インセクト ケージ

内藤 涼

2話 パラサイトベビーII

武装した姉妹は玄関を出ると侵入してきた男の家に向かった。
[確かお隣さんの家族はさっきの人を入れて5人、恐らく兵隊はまだいるはず……体格の良い成人を兵隊にするはずだから奥さんが兵隊で子供達は生け捕りにされてるか団子にされてると思う]
家が隣なだけに家族構成は把握していた、さっき父親のバグを殺したので、残りは母親と中学生の娘、小学生の男の子が二人だ。
"団子"とわバグが獲物を噛み砕き分泌液で固めた物の事で兵隊は団子の材料である生き物を巣穴に持ち帰る役目を持った働きアリの様なものである。
姉の発言に鳥肌を立てる月夜が女王の話に触れる
[うげぇ……私もう肉団子食べれないかも 所で兵隊は弱っちかったけど女王ってやっぱデカくて強かったりするの?]
[ごめん今日のおかず肉団子買って来ちゃった、でも豚肉だから安心して月夜。女王についてだけど良く聞いて、まず近づかない事あいつ動きは遅いけどとてもアゴが強いの噛まれたらもう逃げられないと思って良い、だから女王は私が殺る私の持ってる矢は少し特別でね多分殺せるから]
この後簡単な作戦会議を妹とした、プランは極めて明快である。月夜が先頭を務め朝陽が周囲の警戒と援護、女王を発見したらスイッチして朝陽が女王を攻撃、無防備な朝陽を月夜が守ると言うものだ。
プランの決まった所で行動を開始、月夜を先頭に玄関前に到着したが鍵が掛かっていた。
[お姉ちゃんバグって頭良いの?鍵掛かってるんですけどぉ]
[いいえ頭は良くないわ、ただ兵隊は宿主の行動をある程度再現する事が出来るの宿主の脳が死ぬまでは車の運転位までなら恐らく出来るわ仮に脳が死んでもバグが脳の代わりをやるからしばらくは動けるはず、さっき胴体だけで動いていたでしょ?]
[ふ〜んそゆ事ねぇ把握〜、所で鍵見つけたよん、なんか植木バチの下に入ってたわ家と一緒だね。そんじゃお邪魔しますよ〜と]
バグの説明を理解し偶然カギも見つけた月夜は鍵を開け扉を開いた。扉を開けてすぐに異変に気付く靴が一つも無いのだ。全員が狩に出たのか、もしくは全員外出していて襲われていないのか後者が望ましいが父親が襲われている所を見るにそれは無さそうだ。
[電気ついてるね、一階から探そうゆっくりで良いから慎重にね]
[うん……ちょっとビビってます私、まじで背中任せたかんね!お姉ちゃん] 
朝陽はコクリと頷く、ゆっくりと歩みを進めてリビングに入る見渡しの良い部屋で異常が無いのはすぐに分かった、荒らされた形跡もない。
安全の確認をすると二階を調べる事にした階段を上がりきった所で物音がした。硬い物で床を突く様な音だ。
[多分足音、バグの身体は甲殻類に近いからこんな音がするの、それよりこの匂い……団子を集めてる部屋があるはずそこに女王がいる]
[団子の部屋ねぇはいはい〜それより臭い吐きそう、この匂いなんとかならない?女王見つける前に死んじゃいそうなんですけど]
文句を言いつつ進む月夜そして扉の空いている部屋を見つけた。どうやらこの部屋が匂いの元凶らしい。
意を決して部屋の中へと足を踏み入れたその時奴はこちらを見ていた。
まるで待って居たかの様に



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