最弱が世界を救う。

しにん。

《嫉妬》6

ごじゅはち


「唸れ!!聖なる水よ!!ネプチューン!!」


エクスの右手には二又の槍が顕現した。
レヴィのとは違う点は一つ。
明らかにレヴィの槍よりも強い魔力を秘めている。


「ゼノ……手加減はしない。覚悟しろ。」
「使いたくなかったけど仕方ない……」


ゼノの頭上に、雷が集まっていく。


「こちら、チームアイギス!!ゼノ何をしてるっす。死にたいのか!!」
「こちら、チームニケ。ごめん、ゼル。この戦いに首を突っ込まないでくれ。これは、俺とエクスの戦いだ。」


死を覚悟したゼノは目を瞑り、姉のゼルへ言葉を送る。
今までの感謝、そして今からの過ち。
それら全てを「ありがとう。」の一言で告げる。


「さぁ、決着だ。」


ゼノは左手を上に掲げる。
すると、左手目掛けて雷が落ちる。
周りの地面は揺れ、天変地異の様な錯覚を起こす。




その衝撃でやっとレインは目を覚ます。


「一体何が……?っ!?エクスくん、ゼノ何してるの?」
「これは男と男の戦いってやつっす……それにエクスはどうやら、強大な魔力を隠し持ってたみたいっす。」
「なに、あの槍?」
「あれはネプチューンと呼ばれる槍です。」


突然知らない人から説明され、レインは驚く。


「き、君は誰?」
「勝手に体を乗っ取ってしまい申し訳ない。私は《嫉妬》の悪魔、レヴィアタンです。」
「《嫉妬》の悪魔……!!なら、お前を───」
「エクスくんは私のために、あの少年と戦っています。」


その事実を嘘ではないと悟る。
レインは知っていた。
エクスはお人好しだと。


「エクスくんらしいね。まさか、悪魔を助けるなんて、エクスくん優しすぎ……」
「そうですね。私なんかを庇って……」




二人の戦いは、次の一撃で決めるとばかりに、互いの最大の技を構える。


「神よ。全てに裁きの鉄槌を。これが全能の力!!これが最強の力!!雷霆ケラウノス!!」


雷霆ケラウノスを呼び出すと、ゼノは肩膝をついた。
だが、痛みを捨てたかの如く立ち上がる。
目には殺気がこもっていた。
全てを殺す勢いでエクスを睨む。
その殺気に殺されそうになるが、エクスも負けじと睨む。
たった一瞬だったが、二人には永遠の時間が流れたかのように思えた。


「エクスっ!!」「ゼノっ!!」


互いに叫ぶと同時に地面を蹴り前へ飛ぶ。


グサッ!!


一瞬の沈黙の後、雨の音だけが残る。


「エクスくん!!ゼノ!!」


レインが近づこうとすると、異変に気づく。
"二人共倒れていない"
一体何が起こっているのかと思い近づくと、すぐに理解した。


「っ!!そんな……」


槍と剣が刺さり血を吐き出す女性がいた。


「レヴィ……?」


エクスはかろうじて声に出す。
レヴィはその場に倒れ込み、エクスに受け止められる。


「どうして君が……」
「えへへ……こんな形になっちゃうけどごめん。私は君を好きになってしまった。《嫉妬》の癖に人を好きになってしまった。」


エクスはその言葉を聞き涙を流す。



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