最弱が世界を救う。

しにん。

《嫉妬》4

「押し切るっ!!」


二人が叫ぶと同時に、ゼルの援護射撃がレヴィアタンの頭を撃ち抜く。
ダメージは無いものの、再生速度がぐんと落ちていた。


「だいぶ遅くなっている。このまま続ければ勝てる……!!」
「油断は禁物だ。最後まで油断するなよエクス。」


徐々にレヴィアタンの魔力を削っていき、ついに魔力が底をついた。
エクスが切り落とした腕は再生されず、血が流れる。


「《嫉妬》の悪魔……覚悟っ!!」


エクスが剣を振りおろそうとすると、レヴィアタンの仮面が落ち、素顔が見える。
レヴィアタンの顔を見て、エクスは言葉を失う。
綺麗な青髪、青い瞳、そして何よりも何度もお世話になった人物だった。


「レヴィ……?どうして……」
「……ごめん、エクスくん……」


《嫉妬》の悪魔の正体はレヴィだという、酷く残酷な現実を受け入れることが出来ず、ただただ立ち尽くしていた。


「エクス!!そいつは敵だ。殺すしか道はない。」
「で、でも……俺は……やっぱり、レヴィを殺せない……」


エクスが殺せないと言うと、ゼノが剣を構える。


「代われ。俺が殺す。」
「させない……」


ゼノの前にはエクスが立ち塞がる。


「レヴィを殺しはさせない。どうしても言うなら俺を殺して行け。」


普段より声のトーンは低く、殺気が入り混じっていた。
大事な師を守るため、大事な人を守るためにエクスは剣を握っていた。


「エクス、後悔は無いな?いくら怪我をしているとはいえ、俺は本気でお前を殺しにかかる。」
「今ここでレヴィを殺す方が後悔する。そんな後悔はしたくない。だから俺は、ゼノ……君と戦う。」


二人が目でぶつかっていると、天候は悪くなり、大雨が降ってきた。
雨を無視し、二人はお互いに向かい合う。
二人が剣を構えると、近くで雷が落ちた。
それを合図のように、戦いが始まった。




それからというもの二人はほぼ互角の戦いをしていた。
ゼノが仕掛けると、エクスはそれを避け、さらには反撃するが、ゼノが太刀打ちし攻撃を防ぐ。
十分以上戦って、"剣術"では互角だった。


「魔法が使えないエクスには申し訳ないが、全力で行かせてもらう。」


ゼノはそう言うと、全身に電気を流し筋肉を活性化させる。
一時的に身体能力を上げる技だ。
エクスは何度か見た事はあるが、手合わせしたことは無かった。
そのため、予想よりも強化されていることに驚き防戦一方になる。
徐々に押され続け、エクスが剣で防御をすると、ボキッと歪な音を響かせ、折れる。


「ここで終わりだ、エクス。」
「まだだっ!!」


レヴィから教わったことを思い出し、槍生成をしようと試みるが、うまく行かなかった。
しかしその代わりに短刀が出来上がった。


「何かと思えば、そんな短い剣如きで俺を倒せると思うなよ、エクス。」


エクスは黙って、ゼノへと攻める。
ゼノは剣で防御を取ろうとする。
しかし、エクスは少しニヤリとすると勝ちを確信したかのように笑う。


「もらった!!」


剣と剣がぶつかる瞬間、エクスの短刀は水のようになり、すり抜ける。
すり抜け、ゼノに当たる瞬間形を整え剣へと戻る。
しかし、紙一重でゼノは避けることに成功した。


「まさか君がこんな魔法を使えるとは……油断は俺の方だったか。」


ゼノは少し嬉しそうな顔になっていた。

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