最弱が世界を救う。
奴隷。
「よし、ここなら、多分、安全」
ソロモンの身の安全のため、小さな洞穴へと避難させる。
この場所を探し、移動するだけで丸一日が過ぎていた。
「あとは、ソロモンさんが、目を覚まして、くれると」
「呼んだか?」
「ひゃっ!!」
目を覚ましていたことに気がついていなく、変な声が漏れる。
「いっつつ、頭が痛いな。ここは──なるほど、助けてくれたのか。ありがとうミルティ」
「は、はい!!本当に、良かったです。もう、一生目が、覚めないかと」
「それよりだ、あの状況からどうやって逃げ出せたんだ?」
素朴な疑問を口にする。
目覚めてから考えていたソロモンは答えに辿り着けずに、答えを聞くことにした。
とある事に期待して。
「あ、えっと。ソロモンさんの、本の力を──」
ゴエティアの話を始めた瞬間、ソロモンの目つきが変わる。
「おい、今ゴエティアをどうしたと?」
「えっと、その、勝手に、使いました」
「馬鹿じゃねぇのか!?使えたってことはお前まさか──」
ソロモンはミルティへ近づくと首を絞める。
「やっぱりな。お前なぜ奴隷契約をした」
首に嵌められた首輪を掴む。
息苦しさに耐え、ミルティは言葉を返す。
「ソロモンさんに、死んで欲しく、無かったから」
「そうか、済まなかった」
掴んでいた手を離すと、ミルティはゴホゴホと咳き込む。
多少の罪悪感はあったが、ソロモンは心を鬼にして怒る。
「助けてくれたことは、礼を言う。ありがとう。だが奴隷契約をした意味理解しているな?」
「従者様が、死ぬと、奴隷も、死ぬ」
「ちゃんと理解しているならまだマシだ。知らないとか言ってたら殺してたからな」
殺すと言われ、ミルティは本当に殺されると思い涙を流しながら謝り続ける。
──エインガルド王城内。
ソロモンとの戦いで傷を負った三人はエインガルドの王城へ戻り、休養を取っていた。
「レインさんお気分は大丈夫ですか?」
一番深手を負ったレインは全身を包帯で巻かれ、死一歩手前だった。
「自分への憎しみで今にもおかしくなりそうだよ」
「あと一歩──それが届けばエクスさんを取り戻せた」
「レインさんが全て悪いわけではありませんよ。相手が何枚も上手だっただけです」
「そうですよ!!次の戦いへ備えて私達も強くなりましょうよ」
ベッドの上で落ち込んでいたレインを、セレネとリリーは元気づける。
直接ソロモンと戦っていない二人は軽傷ですんでいた。
それでも皮膚は火傷のあとがチラホラ見える。
「強く───私はもっと強くならなきゃいけない。エクスくんを守るために」
「うん、その意気だよ」
「今回は私がソロモンの力を見誤ってたのが一番の原因。途中、勝ったと気が抜けたのもまた悪かった点です」
「確かにそれはそうかもしれないですね」
「ちょっと、セレネさんそれは少し言い過ぎなのでは」
「うん、大丈夫だよリリー。実際本当の事なんだから」
「レインさん……」
レインは自分の過ちを後悔し、涙を流す。
あの時皆で一緒に戦っていたら。
あの時油断しなかったら。
あの時助けることが出来たなら。
様々な後悔がレインの精神を追い込んでいく。
「レインさん、人間は道を踏み間違えて強くなります。一度の失敗で全てを失う事はあると思いますが、それ以上に得るものだってあります。この失敗を次への糧とし、次こそは勝ちましょう」
演説のようなセレネの話が終わると、二人は聞き入りすぎて終わった事にすら気付かなかった。
「あ、その、セレネありがとう。こんな私のために熱くなってくれて」
「いえいえ、こんな事を言うのも強くなるために私なりに考えがあったからです」
「強くなるため?何か修行内容でも思いついたの?」
「はい、次への戦いまでに力を付けていただくために」
セレネの不気味な笑に、二人は背筋を凍らせる。
ソロモンの身の安全のため、小さな洞穴へと避難させる。
この場所を探し、移動するだけで丸一日が過ぎていた。
「あとは、ソロモンさんが、目を覚まして、くれると」
「呼んだか?」
「ひゃっ!!」
目を覚ましていたことに気がついていなく、変な声が漏れる。
「いっつつ、頭が痛いな。ここは──なるほど、助けてくれたのか。ありがとうミルティ」
「は、はい!!本当に、良かったです。もう、一生目が、覚めないかと」
「それよりだ、あの状況からどうやって逃げ出せたんだ?」
素朴な疑問を口にする。
目覚めてから考えていたソロモンは答えに辿り着けずに、答えを聞くことにした。
とある事に期待して。
「あ、えっと。ソロモンさんの、本の力を──」
ゴエティアの話を始めた瞬間、ソロモンの目つきが変わる。
「おい、今ゴエティアをどうしたと?」
「えっと、その、勝手に、使いました」
「馬鹿じゃねぇのか!?使えたってことはお前まさか──」
ソロモンはミルティへ近づくと首を絞める。
「やっぱりな。お前なぜ奴隷契約をした」
首に嵌められた首輪を掴む。
息苦しさに耐え、ミルティは言葉を返す。
「ソロモンさんに、死んで欲しく、無かったから」
「そうか、済まなかった」
掴んでいた手を離すと、ミルティはゴホゴホと咳き込む。
多少の罪悪感はあったが、ソロモンは心を鬼にして怒る。
「助けてくれたことは、礼を言う。ありがとう。だが奴隷契約をした意味理解しているな?」
「従者様が、死ぬと、奴隷も、死ぬ」
「ちゃんと理解しているならまだマシだ。知らないとか言ってたら殺してたからな」
殺すと言われ、ミルティは本当に殺されると思い涙を流しながら謝り続ける。
──エインガルド王城内。
ソロモンとの戦いで傷を負った三人はエインガルドの王城へ戻り、休養を取っていた。
「レインさんお気分は大丈夫ですか?」
一番深手を負ったレインは全身を包帯で巻かれ、死一歩手前だった。
「自分への憎しみで今にもおかしくなりそうだよ」
「あと一歩──それが届けばエクスさんを取り戻せた」
「レインさんが全て悪いわけではありませんよ。相手が何枚も上手だっただけです」
「そうですよ!!次の戦いへ備えて私達も強くなりましょうよ」
ベッドの上で落ち込んでいたレインを、セレネとリリーは元気づける。
直接ソロモンと戦っていない二人は軽傷ですんでいた。
それでも皮膚は火傷のあとがチラホラ見える。
「強く───私はもっと強くならなきゃいけない。エクスくんを守るために」
「うん、その意気だよ」
「今回は私がソロモンの力を見誤ってたのが一番の原因。途中、勝ったと気が抜けたのもまた悪かった点です」
「確かにそれはそうかもしれないですね」
「ちょっと、セレネさんそれは少し言い過ぎなのでは」
「うん、大丈夫だよリリー。実際本当の事なんだから」
「レインさん……」
レインは自分の過ちを後悔し、涙を流す。
あの時皆で一緒に戦っていたら。
あの時油断しなかったら。
あの時助けることが出来たなら。
様々な後悔がレインの精神を追い込んでいく。
「レインさん、人間は道を踏み間違えて強くなります。一度の失敗で全てを失う事はあると思いますが、それ以上に得るものだってあります。この失敗を次への糧とし、次こそは勝ちましょう」
演説のようなセレネの話が終わると、二人は聞き入りすぎて終わった事にすら気付かなかった。
「あ、その、セレネありがとう。こんな私のために熱くなってくれて」
「いえいえ、こんな事を言うのも強くなるために私なりに考えがあったからです」
「強くなるため?何か修行内容でも思いついたの?」
「はい、次への戦いまでに力を付けていただくために」
セレネの不気味な笑に、二人は背筋を凍らせる。
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