最弱が世界を救う。

しにん。

準備。

エクス達4人の手合わせを遠くでリリーが一人寂しそうに見ていた。


「私もあんなに強ければなぁ……」
「まぁ、あの4人は別格っすよ。」
「そうだね……って!うわっ!」


突如背後から現れたゼノの姉、ゼルに驚いたリリー。
気配すら感じ取れず流石に不意をつかれた。


「あー、リリーちゃんだっけ?はじめまして。ゼル・フェンルっす。よろしくぅ。」
「は、はじめまして!」


やる気がない挨拶をして話を元に戻す。


「ゼノの強さはわかってたっすけど、あの3人なかなかの強さっすね。エインガルドの英雄と納得できるっす。」
「エクスさんは強いってわけでは無いのですけどね。なんでも記憶が封印されてるとか何とか。」
「あの坊や面白そうっすね。」


死んだ魚のよう目をして、手合わせを終えた4人を迎えに行く。
4人は激しい運動の後でヘトヘトになっていた。
特に体力のないエクスは今にも倒れそうだった。


「姉さん起きてたのか。」
「かわいい弟を見に来たっすよー。」


ゼノが言うにはゼルはいつもこんな調子らしい。


「それでは準備が整い次第、ラフィナに来てもらうことになるけど、大丈夫かな?」
「はい。いつでも大丈夫です。」


ゼノとエクスは軽く笑いながら握手を交わす。
何の話かわからずリリーが首を傾げていると、ゼルが説明をする。


「えぇ!?エクスさん達が『アテナ』に!?」
「でも一時的にだよ。」


エクスがゼルの説明に一言加える。


ひとまず、ラフィナへ旅立つために準備をすることにした。準備と言ってもこれといって家から持ってきたものもない。
昔から愛用している剣を背中に装備し、エクスは気を引き締める。


レインはいつもの白いドレスのような服に着替える。
本人が言うには私服らしい。
レインは自分のことを何も言わないので、エクスはどこかのお姫様ではないかと思っている。


手合わせの次の日の朝、二人は王女様に挨拶をし一度エインガルドを離れることにした。


「それでは、気をつけて。」
「生きて帰ってきてください。エクスさん。」
「無事を祈っています。」


それぞれ別れの挨拶を済ませ、ゼノ達と共に馬車でラフィナを目指した。




エクス達が国を出たのを遠くで見ていた者がいた。
ファントムだ───


「まったく。あの人の思い描いたものは素晴らしい……とても面白い。ふふふっ」


不気味な笑みを浮かべ影へと消える

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