最弱が世界を救う。

しにん。

修行開始。

セレネの指示通り、新たな力を手に入れるために修行を始めた。
具体的にはレインは新技の開発、リリーは魔力増加、セレネは技の練度上げ。


「本当にこんなんで強くなれるの?」


「はい、私を信じてください」


レインの修行は国の外へ出て、悪魔をひたすら倒すだけ。
相手にすらならない雑魚をただ倒すだけだった。
開始から既に二時間過ぎているため、倒した数は百を超えていた。


「で、あの。私は何を?」


「リリーさんは少し待っていてください」


「えぇ……」


レインの修行を見ている横でリリーは退屈そうに地面を弄っていた。
長時間の果てのない戦いでレインは肩で息を始める。


「流石に、長時間は厳しいね」


「それでは、リリーさん修行を始めましょうか」


突然振り返り、綺麗な百点満点笑顔を向けられリリーは冷や汗をかく。


「──やっぱり、嫌な予感がしたんだよね」


「私もだいたい予想できてた」


「それじゃ、お二人共頑張ってくださいね」


今レインの目の前にいる敵は、先程まで倒した敵。
その数二百を超える。
倒した悪魔全てをリリーは屍として復活させていた。
初めてこの量の屍を復活させたため、リリーの魔力は無くなりつつあった。


「ひとまず、この屍を倒せばいいんだよね?」


「はい。すべて倒し終わり次第リリーさんが復活させていく無限ループです」


その日はセレネの許しが出るまで延々と悪魔を倒す作業が続いた。






──大きな草原に、ソロモンとミルティは顔を見合わせ対峙していた。


「さて、私の奴隷になったからには今まで以上に鍛えさせるからな」


「は、はい!!」


最初のうちは威勢が強く、組手も楽しそうにしていたのがやはりレベルの差が大きすぎるため、ミルティは手も足も出ない。


「ミルティ、今まで護身術とかは習わなかったのか?」


「奴隷商人の、所で生きて、きたので……」


「あー、そうだったな。済まなかった」


辛い過去を思い出させたのか、ミルティの目には涙が溜まっている。


「それじゃ基礎からって事だな。護身術が身に付くと後々の修行が楽になる。基礎は怠るなよ」


ソロモンはそこから様々な護身術を覚えさせた。
ミルティはまだ子供だった分、覚えが早く上達が凄い勢いだった。
たった一日で護身術を習得したミルティを見てソロモンは一つ思いつく。


「お前もしかしてアブノーマルか?」


ミルティはビクッと驚き、大きな耳が垂れ下がる。


「ど、どうして、気づいたんです、か?」


「真面目に覚えようとした心は素晴らしい。だが、習得があまりにも早すぎる。私の予想でも一週間以上はかかると考えていたが、数時間で覚えたからもしかして、と思ったわけだ」


「確かに、私はアブノーマル、ですが、何もしていないので、弱いです」


「まだ能力が開花していないだけだ。いずれは私の戦力として戦ってもらう日が来るかもだな」


「ソロモンさんの、お役に……」


「どうした?」


「い、いえ……」


ミルティが何かを考えていたがそれ以上は詮索しない事にした。


「それじゃ明日からは何とか私と組手が出来るかな。まぁ、私は体術が苦手だが」


少し引きつった笑顔をミルティに見せる。
ミルティも返事をするように、無垢な笑顔を送る。


「今日はここまでだ。夜の宿を探しに行こう。確かこの近くに国が──ラフィナだな、グリモワール・ゴエティア展開オープン召喚イヴォークセーレ」


本からは一人の男が飛び出してくる。


「主の仰せのままに」


「ラフィナの門付近まで転移を頼む」


無言で頷き、セーレは二人の方に手を置くと一瞬でラフィナへと辿り着く。
セーレは一礼をすると直ぐに本へと帰っていく。
パッと見人間と大差は無いが、良く見ると違う点が多いため直ぐに悪魔だとバレる。


「さて、宿を────」


国へ入り、辺りを見回していると後ろから声をかけられる。


「おや?エクスくんじゃないっすか?」


服を着崩し、何ともだらしない格好の女性が話しかけてきた。


「誰だ」


「んー、もはやエクスくんアルツハイマーか何かっすか?まだそんな歳じゃないっすよね」


「答えないのならば私は去る」


「私はゼルっすよ。《嫉妬》の悪魔討伐依頼っすね、まぁゼノに会っていくっすよ」


ほぼ無理矢理『アテナ』の基地へと引っ張られ拒否権はなかった。
置いて行かれそうになったミルティは全速力でソロモンの後を追いかける。

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