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ヘタレ勇者と魔王の娘

しろぱんだ

第28話 分からぬ事


  会議から2日後、目が覚めると共に囚人服を着せられ手錠をされ自由を奪われた。

寝ていた場所は薄暗く、冷たい空気が地下なのに吹いている場所…牢獄である。

通気口から流れる冷気と、囚人の声がより一層不気味さを醸し出している…。

  この経緯は簡単な話しだった。会議後、混乱の残る市民の為に、1つずつ問題を消して行く事になったのだが。

そこで先ず行われたのが、俺とシファーさんの処罰である。

  俺は催眠術にハマっていたとされているが、今回の事件での街の被害を考えたら追放だけで安く済んだモノだ。

シファーさんは魔王の娘として、重要な捕虜として城が監視するという結果に落ち着いた。

「形だけとしてだが、申し訳ないなハジメ君」

「いや、大丈夫ッスよ…」

  衛兵長である彼 ジャック・リッパーの謝罪を受け入れ、自分も覚悟を決めたのだ。

  今日で色んな事が変わる。
もう二度と生まれ育った町に帰る事も、家族や友人と会う事も不可能とされ、点々と様々な国へと旅立たなければならない。

「まぁ、寂しくは思うけど…未練は無いか」

「君はこれからどうする?」

「取り敢えずは、各国の現状を見て回ろうかと…。カイトさんとも会って話さなきゃいけない事があるッスから」

「それなのだが───」





「それでは、私は任務があるので失礼しますね」

「ありがとうございましたッス」 

  一通りの話を終え、衛兵長は牢を後にする。

見送り、壁にもたれ掛かったハジメは深い溜息を吐く。

「まさか…こんな事になってるなんて…」

『奴等も手を打って来たか』

「まさか船ごと人が消えるなんてなぁ」

  ハジメは俯き項垂れる。
暫しの沈黙が間に入り、そこでハジメはある事に気付いた。

「てか、どうしてアンタが話し掛けてくるんッスか」

『なんだ?頭が悪いな人間のガキ』

「あ”ぁ”?」

『苛立ちを私に向けるな愚か者』

   そりゃあ苛立ちもする。
彼女を守ると約束した後で、直ぐにこんな事になるだなんて…。
我ながら情けない気持ちでいっぱいだ。

  彼女は彼女で、この城のある場所にて保護されているらしいが…それでも状況からしていつ処刑されてもおかしくは無いのだ。

『まぁ、シファーが殺される事は無いだろうな。アイツは今、重要な鍵となっているのだから』

「悪魔や魔族との話し合いの材料ねぇ…。悪く言えば人質じゃねぇか」

『悪く言わなくてもそうだ』

  どっちにしろ最悪なのな。

「アンタは…知っていたのか? カイトさんが遭難した事とか」

『まぁな。私の魂の1部は奴も持っていたからな』

「アンタの魂は一体幾つ存在すんだよ…」

『フンッ、貴様が知るべき事では無かろう』

(実際は貴様の中に私が居る事が異常事態イレギュラーなのだがな)

『この会話についての問だがな、貴様に流れる悪魔の血が活性化したのが原因であろう』

  活性化…あの時、フェイスと対峙した時か!!

『この結果がどう転ぶかは分からん。
しかし、それにより私が長くコチラの状況を把握出来る様になったのは確かだ』

「延命でもしたみたいな良い方だな」

『まぁ、そんな所だ』

「こっちはアンタ達のやりたい事に巻き込まれ、事件の渦中に放り込まれたってのに…」

『そうボヤくな。貴様等人間の世界も関係している分、共に戦おうと言うのだ。
貴様等にも悪い話では無いだろう?』

  元々の選択肢なんて無いくせに。
そもそも、色々置いてけぼりで頭が追い付かないっての。

『──いずれ全てが分かる』

  そう言ってサタンは会話を辞めて大人しくなる。


くっそ、アンタやカイトさんは一体これから何をするつもりなんだ…!!


  ハジメは薄暗い牢獄で1人苦悩し悶える。



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