最弱が世界を救う。
最終決戦。
「さて、最後の戦いだね。なんだか拍子抜けだなぁ」
「何がですか?」
「人間の王とか散々言ってたくせに、これだけ追い詰められてるんだよ?少し可哀想になってきた」
二人がニコニコと笑いながらソロモンのいる場所へと歩を進めると、目の前の卵のような物体へ視線が行く。
「卵?なにこれ」
触ろうとした瞬間、卵はピキピキと音を立て割れ始める。
「レインさん嫌な予感がします、少し離れましょう」
レインの転移魔法で後ろの方へと避難する。
逃げ切ったと同時に卵から破裂音が響く。
「うわっ、何この音」
あまりの不快な音のため、二人は耳を塞ぐ。
少しの時間が流れ、音が消える。
先程までとは違い、静寂の世界が広がる。
「あれ、さっきの卵は?」
「無い……ですね。どこに────」
目の前にあったはずの卵が消え、二人が探そうとすると上空で禍々しいオーラを放つ何かがあった。
黒い太陽の様な球体はゆっくりと地面へと落下していく。
「リリー、気をつけて。あれはソロモンの力を感じる」
「やっぱりですか。ここまで来たんです、負けるわけには行きませんよ」
「うん、必ずエクスくんを取り戻そう」
黒い球体が地面へと着地すると、地面が腐敗していく。
凄まじい負の力は生命を奪い去っていく。
「ソロモン!!決着の時よ!!」
「決着……?お前らが死ぬ時の間違えだ」
ソロモンはゆっくりと立ち上がる。
肌は黒く染まり、元は人間という事を忘れさせるほどの豹変ぶりだった。
「エクスくんを返してもらおうか?」
「力尽くで奪ってみろ」
「言われなくとも!!」
叫んだ瞬間、レインはソロモンへも殴りかかっていた。
しかし、片手で軽く止められる。
止められることは想定内、敢えての囮として次の攻撃へと全力を注ぐ。
「喰らえ───ッ!!」
止められた左手とは逆の右手でソロモンへと殴りかかる。
「裁きの鉄槌!!」
右手は焔を纏いソロモンの顔目掛けて一直線へと進む。
防御の構えをすると、ソロモンは背後からの攻撃によりふらつく。
「ほう……力で勝てない相手には頭脳ってことか?」
「この魔法は君の悪魔の力、とやらをモチーフにしたもの」
レインの右腕は消えていた。
ソロモンが消したわけではない。
「転移魔法・門。私だけの固有魔法だよ。窓を使って一部分だけを転移できるけど、魔力消費が多いから連発は厳しいかな」
「なるほど、それで背後からの不意打ちということか。なかなかに面白い」
ソロモンの後頭部は燃えているが、すぐに鎮火される。
ダメージはほぼ回復され、レインは顔を引きつらせる。
「ようやく謎が解けたよ。さっきまでの悪魔達が消えた理由」
「え、レインさんが倒したんじゃないんですか?」
「手応えが全く感じられなかった、私は自分の力で消したかと思ってたけどそうじゃない。さっきの異常なまでの回復力を見て確信したよ」
レインは
「全ての悪魔を吸収したな」
「正解だ、見事正解した貴様には死をくれてやろう」
「お断りしますよ、エクスくんを取り戻すまで死ぬわけには行かない」
リリーは二人の戦いへ介入しようとするが、気圧され後ずさるしかない。
人間の分際で立ち入れる戦いではない。
そう思わせるほど、その場の雰囲気は重く、辛いものだった。
「さぁ、続けるぞ。世界を掛けた最高の殺し合いを────ッ!!」
「世界を終わらせなんてさせない!!」
熱い視線がぶつかり、バチバチと火花を散らす。
「穿て!!地を割り、海を割りて、星を貫け!!海王ポセイドン『トリアイナ』!!」
「とうとう出てきたね、『トリアイナ』。あれとは戦いたくなかったんだけど……」
ソロモンの右手には長い槍が顕現されていた。
その瞬間、大地が震え始める。
天変地異かと思うほどの揺れは、全世界の人々を恐怖のどん底へと突き落とす。
「これが、海王ポセイドンの力……本当に厄介な相手だ。リリー、打ち合わせ通りに一時待機してて」
「わかりました、必ずエクスさんを取り戻してください!!」
「言われなくとも!!」
力強く地を蹴り、トリアイナと交わる。
体術、剣術、槍術、全ての力を駆使し、二人は命をかけた戦いを再開した。
見守ることしか出来ないリリーは、下唇を噛み締め自分の弱さを認めていた。
戦いは激しく、立っているだけでも厳しく、より弱さを実感させられていた。
「大丈夫ですか、リリーさん」
「セレネさん!!ミルティちゃんはどうしたんですか?」
「今は眠って貰ってます。それよりもこれはどうしたんですか?」
リリーの元へ駆けつけたセレネは大体の状況を把握する。
「ひとまず、固有結界で壁を作ります。この中ならなんとかこの戦いを見守ることが出来るかと」
セレネの固有結界は二人を包み込み、風すら吹かぬ空間へと変わる。
ソロモンとレインの剣と槍がぶつかる度に、金属音が響き渡る。
右から斜め下へ剣を振り下ろすと、ソロモンは軽く防御の構えをとり、更には反撃へと移る。
攻防逆転したレインだが、負けじと攻撃と防御を同時に行う。
「エノシ・ガイオス」
ソロモンが呟いた、低く冷たい声はレインさえも恐怖するほどだった。
「なに……あれ」
目の前に広がる光景は、一言で言うと地獄。
無数のトリアイナが矛先をこちらへと向けている。
「レインさん!!」
「舐めるなあああ!!」
右手を上に掲げ、太陽をもう一つ作り出す。
「全てを焼き払ってやる!!サンバースト!!」
槍は全て太陽へと向かい突き進んでいく。
「何がですか?」
「人間の王とか散々言ってたくせに、これだけ追い詰められてるんだよ?少し可哀想になってきた」
二人がニコニコと笑いながらソロモンのいる場所へと歩を進めると、目の前の卵のような物体へ視線が行く。
「卵?なにこれ」
触ろうとした瞬間、卵はピキピキと音を立て割れ始める。
「レインさん嫌な予感がします、少し離れましょう」
レインの転移魔法で後ろの方へと避難する。
逃げ切ったと同時に卵から破裂音が響く。
「うわっ、何この音」
あまりの不快な音のため、二人は耳を塞ぐ。
少しの時間が流れ、音が消える。
先程までとは違い、静寂の世界が広がる。
「あれ、さっきの卵は?」
「無い……ですね。どこに────」
目の前にあったはずの卵が消え、二人が探そうとすると上空で禍々しいオーラを放つ何かがあった。
黒い太陽の様な球体はゆっくりと地面へと落下していく。
「リリー、気をつけて。あれはソロモンの力を感じる」
「やっぱりですか。ここまで来たんです、負けるわけには行きませんよ」
「うん、必ずエクスくんを取り戻そう」
黒い球体が地面へと着地すると、地面が腐敗していく。
凄まじい負の力は生命を奪い去っていく。
「ソロモン!!決着の時よ!!」
「決着……?お前らが死ぬ時の間違えだ」
ソロモンはゆっくりと立ち上がる。
肌は黒く染まり、元は人間という事を忘れさせるほどの豹変ぶりだった。
「エクスくんを返してもらおうか?」
「力尽くで奪ってみろ」
「言われなくとも!!」
叫んだ瞬間、レインはソロモンへも殴りかかっていた。
しかし、片手で軽く止められる。
止められることは想定内、敢えての囮として次の攻撃へと全力を注ぐ。
「喰らえ───ッ!!」
止められた左手とは逆の右手でソロモンへと殴りかかる。
「裁きの鉄槌!!」
右手は焔を纏いソロモンの顔目掛けて一直線へと進む。
防御の構えをすると、ソロモンは背後からの攻撃によりふらつく。
「ほう……力で勝てない相手には頭脳ってことか?」
「この魔法は君の悪魔の力、とやらをモチーフにしたもの」
レインの右腕は消えていた。
ソロモンが消したわけではない。
「転移魔法・門。私だけの固有魔法だよ。窓を使って一部分だけを転移できるけど、魔力消費が多いから連発は厳しいかな」
「なるほど、それで背後からの不意打ちということか。なかなかに面白い」
ソロモンの後頭部は燃えているが、すぐに鎮火される。
ダメージはほぼ回復され、レインは顔を引きつらせる。
「ようやく謎が解けたよ。さっきまでの悪魔達が消えた理由」
「え、レインさんが倒したんじゃないんですか?」
「手応えが全く感じられなかった、私は自分の力で消したかと思ってたけどそうじゃない。さっきの異常なまでの回復力を見て確信したよ」
レインは
「全ての悪魔を吸収したな」
「正解だ、見事正解した貴様には死をくれてやろう」
「お断りしますよ、エクスくんを取り戻すまで死ぬわけには行かない」
リリーは二人の戦いへ介入しようとするが、気圧され後ずさるしかない。
人間の分際で立ち入れる戦いではない。
そう思わせるほど、その場の雰囲気は重く、辛いものだった。
「さぁ、続けるぞ。世界を掛けた最高の殺し合いを────ッ!!」
「世界を終わらせなんてさせない!!」
熱い視線がぶつかり、バチバチと火花を散らす。
「穿て!!地を割り、海を割りて、星を貫け!!海王ポセイドン『トリアイナ』!!」
「とうとう出てきたね、『トリアイナ』。あれとは戦いたくなかったんだけど……」
ソロモンの右手には長い槍が顕現されていた。
その瞬間、大地が震え始める。
天変地異かと思うほどの揺れは、全世界の人々を恐怖のどん底へと突き落とす。
「これが、海王ポセイドンの力……本当に厄介な相手だ。リリー、打ち合わせ通りに一時待機してて」
「わかりました、必ずエクスさんを取り戻してください!!」
「言われなくとも!!」
力強く地を蹴り、トリアイナと交わる。
体術、剣術、槍術、全ての力を駆使し、二人は命をかけた戦いを再開した。
見守ることしか出来ないリリーは、下唇を噛み締め自分の弱さを認めていた。
戦いは激しく、立っているだけでも厳しく、より弱さを実感させられていた。
「大丈夫ですか、リリーさん」
「セレネさん!!ミルティちゃんはどうしたんですか?」
「今は眠って貰ってます。それよりもこれはどうしたんですか?」
リリーの元へ駆けつけたセレネは大体の状況を把握する。
「ひとまず、固有結界で壁を作ります。この中ならなんとかこの戦いを見守ることが出来るかと」
セレネの固有結界は二人を包み込み、風すら吹かぬ空間へと変わる。
ソロモンとレインの剣と槍がぶつかる度に、金属音が響き渡る。
右から斜め下へ剣を振り下ろすと、ソロモンは軽く防御の構えをとり、更には反撃へと移る。
攻防逆転したレインだが、負けじと攻撃と防御を同時に行う。
「エノシ・ガイオス」
ソロモンが呟いた、低く冷たい声はレインさえも恐怖するほどだった。
「なに……あれ」
目の前に広がる光景は、一言で言うと地獄。
無数のトリアイナが矛先をこちらへと向けている。
「レインさん!!」
「舐めるなあああ!!」
右手を上に掲げ、太陽をもう一つ作り出す。
「全てを焼き払ってやる!!サンバースト!!」
槍は全て太陽へと向かい突き進んでいく。
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