追放された私を拾ったのは魔王だった為、仕方なく嫁になってあげた私はラグナロクにてスローライフを送りたいと思います

永遠ノ宮

第八話 オセロ

今日はテトの要望により、ラグナロク全域を巻き込んでオセロ大会を開催することになった。
 急遽開催となった大会だったが、参加者は一万人を超えた。
 ラグナロク中がお祭り状態と化しお酒を昼間から飲む人や上半身裸で踊る人、屋台もたくさん並びだした。
 当然テトの要望により私も参加することになったのです。


「ラグナロク中にひしめきあう挑戦者たちよ!開催者の魔王テトだ!今大会はオセロ、いかさま無し、八百長なしの真剣勝負んしてもらう!優勝者には賞金100スロンドと僕への挑戦権を手にできる。僕に挑戦し見事勝てば!願いを一つ叶えてあげよう」

「うぉぉーー!!(参加者一同)」

「さぁ、大会をはじめよう!一試合目の人は僕の能力で脳内に電波をおくるから受け取ったものは机に座ってくれ!相手は誰ともでも構わない、一試合目を戦うもの同士であれば!さぁ、ゲームをはじめよう!」


 このように、テト自身とても祭りを楽しんでいる。
 それが伝わっているのかのように大会参加者も盛り上がっている。
 私にはついていけそうにないほどにヒートアップしているがまだ一試合目……。
 ちなみに私はというと第五試合目なのでまだまだ時間がある、先に昼食を済ませてお着替えもしておこうと部屋に戻る。


「どうしたの?浮かない顔してるよ?僕の開催したオセロ大会嫌だったかい?」

「いいえ、そうじゃなくてね……。少し緊張してるのよ、ラグナロクの民の皆さんの前に顔を出すのははじめてだから」

「大丈夫だよ、ラグナロクに住む人は皆いい人だから楽しんでおいで?僕のところまで来たら上出来と褒めてあげるよ!」


 テトはそう言葉を残し観戦にでていった。
 私は水色のワンピースの上からレースの上着を羽織り、使用人の方達と昼食を済まし、洗い物のお手伝いをしてから会場に足を運ぶ。


「アリア様だ!アリア様が来られたぞ!」

「皆さんどうですか?楽しんでますか?」

「負けましたよ!強いやつ多いですよ?アリア様も参加ですよね?頑張ってくださいね!」

「アリア様もお酒どうですかね?みんなで楽しくやりましょうよ!」


 たくさんの人が声をかけてくれるのでたくさんの方とお話をしてしたり、アドバイスをもらったりできた。
 もう気づけば第四試合が終わり、第五試合になった。
 私の出番と思うと緊張したが参加者の方々がとても応援してくれたので私は楽しもうと席についた。


「第五試合はじめーー!」


「アリア様頑張れー!」

「負けるなーダスト!」


 と、私の応援と相手の方の応援が激しい。観戦者している方々のほうが熱を帯びていて熱気がすごい。
 そうこうしているとあっという間に勝負はつき、私が勝った。


「ありがとうございました!楽しかったです!」

「いやー、こちらこそありがとうございました!アリア様とオセロできて光栄です!」


 私は一回戦を見事突破し、五千人の中に残った。
 二回戦の対戦相手も決まり、少し時間が空く。
 私は開催者であるテトと手を繋ぎワースモスと言う、コーラに近いが味はさくらんぼに近い爽やかな炭酸ジュースを屋台で買う。
 ついでにチュロスも買った。


「一回戦はどうだった?楽しかったでしょ?」

「うん!色んな人とお話できたしすごく楽しいわ!お祭りってこんな感じなのね……、私の知っているお祭りは人と人が闘技場で殺し合いをするものしか知らないから……。すごく楽しいわ!」

「君のいた世界は残酷なものだね、知ってはいたけど」

「この大会の参加者に親戚の方や神様方はいるの?」

「アヌビスが出ると言うてたな……。あいつこういうの好きだからな」

「アヌビス様と私があたったらすごいことになりそうね!」

「アヌビスは無理だ、もう負けてる。あいつは脳みそが小さいから頭脳勝負は負け確定なんだよ」

「アヌビス様ってそんな設定だったの?」


 唯一、大会に参加している神様のアヌビス様はまさかの頭脳勝負は絶対に負ける欠点を持っていたためテトの身内や親族となると私のみである。
 私は自分の番がきたのでテトにまたあとで行くわ!私の試合見てなさいよ!と言い残して走って机に向かった。


「よろしくお願いします!」

「よろしくお願いしますね、アリアちゃん」

「イシス様!!どうしたのですか!?参加名簿には名前のっていなかったですけど……」

「偽名よ偽名。アリアちゃんとオセロ勝負してみたくてね、偽名で参加よ」

「わざわざ偽名つかんなければいけない何かをしたんですか?」


 私の相手はテトの従兄弟のトールさんのお嫁さんである、イシス様だった。
 偽名を使って参加している理由はよくわからないが相手が身内でも関係!そう思い勝負に挑み見事勝った。


「アリアちゃん強いわね。オホホ、今日は楽しかったわ。お屋敷で私、待たせてもらうからテトとあとで戻ったらお茶でもしましょ?」

「あ、はい!テトと二回戦全て終わりましたらお屋敷に戻りますので!」


 こうして無事、オセロ大会一日目を終え私は二日目の決勝トーナメントに残った。
 明日もこのような調子でラグナロク中がお祭り状態になることを考えるとワクワクが止まらない。


「アリアちゃん、楽しそうね。お祭りは初めて?」

「いえ、私のいた世界のお祭りは人と人が闘技場で殺し合いをするというものなので全然違うなって思って」

「人間界とラグナロクではお祭りの規模も種類も違うからな、アリアが楽しんでるなら僕は嬉しいよ!」

「テト、アリアちゃんの為にお祭りを開催したものね」

「イシス!言わない約束を!」


 テトは私のためにオセロ大会を無理してでも急遽開催したという。
 私はテトに感謝を言葉にする。


「テト、ありがとう!嬉しいわ!」

「た、楽しんでいるならよかった!明日も早いから僕は失礼するよ!あぁ、暑い暑い」

「テト、あの子照れてたわね」

「はい、可愛いですテトはとても」


 テトが開催したお祭りを優勝して、テトを倒してテトにお願いをしてみよう、テトが求めることを。
 

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