行はこうして、意味不明な出会いから始まった───
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