追放された私を拾ったのは魔王だった為、仕方なく嫁になってあげた私はラグナロクにてスローライフを送りたいと思います

永遠ノ宮

第一話 王国追放され魔王の嫁になりました

「テスタ王国憲法第三十八条により、この度、罪人 アリア・スカーレットの王国追放の及び追放後、王国内への立ち入りを認めず、立ち入りを見つけ次第、侵入者とみなし即刻連行することを許可するものとし、これら全てを罪人アリアへの刑罰と処す」

 私はここテスタ王国に奴隷とし幼き頃に連れてこられ、暴力などを受けながらも働いてきていた。
 一人の王宮殿に仕える御方が、私に良くしてくださり私は王宮内でお仕事をいただけた。その御方がいなければ今の私はいなかった。
 人一倍働き、人一倍汗を流した。生まれ持っていたステルス、女神の加護と言う治癒能力に特化した特殊魔法を使い王様をお救いしたことにより、聖女にまで官職を上げた。
 その仕打ちがまさか、犯してもいない国家転覆狙いの殺人未遂容疑の濡れ衣をきせられ王国追放だなんて……。


「あの、裁判長官様。犯してもいない罪でここに立たされている私に弁明の余地はいただけないのでしょか?私が打ち首にならず王国追放と今後一切の王国への立ち入り禁止程度で済むという事は、証拠不十分であるということですよね?ならば……」

「黙れ小娘!お前はもうこのテスタ王国の聖女ではないのだ!確かに証拠不十分だが、お前がやったことに変わりはないのであろうが!知らばっくれるのもいい加減にしないか!さっさっとこいつを王国から追放しろ、連れ出せ!」


 あぁ、御師匠様。私を奴隷から救い出してくださった御師匠様、私はなぜこうなってしまったのでしょうか……。
 私は一体何をしたのでしょうか……。


ーー王国追放後

 資金も一切持たされず野垂れ死にになれと言わんばかりの扱いだった。
 隣町まではものすごく遠い、歩いて行っても三日はかかるほど離れている為、私はもの聖水を飲みに森に入った。
 森ならば少しは生きる為の食料と水分は補給できるためである。

「水がここまで美味しく感じたことは一度もないわ……。私は、悔しいです……。お父様、お母様、御師匠様……、うぐぐ。うぅぅ、うわぁぁん!お父様、お母様、御師匠様ー!」

 
 王国を追い出されたのが悔しいのではない、知らぬ罪をきせられたことを主張しても信じるものがいなかったことに絶望したのだ。
 お父様、お母様を一歳の時の亡くした私は二つ離れた国の裕福な貴族だったが、両親がこの世を去ってからはここテスタ王国での奴隷。
 名前はヌスタと変えられ、貴族共は元貴族の哀れな小娘ヌスタと私を侮辱し続けた。
 そんな中、私を救い出してくださった御方、アルマーニ様のおかげで私は王宮にて働き、奴隷から開放されました。
 それなのに、今度は罪人だなんて……、こんなのあんまりにも酷すぎる……。


「そうして君は、またもや居場所をなくしてしまった。と、言うことかね?」

「うわぁぁ!あなたいつからそこに?!それ以前に私の過去をなぜ知っているの?!」

「驚かせてすまない、聖女アリア・スカーレット様。私は怪しい者ですが変態ではないのでご安心を。そうだね、いつからって君がここに来る前から君を待っていた!それと、君の過去は君の記憶を全て僕のステルスによって覗いたからね。ステルスとは超能力のことだよ?」

「怪しいけど変態ってあなたまともな人間ではないわね。私を待ってたとはどういうこと?私の過去を覗いて今は同情でもしてるの?」

「僕は魔王だ!名前はテト。あなたを奪いにラグナロクから降りて来たのだよアリア・スカーレット。同情なんてしていないさ。むしろ僕は、君は被害者ぶっていると思っている。なぜなら君は生まれてすぐに家族という一番大事なものを失っている、だからもう官職や王国の聖女なんてつまらぬものを取り上げられたくらいで被害者なんてとんでもないよね」

「あなたが魔王?本当に言っているの?ラグナロクから降りて来たことを自ら話したことと、テトというその名前かして間違いなさそうだけど……。確かにそうね、私は一番失って辛いものをもう失っている、だから今更、役職を取り上げられたことくらいでめげてる私は被害者ずらしてるだけね」


 彼の言うことは最もで的を的確に射抜いてる。
 彼なら信じていいのかもしれないと思ったが、自ら怪しい者ですと自己紹介をしたうえに変態ではないと宣言したことを考えると……、やはり危険かもとも思える。いや、むしろそう誰もがそう思うもの。


「あなたは何が目的?私の体?私のステルス?」

「いやいや、確かに君のステルスは凄くいいものだし、君の体も中々のものだ。なるほど、胸はかなりの上玉であるな!だが、そうではない。君には僕と一緒にラグナロクにきて生活してもらうのと、魔王の嫁として!きてもらう!どうだい?」

「誰があんたみたいな魔王の嫁になるものですか!ベー!私はファーストキスの相手と結婚すると決めて……」


 チュッ……


 柔らかい感触が唇いっぱいに広がりトロケそうなほどに滑らかで、この時私は彼にファーストキスを奪われた。


「あんた何してるのよ!私のファーストキスを奪ったの?!」

「だって、ファーストキス奪ったら僕に惚れてくれちゃったりしてと思ってー、だめだったかな……。」

「うぅぅぅ!なんで最後そんな顔するのよー!ずるいわ!ズルすぎるわ!」
(この男にキスされた時にドギっとして胸が熱くなってしまったけど認めたくない私がいてどうしたらいいのかしら。)

「キスされとドギっとトキメキを感じてしまった私を自分自身が認めたくないからどうしたらいいかわからないか。なんならもう一度したら自分に嘘つけなくなるかもだよ?」

「うるさいわね!からかわないでよ!アハッ、アハハハハハ!あなた面白いわね!涙出てきちゃった。あぁ、面白い人」

「やっと君は笑った。ずっと悲しい顔をしていたから……。僕は君の存在に気づいてから君をずっとラグナロクからみていたけど、君がそこまで満面の笑みを溢してるのを見るのは初めてだ!今日で僕が初めてを二つもいただいちゃった、僕は幸せだ!」

チュッ……

「これです、素直になったわよ。あんたにファーストキス奪われてドキッてなった認めるわ。仕方ないから私を住まわせなさい、ラグナロクに……。ただし!スローライフ・エンジョイライフ希望だからね!結婚してあげるのだから、手初めにバカンスにでも連れていきなさい、テト……。」

「お安い御用でございますよ、我が愛するアリア・スカーレット」

 
 彼となら私は強くなって本当の自分が見つけられて、本当のお嫁になれるかもしれないわ。彼とならば……。

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く