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ヘタレ勇者と魔王の娘

しろぱんだ

第29.5話 事件後の解明


  中央国プロミネンス王国

  あの襲撃事件から1ヶ月。
国は少しずつではあるが活気を取り戻していた。

「ショーン殿、わざわざ呼び立てて悪かったのぉ」

  王室の奥に設置された大きな椅子。そこには現在 プロミネンス王国の国王であるプロミデンス王が座している。

そして、その前にはショーンとペンドが並び立って居た。

「いえ、他でも無いプロミデンス王の呼び出しとあらば、いくらでも馳せ参じる所存で御座います」

 丁寧な返しをし、ショーンが片膝を着くとペンドも鎧の音を余り立てない様に丁寧に素早くしゃがむ。

「ふむ、2人を呼んだのは他でも無い。先の事件についての報告を聞こうと思ってのぉ」

「はっ。それなら私目から失礼致します」

  言うや否や立ち上がりお辞儀をし報告書を持ち出すペンド。

プロミデンス王が頭を縦に振ったのを確認し、報告書を広げて内容を口にする。

「午後1時 第二区 噴水広場の展示会場にて、魔王軍現幹部であるフェイスにより市民が洗脳され、暴動を起こしたと報告がありました。
目撃者の証言や、屋台で仮面を買った家族からも得た情報なので確かです」

「その屋台主は?」

「…殺害されていました」

「なんと…!!」

「失礼、其方の死体を確認したのは私ですので確かです。
名はカラクサ・ウォーイエ 第三区に住む男性で、商人をしている為 仮面の仕入れも外からと判断し、現在は調査を進めております」

  手を挙げ内容の補足をしショーンは頭を下げる。

出処不明の仮面。今の事件の鍵となるのはそれだけしかない。

プロミデンス王は深く溜息を吐き、頭を悩ませる。

「王よ、これを見て貰えますかな?」

「何じゃ? 見た所何の変哲もない蝶ではないか」

「そちらのショーン氏と手掛かりを探し、もしやと思い研究員に調査させた結果。この蝶は魔力を持つ虫です」

  虫籠に入れられた黒いアゲハチョウは、パタパタと羽を振るわせ止まり木に静かに止まっている。

「そんなのは何処にでも居るじゃろ」

「えぇ。しかし、その魔力が『意図的』に宿らされた魔力であった場合、それでも普通の蝶と呼べますかな?」

「なんじゃと?」

「恐らく、魔力を持つ物が検査に引っ掛かるのを知っていたフェイスは、術式を組み込み仮面に魔力を封印していたんです。
 そしてこの蝶を街に放ち、仮面と接触させる事で術式が解除されたんでしょう」

「しかしのぉ、そう上手く行くものか?」

「そこは研究員の方が証明してくれました。
この仮面には予めメスの蝶のフェロモンとなる鱗粉が付着していたしたから」

  要は仮面に『操る術式』と『魔力』を施し、後は封印し街へ運び込む。
運び終え、祭りが始まるとソレが商品として露店に並ぶのだが、その際に荷物を入れていた箱や袋にはアゲハチョウのフェロモンが充満していたハズ。

それを一気に開けてしまえば、忽ち空気に流れ街中を漂う。

そこへ『解術式』や『魔力』を付けたアゲハチョウを街へ放ち、仮面と少しでも接触すれば封印が解除される。

しかも、1枚の仮面が解除されればそこから連鎖して魔力が供給される仕組みになっていたのだろう。

「蝶を使ったのは、羽が特徴的だったのもあるでしょう。
蝶の羽は止まる時にピタリと合わされ閉じられますよね?
表側に解除の術式、裏側には『空間魔法』の術式を組み込んでいたのです」

  複雑な術式を2つに分け、羽が合わされた時に1つの術式を完成させる為。

更に、魔力は連鎖して解放された強大なのがある。ソレを利用してフェイスは国の内部へ侵入した。

辻褄が合い過ぎる。

ここまで考える奴が、こんなにも証拠を残して行くものか?


「死者 156名 負傷者1085人  行方不明者37人。
被害が第二区と第三区内で収められたのが良かった様で、迅速な避難誘導もあり被害は最小限に抑えられました」

「私はハジメ君のお陰だと思いますが」 

「確かに、彼がCOLORSの事を引き止めていなければ、被害はもっと大きかったでしょう」
 
「COLORSの殆どが死体であり、意識不明のプルーパ殿も仮面の支配下にある。
回復次第、私に連絡を」

「「はっ!」」

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