最弱が世界を救う。

しにん。

反省。

「ふむ……やっぱりファントムは敵と考えて間違いなさそうだね。」


レインにファントムからの襲撃を話すと、最初から分かっていたかのように真剣な表情になる。


「まぁ、怪我がなくて私としては一安心だよ。今後奴に出くわしたら、油断はしないように。今回がいい経験になったね。」
「うっ……まぁ、最初は油断してたけど……」


エクスはレインの言葉が刺さり大ダメージを受けていた。
レインの言ったことを信じていれば、反撃も出来ていたはずだった。
一瞬のすきに逃げられていたので、レインとしては悔しいようだ。


「それじゃ、私は用があるから外に出るね。」
「?こんな時間から出ていくの?」


時刻は既に夜8時を過ぎていた。


「とても大切な事だから。」
「大事なことって?」
「女の子の秘密を聞くのはマナー違反だよ?」


レインはわざとらしく笑い、エクスの前から消えた。
転移魔法でどこに行ったかまではわからなく跡をつけれないので、大人しく寝ることにした。






「──それで、こんな所に呼び出して何のつもり?」


レインは灯りのない壊れかけの家へ来ていた。
レインの目の前には、ファントムがいた。


「今日の昼、エクスくんを襲ったのは本当?もし本当なら容赦しない……!!」
「昼間?私は知らないが。」
「シラをきるつもり?嘘をつくならもっとマシな嘘を……」
「信じるも信じないも君次第だが、私の攻撃スタイルはナイフを使わない。」


一度も手の内を明かしたことがないファントムだが、レインは分かっていた。
ファントムはナイフを使わないことを。


「それじゃ一体誰が……」
「おっと、私はそんな話をするためにここに呼んだのではありません。『アテナ』が一ヶ月後《嫉妬》の悪魔を討伐に行くと聞きまして。」
「その事は最重要機密のはずだけど?」
「噂で聞いただけですので。その反応からするに、噂は本当のようですね。」


レインは眉間にシワを寄せ、


「話はそれだけ?私忙しいんだけど。」
「《嫉妬》の悪魔を討伐するのでしたら、レインくん。君は特に気をつけたがいいだろう。」
「気をつけろ?何を?」
「そこまでは言えません。それでは話は以上です。」


そう言うと、ファントムはその場から消えていった。


「エクスくんを襲ったのが、ファントムではない……一体誰が狙ってる……」


それから小一時間程考えたが、答えが出ずお城へ帰ることにした。
レインは部屋に戻ると、エクスの寝顔を見て微笑んでいた。


「レヴィ……」


エクスの寝言によって、レインの表情は一変した。


「エクスくんってほんとレヴィレヴィって、なんでそのひとのことばっか……」


レインはレヴィにヤキモチを焼いていた。
一度も会ったことはないが、レインはレヴィの事をライバル視していた。
恋のライバルとして。

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