追放された私を拾ったのは魔王だった為、仕方なく嫁になってあげた私はラグナロクにてスローライフを送りたいと思います

永遠ノ宮

第二十七話 アリアの過去

私は今、夢を見ている。
 ここは、私が生まれた場所……私が道具に成り下がった場所……。


ーー14年前


「お母様、お父様、おはうよございます」

「はい、アリアおはようございます」

「アリアおはようございます。今日も朝から元気だね」


 いつものように私は挨拶を返している。
 ステルスを持つ私は、言葉を覚えるのや何もするのも早くて、2歳の頃には普通にこうやって話しできるレベルまでコミュニケーション能力は上がっていたっけ。


「アリア、お父さんとお母さんね、宗教国との貿易話をしに他国に行ってくるから、執事のアカイさんの言うことをちゃんと聞くんだよ?」

「うん!お父様、お母様、いってらっしゃい」


 行ったらダメ!と叫んでも私の声は届かない……。夢だから。
 この時に、私は大人しく館でお留守番していたんだよね。
 一週間もの間……。


「アリアお嬢様、お菓子のお時間です」

「うわぁぁあ!これアカイが全部つくったの?」

「はい、そうですございます。アリアお嬢様」

「アカイすごーい!」


 親が死んでいるのを知らずに呑気にお菓子食べてる私は寂しかったの覚えてる。
 親がいない一週間、話すのは執事のアカイとメイドのみ。
 耐えられなかったのよね、子供ながらに。


「貿易を中止する?!」

「えぇ。そう国が決定したので貿易解消ということでいいですかな?」

「言いわけ無いだろう!」

 
 これはお父様、お母様の……。
 そっか、この時にはもう貿易はストップ、解消してしまったんだ。


「私達の国のどこに不満があるんだ?」

「不満はないのう。ただ普通に、やめようとなった……以上だ」

「クソッ!国のためにももっと……」


 お父様はあの国を愛してたから、役に立ちたくて自らかな乗りでたのだと思う。
 お父様はなぜか毎日のように館の裏山から王国を一望してたな。
 お父様のお国愛に勝てるものはいないのよね。
 地味にテトがいるけど……。


「クソッ!どうしたらいいんだ!貿易が途切れれば食料が!」

「あなた……」

「海賊にの襲撃だーー!!」


 もうここで襲撃を受けるんだ……。
 この後どうせ目標は海に沈みましたとか言うのよね。 
 その後船は沈み、お父様、お母様共に死亡。
 そして私のもとにあの男が来た……。
 ルードバー四世、最低最悪の悪代官。
 私はこの男に勝手に奴隷として、商人のオヤジのところに売りさばかれたんだった。


 辛かった、嫌だった、痛かった、寂しかった、死にたかった。
 貴族などどうでも良かった、ただ普通に、お父様とお母様と一緒にいたかった……。ただそれだけだったのに……。
 私が見た夢はここまで。奴隷になるまでの簡単な流れだけを自分で自分をみた。
 あとの奴隷生活は最悪で、飯抜きなんてよくあったし、はたかれて蹴られて、御師匠様か助けてくれる一日前なんて身体を触られた。
 最悪だった……。人に初めてあの時に殺意を持った。
 けど私は両親を殺した奴らと同類になりたくなかった。
 そして王国追放。
 つくづくついてない人生。
 聖女に官職をあげさせて、私のステルスで民や兵の治療をさせるだけさせたら追放。
 しかも少し前には、人間界からこっちの世界に最強パーティーに命狙われたのだったけ。


「そして君はここに来たんだよね、僕によって。涙はらしくない女王アリア」

「て、と?どうして……ここに?……泣いてた?」

「辛い過去は思い出せばみんな涙はでるもの……そしてアリア、試練がまた来たよ。スローライフエンジョイライフはこれを乗り越えて本格的にはじまるよ」

「試練?……起きてすぐの私になにかさせるの?」

「人間界のアリア暗殺専用パーティーが週に一度、短い時間だけ現れる異空間転移門に入って人間界からこっちに来てしまったみたいなんだ。しかもパーティー数は50」


 私の暗殺?人間界は私を追放させるだけではすまないってことなのかな?私は脳裏に嫌な考えがよぎった。
 私は唯一、貿易国との衝突とお父様とお母様の死の真相を知ってしまっている。そう、私の両親を殺したのは前王のジュサの息子で現在王のガクカ、あいつによって殺された。
 そしてそれを私が追放の復讐として解き明かし、キリスト教徒の反乱が起きればキリスト教徒による宗教戦争へと陥る。
 それを恐れている、だから私を追放するだけでは済まずに暗殺ときている。
 私は大好きになったここ、ラグナロクで死ぬのか……。そんなことを考えても仕方がないことはわかっているけど……。
 

「怖いよね、まだみんなといたいよね、死にたくないよね!よし!みんなでてこーい!」

「アリアちゃん」

「アリア様」

「アリア、さん」

「アリアちゃーん!」

「アリたーん!」

「アリアちゃん!ハグー!」

「アリアちゃん」

「アリア様」

「今は俺合わせてラグナロクにいた9人の神だけだけど、連絡つけたらみんな参戦するって!ということは、神対人間の戦い、本当のラグナロクのはじまりだよ。神を怒らせたことを人間に後悔させる、そしてあのクソぼんくらの王を黙らせにいくよ殺さずにね」


 そうだった、前もこうしてみんな私の代わりに戦おうとしてくれた。
 この人たちには私かなわないな……、特にテトにはかなわないな。
 本当に大好きになってよかったと思ってる私がいることを認めたくないけど、嘘はつけない。


「みなさん……ありがとう、ありがとう、ありが……。うわぁぁああ!私みなさんに、助けられてばっかで!ばっかで!うわぁぁぁあ、あぁぁああ!」

「さぁ!アリアが泣きやんだら、アリアを連れてここを出るよ!神様が久しぶりに暴れるぞー!ラグナロクを始めよう!」


『おーー!』


 そして私の暗殺パーティーのラグナロク転移により、ここラグナロクを舞台に、神様対人間のラグナロクが始まった。
 私は絶対にみんなとここで楽しく、スローライフなエンジョイライフを過ごしたい。その思いを強く胸に治癒師としてターゲットの私もみんなに守られながらパーティー撲滅に打って出た。

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