最弱が世界を救う。
答え。
残り回答権は一度限り。
慎重に選ぼうとしていると、《強欲》の悪魔の口が開く。
「一応伝えておくが、試練失敗は死を意味する。存分に最後の命を楽しめ」
悪者の大将のような笑いを浮かべる。
死が近づいて行く事への恐怖によりエクスは震え、立っているのでさえ精一杯だった。
「そんなに怯えなくとも、結末は変わらない。早く選べ」
頭の中は真っ白になり、考える事を忘れる。
不意に恐怖からか、涙が出始める。
「死ぬのが怖いからと言って泣くことはないだろ。痛みは一瞬だ」
もう《強欲》の悪魔の言葉は耳に入らない。
やがて呼吸が荒れ始め、精神が崩壊していく。
「もう……おしまいだ。こんなの出来っこない……」
とうとう狂い始める。
《強欲》の悪魔とムシュは冷たい目線を送る。
部屋中にエクスの叫びが響き始める。
やがて、我慢出来なくなったのか《強欲》の悪魔はエクスの頬を思いっ切り殴る。
「ガタガタうるせぇんだよ。死ねばてめぇはその程度の人間って事だろうが」
殴られてもエクスは何も感じていなかった。
魂が抜けたかのように涙を流しながら脱力している。
「てめぇは死にたいのか生きたいのかはっきりさせやがれ、クソッタレ!!」
エクスはその言葉に大きく反応する。
目を大きく開け、歯を食いしばる。
「生き……たいっ!!生きて皆に……レインに会いたいっ!!」
「そうこなくては」
《強欲》の悪魔は自分の描いたストーリーになり始め、満足したかのように笑い始める。
「俺は、まだ死ねない。死ぬわけには行かない」
魂が戻り、立ち上がる。
「威勢はいいが、このゲームの攻略わかるのか?」
「大体の予想がつき始めた。それと、一つ質問いいか?」
「最後にいいだろう。何なりと聞くがよい」
「本当にこの中に本物はいるのか?」
「本物はいる。そうじゃなくてはゲームは成立しない、だろ?」
「それだけ聞ければ満足だ。」
エクスは確信したのか、一人のレインへと近づく。
「ファイナルアンサー?」
「違う」
エクスは剣を生成し、偽者を切り倒し始める。
「ほう、最後の悪あがきということか?」
無言のまま暴れ始め、ついに手を止める。
「……っ!!」
答えを見つけたのか、目の前の俯き泣いているレインの肩を叩く。
「それがお前が出した答えか?」
「そうだ」
答えると、《強欲》の悪魔は拍手をし始める。
「見事だ。よくぞ正解を出した。どんなせこをしやがった?」
「お前は、心の問題と言っていた。なら、今まで見てきたレインの悲しい顔をしたのが正解だ」
「どういう事だ?」
「俺はずっと、レインが泣いている時、理由がわからなかった。ずっと考えてきた。だけど答えは見つからなかった」
淡々と答えまで辿りついた理由を話す。
「勿論泣いていなくても、たまに悲しい顔をするんだ。俺には本当に訳が分からなかった。聞いても聞いても「何でもない」って言われた。それが悔しくて、ずっと探した。だからこそ、答えは悲しい顔をしたレインだ。それにこの中に一人しか泣いているのがいなかった」
「理解ができない。もっと詳しく教えてくれ」
「今の俺の心の中での問題は、何故レインが泣いているかだ。きっとそれがこの試練に反映されたんだろ」
「つまりは、お前自身の悩みということか?」
「そういう事だ」
盛大に笑い出すと《強欲》の悪魔は光となり消えて行く。
「お疲れ様ですマスター。それでは記憶の解除をします」
ムシュが額に手を当てると、エクスはゆっくりと眠りについた────
目が覚めると、いつもの部屋の天井が広がっていた。
ゆっくりと横を見ると、レインが座っていた。
「エクスくん、大丈夫っ!?だいぶ魘されていたけど……」
着ていた服は汗で濡れていた。
相当な悪夢を見ていたのだろう。
レインは今にも泣きそうな顔で覗いてくる。
「エクスくん?」
気がつくと涙が出ていた。
「レイン……待たせたね……」
エクスは起き上がると急にレインに抱きつく。
慎重に選ぼうとしていると、《強欲》の悪魔の口が開く。
「一応伝えておくが、試練失敗は死を意味する。存分に最後の命を楽しめ」
悪者の大将のような笑いを浮かべる。
死が近づいて行く事への恐怖によりエクスは震え、立っているのでさえ精一杯だった。
「そんなに怯えなくとも、結末は変わらない。早く選べ」
頭の中は真っ白になり、考える事を忘れる。
不意に恐怖からか、涙が出始める。
「死ぬのが怖いからと言って泣くことはないだろ。痛みは一瞬だ」
もう《強欲》の悪魔の言葉は耳に入らない。
やがて呼吸が荒れ始め、精神が崩壊していく。
「もう……おしまいだ。こんなの出来っこない……」
とうとう狂い始める。
《強欲》の悪魔とムシュは冷たい目線を送る。
部屋中にエクスの叫びが響き始める。
やがて、我慢出来なくなったのか《強欲》の悪魔はエクスの頬を思いっ切り殴る。
「ガタガタうるせぇんだよ。死ねばてめぇはその程度の人間って事だろうが」
殴られてもエクスは何も感じていなかった。
魂が抜けたかのように涙を流しながら脱力している。
「てめぇは死にたいのか生きたいのかはっきりさせやがれ、クソッタレ!!」
エクスはその言葉に大きく反応する。
目を大きく開け、歯を食いしばる。
「生き……たいっ!!生きて皆に……レインに会いたいっ!!」
「そうこなくては」
《強欲》の悪魔は自分の描いたストーリーになり始め、満足したかのように笑い始める。
「俺は、まだ死ねない。死ぬわけには行かない」
魂が戻り、立ち上がる。
「威勢はいいが、このゲームの攻略わかるのか?」
「大体の予想がつき始めた。それと、一つ質問いいか?」
「最後にいいだろう。何なりと聞くがよい」
「本当にこの中に本物はいるのか?」
「本物はいる。そうじゃなくてはゲームは成立しない、だろ?」
「それだけ聞ければ満足だ。」
エクスは確信したのか、一人のレインへと近づく。
「ファイナルアンサー?」
「違う」
エクスは剣を生成し、偽者を切り倒し始める。
「ほう、最後の悪あがきということか?」
無言のまま暴れ始め、ついに手を止める。
「……っ!!」
答えを見つけたのか、目の前の俯き泣いているレインの肩を叩く。
「それがお前が出した答えか?」
「そうだ」
答えると、《強欲》の悪魔は拍手をし始める。
「見事だ。よくぞ正解を出した。どんなせこをしやがった?」
「お前は、心の問題と言っていた。なら、今まで見てきたレインの悲しい顔をしたのが正解だ」
「どういう事だ?」
「俺はずっと、レインが泣いている時、理由がわからなかった。ずっと考えてきた。だけど答えは見つからなかった」
淡々と答えまで辿りついた理由を話す。
「勿論泣いていなくても、たまに悲しい顔をするんだ。俺には本当に訳が分からなかった。聞いても聞いても「何でもない」って言われた。それが悔しくて、ずっと探した。だからこそ、答えは悲しい顔をしたレインだ。それにこの中に一人しか泣いているのがいなかった」
「理解ができない。もっと詳しく教えてくれ」
「今の俺の心の中での問題は、何故レインが泣いているかだ。きっとそれがこの試練に反映されたんだろ」
「つまりは、お前自身の悩みということか?」
「そういう事だ」
盛大に笑い出すと《強欲》の悪魔は光となり消えて行く。
「お疲れ様ですマスター。それでは記憶の解除をします」
ムシュが額に手を当てると、エクスはゆっくりと眠りについた────
目が覚めると、いつもの部屋の天井が広がっていた。
ゆっくりと横を見ると、レインが座っていた。
「エクスくん、大丈夫っ!?だいぶ魘されていたけど……」
着ていた服は汗で濡れていた。
相当な悪夢を見ていたのだろう。
レインは今にも泣きそうな顔で覗いてくる。
「エクスくん?」
気がつくと涙が出ていた。
「レイン……待たせたね……」
エクスは起き上がると急にレインに抱きつく。
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