最弱が世界を救う。

しにん。

依頼。

「改めて今回の依頼の内容を説明します。私の妹、アーネスト・リリーに掛けられている《怠惰》の呪いの解除の為、パルス神殿へ同行しそこにいる女神のセレネという子に会いに行って欲しい。事情は説明してあるので、アーネストの名前を出せば通してくれるはずです。それでなにか質問は?」
軽く小1時間は説明されたエクスとレイン。2人とも話が長くて寝てしまう勢いだった。
「俺からは何個か質問があります。まずなぜ俺達に頼むのですか?俺の弱さを見たんでしょ?」
エクスは自分の弱さを盾に依頼を断ろうとしていた。パルス神殿と言うと死の森と呼ばれる森を通らないと行けないからだ。入った者は生きて帰れないと言われている。そんな所にこんな弱い自分が行くと命が何個あっても足りない。すると王女様は
「エクスと言いましたね。私は貴方のお父さんと面識があります。あの御方の息子さんなら大丈夫だと思って貴方達に依頼しました。それにレインさんは魔法を使えるようですし。」
いきなりエクスの父親が出てきて思考が停止した。
昔、家を出たっきり帰ってこない父親。その行方は未だに不明。生きているのかさえ怪しいところだ。
エクスはやっとの思いで頭の中を整理した。
「父を!ゼクス=フォルトを知ってるんですか!!!今は、今はどこにいるんですか!?」
エクスは興奮して王女様に話しかける。
「残念ですが貴方のお父さん、 ゼクスさんとは10年前に会ったきり1度も会えませんでした。私ももう1度会えるなら会いたいです。」
「10年前……か。家を出たのもそのくらいだった。お父さんは今どこに……」
すると、話に入っていなかったリリーはめんどくさそうに声を出した。
「で、あんたらなに?私もう帰りたいんだけど。」
それまで1度も喋らなかったリリーに驚いたエクスは、一気に視線を向ける。
「こら!リリー。貴方の護衛の方になんという態度ですか。ごめんなさいエクス。昔はもっと優秀で元気な子だったんですが……。1年前のベルフェゴール襲撃事件でこの子には呪いがかけられました。」
《怠惰》の悪魔ベルフェゴールというと、人の怠けなどを喰らう。ベルフェゴールの呪いというと一般的に真面目な人間を不真面目にさせるようなものばかりだ。
「ベルフェゴール襲撃事件……確かその時の死者はいないが呪いに掛けられた人達は半年後に死んでいったと言われるやつか。」
ベルフェゴールの呪いは精神への負担になる。呪いを解かない限り半年で死に至ると言われている。だが、リリーは1年生き続けている。ふと疑問に思ったレインは口を開く。
「そのリリーと言ったか?その子はなぜ死んでいない?半年で死に至るという呪いのはずでは?」
エクスは言われて初めて気づいた。王女様はリリーが呪われた経緯を説明する。
「ベルフェゴールは瘴気により人々を呪いにかけました。ですがリリーは違います。ベルフェゴール本人から呪いをかけられたので恐らくはそのせいではないかと思います。この街で1番真面目だったリリーを怠惰にさせることが目的で襲撃してきたと考えられています。」
ある程度事情を説明された後エクス達はリリーと話をすることにした。これから死の森に行くのだから何かあっては困る。だがこれが一筋縄では行かなかった。

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