最弱が世界を救う。

しにん。

死の森。

もうダメだなこれ。エクスは確信していた。
それもそのはず今現在悪魔2匹に追い回されている。流石に2体同時はレインにも負担がかかるため戦略的撤退を余儀なくされた。
「どこか、どこか逃げれる場所はないか!」
必死に逃げる3人。逃げながら打開策を見つけようとするがなかなかない。するとレインは
「やむを得ない!!エクスくん!星砕きを受け取って!」
強大な魔力を消費するため奥の手として残していた聖宝星砕き。それほどまで追いやられていた。
「りょ、了解!はぁあああああああ!」
剣を振るうだけで敵はかき消された。魔力が底をついたのかレインは倒れ込んだ。
「レイン!大丈夫か!!!返事をしてくれ!」
エクスはレインを抱き抱え近くにあった洞窟に身を隠す。
「エクスくん。ごめんね。足を引っ張って……」
「足を引っ張ってるのは俺の方だよ。俺がもっと強ければ……。本当にごめん。」
2人が謝りあっているのを見てリリーは
「え?エクスくっそ弱くね?おねーちゃんは強いとか言ってたけど?戦えないの?」
エクスは痛いところを突かれた。
「容赦ないな君は……確かに俺は弱い。王女様がなんで俺をあんなに評価したのかは恐らく父のせいだと思ってる。父は剣士としてかなり強かったらしい。」
「で、その息子は弱いと。」
「ストレートだね……俺だって毎日鍛錬したんだけどなかなか身につかなくて……」
エクスは父が家を去った後も毎日欠かさず修行してきた。が、全く身につかなかった。驚くほどに。
「毎日の努力が積み重なると強くなれると思ったんだけどな……ほんとなんで弱いままなんだろ。」
エクスの表情はみるみる暗くなっていった。
「ま、まぁそんな落ち込まなくていいんじゃね?」
リリーは暗くなるエクスを慰めようとしていた。
「エクスくんを泣かせたな!!!リリー、成敗だ!」
魔力を使い果たし寝転んでいたレインが起き上がる。だがすぐに倒れる。
「レインダメだよ起き上がっちゃ。頑張ってくれたんだからしっかり寝てて。」
「エクスくん……わかった。心配してくれてありがとう。で、リリー次エクスくん泣かせたらただじゃおかないからね!」
レインはリリーを睨みつける。
「お、おっけ……気をつける」
その後3人は黙り込む。するとそこへ洞窟の奥から悪魔が現れた。
「さて……どうするか。まだレインは戦えない。どうする……どうする。」
エクスが考えているとリリーが前に立つ。
「あのさー私だっていちおー戦えるんですけど。私を誰だと思ってるの?アーネスト家の人間よ?魔法ぐらいよゆーで使えるし。2人とも下がってて。」
リリーはめんどくさそうに詠唱を始めた。
「千の戦を戦い抜く魂。全てを喰らい尽くせ!!」
リリーの周りに暗い怨念が顕現する。見るだけで死を味わうほど物凄く強い怨念。恐らくはすべての戦争で死んできた魂だろう。
「さぁ、パーティナイトよ!やっちゃえ!」
怨念は物凄い勢いで目の前の悪魔を喰らう。リリーを侮っていた訳では無いがこれは異常と言うまでの強さ。恐らくはレインの魔法と同等かそれ以上。
「ふぃー。久しぶりに魔法使うと疲れるねー。」
リリーの力があるとこの森を抜けれそうな気がする。そう思っていたエクス。だが現実は甘くなかった。今の騒ぎで沢山の悪魔たちが寄ってきた。数にして10を超えていた。
「これはさっきよりもピンチだな……。リリー!さっきの技はあと何発撃てる!」
「良くてあと1発かなー。でも流石に敵が多すぎる。これは逃げたがいいんじゃないかなめんどいし。」
レインを抱き抱えたエクスは逃げの姿勢をした瞬間目の前の悪魔が全て一掃された。
「一体何が……?」
「……誰?」
目の前に白髪の少女が立っていた。
「まさか今の君が?」
少女は頷く。
「君、名前はなんていうの?」
「セレネ。」
どこかで聞いたことがあると考えたエクス。レインは呆れたようにエクスに告げる。
「エクスくん……私たちが向かってるパルス神殿の主よ。名前ぐらい覚えてあげなよ?」
そう言われて、はっと気づく。
「まさかパルス神殿の主!?」
セレネは頷く。
「とりあえず付いてきて。ここじゃ危険。」
セレネはパルス神殿へと案内してくれた。

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