最弱が世界を救う。

しにん。

国王。

「さっきまで人がいなかったのに、どこから出てきたんだろう。」


ラズの人口のほぼ全てが一箇所に集まったのではないか、そう思わせるほどの人が集まっていた。


「あれが国王か。思ったより弱そうだけど……本当に悪魔なのかな?」
「見かけによらないかも知れないね。」


国王は子供のように小さく、横に広い。チビデブだ。
噂通り何かしらの能力が使えるとしたら、悪魔と言えるが、今現在では不明。


「様子見ですね。ひとまず、隠れて観察……って、二人共行動が早い。」


セレネが喋っているスキに二人は国王の近くへと歩き寄っていた。
国王もエクス達に気づいたのか近づいてきた。


「小僧、お前は英雄と呼ばれているエクスか?よくぞ悪魔を倒してくれている。」
「恐縮です。国王の耳に私の活躍が届きとても幸せです。」


エクスは礼儀正しく国王へ挨拶を済ませる。


「む?その横の小娘、顔を見せてみ。」
「はい?」


レインは国王から呼ばれ、顔を上げると国王は笑いだした。


「小娘、儂の嫁となれ。これは絶対命令だ。」
「え?」
「二度は言わぬ。今日からお主は儂の嫁だ。喜べ。」


国王はレインを嫁と呼んだ瞬間、レインの目が活力を失っていた。
まるで人形のように国王へ歩み寄り、抱き寄せられる。


「ふむ。なかなかの娘だ。」
「貴様っ!!」


急にレインを奪われ、エクスが剣を生成し飛び上がり怒りに身を任せる。
剣が国王へ当たる瞬間、不敵に笑い一言でエクスを抑える。


「雑魚は雑魚らしく、地面に頭を擦り付けてろ。」
「がはっ!!一体何を……!!」
「儂の能力に勝てるものなどおらぬ。儂が願った通りに世界が動く。ふははははっ!!素晴らしい能力よ。」


隠れていたセレネがエクスを抱き抱え、その場を離れる。


「やめろ、レインがまだ!!」
「ですがどうしようもありません。睨んでいた通り国王は黒です。」


セレネの一言により、我に返る。


「どうしよう……レインがあんなやつの嫁に……」
「レインさんが一瞬操られていた気がします。あれは洗脳なのでしょうか。」


二人が現状を把握していると、レインの声が響いた。


「おっさん!!私に一体何を!!」
「活きのいい娘だ、俄然欲しくなったわ。」


レインは背中で手を縛られ、誰がどう見ても誘拐だった。
だが、誰も止めようとはしない。


「レインっ!!今行く!!」
「エクスくん!!」


二人が互いに手を掴もうとするが、国王の秘書に止められる。


「レインをどこにやるつもりだっ!!」
「王が仰ったとおり、これより彼女は王女となります。気安く喋りかけないように。愚民。」
「トール、もうよい。城へ帰るぞ。」
「御意。」


国王はエクスを無視し城へ帰る。
黙ってないとエクスが近づくが容易く秘書にけ散らされる。


「レインっ!!絶対に迎えに行くからっ!!待ってて!!」
「いつまでも待つよっ!!」


セレネはただ見守るしか出来なかった。
悔しがり地面を殴るエクスに寄り添い、共に国王を恨んだ。

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