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水乃流

自主企画、みたいな

自主企画は、「カクヨム」独自の機能です。
カクヨムユーザーだったら誰でもが企画を立てて、作品を募集できます。もちろん、公式のように商品や賞金が出るわけではありませんが、埋もれた作品を見つける役割も果たしていると思います。


ただ、問題点もあります。
以前の自主企画では、「互いに★(評価)を付け合う」といったものがありました。企画自体には悪意はなかったと思いますが、小説の内容に関わらず★を付けるという行為はいかがなものかと、運営側によって規制さえました。結局、同じような流れはTwitterなど別のSNSに流れて、悪名高いクラスタになってしまったのではないかと思います。


また、自主企画を立てたユーザーにあまり権限が与えられないというのも、問題かなと思います。たとえば、人数制限を設けた企画や特定ジャンルを指定した企画があった場合、企画趣旨に全く合わない小説――すでに人数を超えていたり、指定ジャンル以外だったり――でも、参加が可能です。企画主は、それを除外することはできません。参加した人が、ルールを見ていないのか、誤解しているのか、それとも知っていてそれでも参加したのか。それすらも分からず、フラストレーションが溜まります。


また、「あなたの作品を読みます」系の自主企画が時々立てられるのですが、参加人数の制限があっても、すごい勢いで参加者が増えます。見ていて引くぐらいです。
こうした背景には、「カクヨム」ユーザーに作家志望が多いからとも考えられます。とにかく一目でも読んでもらわなくてはなりませんから、必死なのでしょう。「承認欲求」は誰にでもある感情だとは思いますが、時折暴走しているようにも思えます。


少し話はそれますが、これは「カクヨム」がKADOKAWA運営だということに関係していると私は考えます。大手出版社のKADOKAWAが運営しているのですから、作品を登録すれば「プロの編集者」が見てくれるのだと思ってしまっても不思議はありません。
「カクヨム」で小説を公開しているユーザーは、プロの目にとまる、そうでなくてもプロのアドバイスくらいはもらえるのではないかと期待している部分があるのではないでしょうか。しかし、現実は時折コンテスをを開催する位で、基本なにもしません。「特集」というコーナーでは、プロ(でない方もいますが)が作品をピックアップしていますが、単なるレビュー止まりですね。というか、ほぼユーザー任せです。期待と現実のギャップで、「カクヨム」に不満を持つユーザーが多いのかも知れません。


最初の方で書いた、コンテストへの不満はその最たるもので、ユーザーはプロの目で読んでもらえることを期待しているのに、現実はKADOKAWAがいわゆる「下読み」をユーザーにやらせているというところが、歪みを生んでいるのだと思います。そりゃ、プロの編集者が何千もの作品に目を通すことは不可能でしょうが、現実の世界で外部に下読みをさせているのと同じ事をやってもらえばいいだけです。要するに、手間と費用を惜しんでいるように見えるわけです。


閑話休題。


で、いくつかの自主企画に参加してみましたが、どうもピンと来ません。PVも伸びません。なので、すっかり参加しないでいました。
しかし、このエッセイを書いていて、他のエッセイを読むようになったら、ランキングに現れないようなエッセイも読んでみなくなりました。そこで、「作者の想いが伝わるエッセイを読みたい」という自主企画を立ち上げてみました。


自主企画のページで、右上にある[新しいイベントを作成]をクリックすると、自主企画の作成ページが表示されます。そこで自主企画のタイトルとその目的やルールを入力し、イベントの終了日を指定して[公開]をクリックする、それだけです。
非常にあっさりと自主企画を立てることができます。迷ったのは終了日ですね。エッセイということで、そんなに集まらないだろうと、十日間程度に設定しました。後からこれは中途半端だったな、と反省したところではあります。


自主企画を立ててしばらくしたら、私の予想を覆して五十以上の参加作品が集まりました。全部、一辺には読み切れないので、一旦フォロー(ブックマーク)してぼちぼちと読んでいます。
そこから見えて来た、自主企画の機能的な問題点があります。
ひとつには、やはり参加人数を企画主が設定できるようにすべきです。システム的には難しいことではないでしょう。ただ、制限があると自主企画への参加競争が起きかねないので、何らかの処置も必要です。現状では、参加できる自主企画が三つまでになっていますが、たとえば近い時期に始まった自主企画には参加できない、というようなことも必要でしょうね。
もうひとつは、自主企画が終わった後のことです。もう完全消滅なんですね、これが。せめて、企画主のプロフィールなどに「過去に主催した自主企画一覧と参加者一覧」の履歴が欲しいです。


個人的には、自主企画を立てて良かったと思っています。面白いエッセイも見つけられたし、逆に私のエッセイに対するフォローやPVも増えました。ありがたいことです。
自主企画は、使い方によっては同好の士を見つけるツールとしても使えますし、もしかしたら大喜利のような使い方もできる可能性があります。試してみるのもいいと思いますよ。

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