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ヘタレ勇者と魔王の娘

しろぱんだ

第9話 COLORS



    中央国『プロミネンス中央国』王室。


ブラフマ・プロミデンスが国王を務めるこの国は、世界各国の中央として位置する国。

此処を中心とし、東西南北に国が広がっている形で振り分けられているのだが。
その王の居る部屋では現在。執事服に身を包んだ貫禄のある白髪の男性が1人、王と向き合う形で立ち尽くしていた。

彼の名前はセバスチャン・フェニラー。
この国の王に仕えている執事である。

彼は表情を崩さぬものの、王へ渡した書類の内容に心から脱帽していた。


「現在、調査に出ていた『COLORSカラーズ』の全員が無残な姿で発見された模様です。
着きましてはドッレ・ロイエ・クピン・プルーパ・ルブ・ホトイワ・クッブラの以上七名が戦死。
ブラウ・リーグンは捕虜として捕まった後、今朝街に首だけが届けられた模様です」

「何と…!!  『COLORS』は全員Lv:60は超えていたハズ。
その者達をたった数日で全滅させるとは…」

  長い髭を撫で下ろし深い溜息を吐く。

『COLORS』の部隊が調査に向かったのは北の国。

「確か『バーンダスト』であったな。
やはり、北の国に魔王軍の本拠地があると見て良いのだな」

「はい。過去の魔王城が出現した場所を中心としての捜査でしたので、間違いは無いかと。
しかし、幹部の情報が不明でして。これ以上の調査は続行不可能かと」

「ふむ、良い。他の部隊も警戒態勢に入ったまま後退させよ。
これ以上の深追いは返って危険じゃ。兵士の命を優先せよ」

「ご慈悲を下さり感謝致します」

  深々と頭を下げたセバスチャンに、プロミデンス王は手を翳し頭を上げさせる。

頭を上げたセバスチャンは、「それから」と口に胸元から1枚の便箋びんせんを机の上へと差し出した。

それは封蝋であった。
青色に波の絵画が刻まれている。その蝋で押さえられた手紙にはドリム・ヘヴンズと書かれていた。

プロミデンス王はそれを見て頷くと、セバスチャンは懐から取り出したナイフで便箋の口を開く。


  ドリム・ヘヴンズ。
彼の事は幼少の頃から知っている。『ドリムメル』という南にある国の王になったと聞いてからは、色々と気に掛けて居たが。最近は逞しく成長し、今では頼み事すら出来る程になったのだから涙ぐましい。

楽な道では無いものの、若い年齢で王の座へと着いた彼を私は買っている。

今回の手紙も、その頼み事の内の一つが原因であろう事は明白。

手紙を手に取り中を確かめる。

「何…じゃと?!」

「──如何なされましたか?」

  手紙に視線を落とし驚く王の姿に、セバスチャンは素早く反応する。

「セバスよ。チャル・メーを知っているであろう?」

「はい。確かわたくしの記憶が正しければ、東国の端にある『チューハン』という国にて領地を持つ貴族様かと」

「そうじゃ、その貴族について ちときな臭い話を耳にしてな」

「───奴隷売買ですか?」

  暫しの沈黙を持ち、セバスチャンは王の目を見て答える。

プロミデンス王は溜息を吐きながら頷き、眉間に指を当て押さえ込む。

「やはりお主は知っておったか」

「申し訳ございません。実は私の執事仲間が数日前に相談をしに参りまして。
確たる証拠も無いので後日に王へと相談したいと…。本日、此処に願書を持って参りました」

  胸元から取り出した手紙を差し出すと、プロミデンス王は首を振りセバスチャンを見る。

「調査は出来ぬ…。チャル・メーは死んだ。」

「何ですと?!」

「2日前じゃ。『ドリムメル王国』内にある『シェルビーチ』にて、彼の無残な死体が発見されたらしい」

「まさか、『奴隷売買』内の問題が原因で?」

「それは無い。密輸をしていた者も殺害されておる。しかもたった1人の人間にのう」

「1人…それは犯人を特定出来たのですか?」

  奴隷売買となれば少数で行動するわけが無い。
売人と買い手。そして護衛と密輸する際に手を貸した商人か運び屋が居る筈。

少なくても6〜10人が最低でも居る筈だ。

その人数を相手にしたのが1人と分かるのなら、それは相手に接触したか、目撃していた者。

「特定までは行かぬが、名は『ヴィラン』と名乗っとったらしい。
目撃者は…『ドリムメル王国』国王のドリム・ヘヴンズと、その直属の兵士達じゃ」

「それはっ──大変厳しいですな」

  表情が曇る二人。

「『チューハン王国』が黙って居らぬじゃろう。
下手をしたら、最悪これを機に戦争じゃ」

「他国の領地内で、目撃者は国王とその直属の兵士ですからね。」

  条件が最悪過ぎる。
否、これが奴等の狙いだとしたら?

ぞわりと背中から気持ちの悪い感触が襲う。

北での魔王軍の復活。
東の奴隷売買。
南での他国貴族の殺人。

これが全く同じ時期に、同時に起こり得るモノなのか?

10年間の静寂を打ち破るかの如く。平穏は崩れ落ち。
問題が浮き彫りになって行く。

「ふむ。セバスよ!王の名において命ずる!!」

「──はっ!!」

  王の威厳を放ち命ずる主君に、セバスは片足を床に着き平伏す。

「『四大王国しだいおうこく』の王達を集めよ!!
世界会議を開催する!!」

「畏まりました。恐れながら、日時等は如何致しましょう?」

「3日後の12時。場所はこの『プロミネンス中央国』にて行なう!!」

「それではその様に御準備致します」

「それからじゃが、西国にはくれぐれも国内問題に気を付ける様言伝を頼む」

「御承りました」



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