最弱が世界を救う。

しにん。

殺気。

「皆聞いてくれ!!臨時で私の代わりとしてリーダーをやるエクスとレインだ。」


ゼノのよく通る声が皆へと響く。
様々な反応をされたが、誰一人とて反論する者はいなかった。


「この二人を選んだ理由は、二つある。一つは、この二人は強い。私と互角と思って構わないほどだ。二つ目は、この二人なら正しい道へ導くと思ったからだ。」


ゼノは二人をリーダーにすることを簡単に、かつ、誰しもが納得のいく理由を話した。


「俺らはわからないことだらけだ。助けてくれるとありがたい。皆、よろしく!!」


エクスが簡単に挨拶を済ませると、皆から声をかけられ励まされる。
エクスは初めて皆に頼りにされ、心の奥が暖かくなるのを感じていた。


「それと、1ヶ月後に《嫉妬》の悪魔の住処とされる場所へ行く。それまでに各自準備を……っとこれは、リーダーの仕事だったね。」


ゼノはいつもの癖で指揮をとっていた。
今はリーダーでないことを思い出し、エクスへとバトンタッチする。


「大体のこと言われちゃったけど、各自準備をするように。あとしっかり休みを取ってね?」


皆は少し笑い、「リーダーに向いてない」と冗談半分でからかっていた。
エクスは恥ずかしくなり、顔を隠すとレインが、頭を撫でる。
レインの行動にも皆は茶々を入れ、更に騒がしくなる。


「みんなー、静かにするっすよ。」


ゼルはいつものようにだるそうにしていたが、あまりにうるさかったのか少し怒っていた。
皆はゼルの怖さを知っているためすぐに静かになる。


「ありがとうございます、ゼルさん。」
「いえいえっす。」


こうして、エクスの初めてのリーダーの日は終わっていった。




次の日、エクスは一人で草原へとやってきた。
レヴィに習っている、槍の生成の練習をしていた。
あれから何度やっても結果は同じで、なかなかコツが掴めていなかった。


「これじゃ、1ヶ月後に間に合わないかな……」


エクスが一人でブツブツ呟いていると、背後から殺気を感じ取った。
前方へ飛びながら振り向くと、そこにはファントムが立っていた。


「ファントムか。どうしたんだ?」
「……」


ファントムは無言のままナイフをこちらへと投げてきた。
エクスは突然の事に驚き、必死に避ける。
すると、ファントムはその場から消えていた。


「夢……?」


心の中で起きたことを整理するが、夢とは言えなかった。
後ろを見ると、先程投げられたナイフが落ちていたからだ。


「夢……じゃない……でも、なんでファントムが?」


考えていると、レインから言われたことを思い出した。
ファントムが俺を狙っている?でもなぜ──
考えば考えるほど謎は深まっていき、最終的には考えることをやめた。


「今は修行修行……」


自分に言い聞かせるように、修行を再開した。

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