最弱が世界を救う。

しにん。

試練。

ファントムは儀式の準備のため王女様に頼み込み1つ部屋を借りた。
「それではセレネくん。これから唱える魔法を覚えてもらう。この魔法が使えるのは世界でゼクスの旦那だけだ。覚悟をするように。」
ファントムは細心の注意をはらうようにセレネに伝える。
「了解しました。」
セレネは言われた通り全神経を研ぎ澄ませる。




「──と、まぁこんなところだ。」
ファントムは魔法を唱えただけで息を荒くしていた。相当の魔力を消費するようだ。
「それでは儀式を始めよう。エクスくん。君は儀式をするにあたって試練を受けるだろう。その試練を乗り越えないと封印は解除できない。」
記憶の解除の際何らかの試練があることを教えられた。
試練の内容は誰にもわからないらしい。
「試練……望むところです。」
エクスは余裕な表情を浮かべ返事をする。


セレネが魔法を唱えると目の前に座っていたエクスは眠りについた。
「順調だ。まずはひと段落成功ってところだ。後はエクスくんの頑張り次第かな。」
セレネはファントムの言葉を聞き少し安心した。失敗するとエクスの命が危ないらしい。
「最後にその石をエクスくんの額へ。」
指示通りにエクスの額に石を付けてみる。
すると石はエクスの中へ沈んでいった。驚くセレネとレインを横目にファントムは、仮面の奥でニヤリと笑う。
「さぁ、ここからが面白い……」
2人に聞こえないように小さく呟いた。




「っ!ここは……?記憶の中の図書館?」
エクスは気がつくと記憶の中の図書館にいた。
「おはようございます。マスター。それでは試練を始めます。」
目の前に突如現れたムシュ。
ムシュが試練を取り締まっているようだ。
「マスター。こちらへ」
黙ってムシュについていく。
辿りついた所には大きな扉が閉まっていた。
「この先が試練の場です。解除する記憶に応じて様々なことが待っています。」
ゴクリと唾を飲み込み扉を開ける。


目の前には黒い人型の何かがあった。
この世のものとは思えないほど黒く、煙のような体をしていた。
「煙?いや、雲?」
ユラユラと揺れる何かが突如形質を変化させた。
その姿はベルゼバブだった。
「ど、どうしてベルゼバブがここに……」
エクスは疑問に思ったことを口に出す。
すると目の前の何かが口を開いた。
「ここは試練の場。貴方の記憶を解除するにあたって避けては通れぬ道。ここでエクスを待てとゼクスから指示を受けております。」
「それでお前は何者なんだ!」
話された内容よりもまず目の前のことから目が離せなかった。
「私は《暴食》とは関係ありません。ですが、《暴食》の試練としてゼクスから頼まれていますのでわかりやすくこの姿です。」
エクスは一安心して落ち着く。
「それで、試練とは一体どんなことを?」
「簡単です。私と剣を交えてもらい、1発でも私に当てることが出来るとあなたの勝ちです。」
「随分と舐められたものだ」
エクスはこのぐらいなら余裕と調子に乗っていた。

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