最弱が世界を救う。

しにん。

魔王。

ソロモンの体は黒い炎に飲み込まれる。
全身を覆う黒き炎は地獄の炎。
全てを焼き尽くすほどの高温により、周りのものは溶け始める。


「我が怒りを業火に変えよ。すべて消し去ってくれよう」


「私のサンバーストよりも高温っ!?セレネ、固有結界は使えそう?」


「一応やってはみます。全魔力を固有結界へと送り込むので、私は戦えません。面目ない」


「信じてます。セレネさん」


レインとリリーは肩を並べソロモンの前へ立つ。
二人は全神経を研ぎ澄ませ、集中する。
今ここで止めないと世界が崩壊させられる。
ソロモンが一歩足を出すと、セレネは固有結界を何重にも展開する。


「戦闘開始です!!」


「さぁ、屍たちよ。敵を討ち滅ぼすのです」


地面から屍が出現する。
その数、約百体。


「笑わせるな。グリモワール・ゴエティア展開オープン召喚イヴォークブネ。死者の帰還を使え」


本から飛び出てきた悪魔は、小さなドラゴンだった。


「久しいなあるじよ。心得た、私の力全てを授けよう。死者よ今こそ立ち上がるのです」


ブネの一言により、地面から兵士達が起き上がる。
リリーの屍と差がないほどまでの数が現れる。


「私の魔法を真似した……?いや、あの本から出てきた仲間の魔法?」


「リリー、あの軍隊は任せたよ。私はエクスくんの方へ向かう」


「でも、一人で行ける?」


「私は信じてる。あの軍隊に勝って加勢に来てくれると」


レインは満面の笑みで振り返り、ソロモンの方へと飛んでいく。


「あんな事言われたら負けるわけには行かないね!!」


屍と死者の兵士同士が合戦のようにぶつかり合う。
数、力、策略、それら全てが互角と言える。
リリーとブネは睨み合い、一瞬の隙を狙う。


「皆灰になれ!!」


ソロモンの元へ向かう途中、レインは空から攻撃し数を減らしていた。
奇策に驚きブネの意識が削がれる。
ここぞとばかりにリリーは右腕と両足へ魔力を集中させる。


「死を視ること帰するが如し。死を恐れず死ぬのです。参ります!!」


リリーの右手から邪悪なオーラをまとう剣が生成される。
持っているだけで、闇に飲まれそうになるほどの深い闇をリリーは笑顔で握る。
ブネはその笑顔を見て恐怖のあまり、指揮を怠る。
一瞬の隙を逃さず大地を蹴ると、一気に間合いを詰めることに成功する。


「なに───ッ」


一閃。
驚異的な速度で剣を振るうとブネはその場に倒れ込む。
殺すまでは不可能だったが致命傷だった。


「はやくレインさんの元へ急がないと」


レインが向かった方へ意識を向けると、目を疑う。
終焉という言葉が似合うほど、あたり一面は火の海。
もはや人間が立ち入る事すら出来ないほど。


「レインさん!!大丈夫ですか!?」


心配をし、叫ぶと再度目を疑う。
目の前で繰り広げられている戦いは、魔王と大天使の殺し合いだった。
光と闇の激しい衝突により凄まじい暴風が吹き荒れる。
天変地異を起こさせるほどの力と力の闘いは、あっさりと終わりを告げる。

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