追放された私を拾ったのは魔王だった為、仕方なく嫁になってあげた私はラグナロクにてスローライフを送りたいと思います

永遠ノ宮

第五話 テトとの休日

今日は土曜日。
 テトは魔王なために毎日ラグナロクの問題解決のために働き詰めである。
 今日は休日でテトはお昼過ぎまで爆睡していた。
 私はいつも通りに使用人の方と朝ご飯を一緒に作ろうとベットから身を起こそうとしたが寝ぼけているテトに手首を掴まれ、ベットに引き戻される。


「テ、テト?起きてるの?寝ているの?朝ご飯を作りに行かなければならないのだけれど……」

「アリア……、アリアって脱ぐと胸大きいのだね……。グヘヘ、気づかなかったよ」


バシッ!!


 寝言とはいえ最低!!
 しかも、私の胸のことを寝言で言うなんてどれだけ破廉恥な夢を見ているのかしら!と心の中でこっそり怒っておく。
 二度目のベットからの移動を試みるも、今度はテトにベットの中で抱きしめられて動けなくなってしまう。
 そういうことは、起きている時にちゃんとしてほしいものだわ!と思いながらも実は嬉しいと言うのは内緒である。


「アリア……、どこにも行かないでね。側にいてね……」

(私はあなたから離れてどこに行けばいいのよ。私の居場所はあなたの隣ってもう決めているのにどこにも行かないわよ)


 寝ているならばと、少しテトの頭を撫でてみる。
 フサフサでサラサラの綺麗な髪の毛がなびく。
 ほんの少しほっぺたにチュッとしてみる。
 口にキスをしようと顔を近づけた時、


「あ、アリアおはよう……」

チュッ……。


 と凄く恥ずかしいタイミングでテトは起き、おはようキスをテトに持ってかれてしまった。
 私は急に恥ずかしくなり、朝食の手伝いにいってくる!と慌てて部屋を飛び出す。
 

「テトのバカ……、テトのバカ……。テトのバカーー!!」


 ベランダから大きな声で叫んで少しスッキリしたところで朝食のお手伝いのために厨房に顔を出す。

「おはようございます!朝食のお手伝いに来ました!」

「もう!アリア様はおやすみしててください、私達の仕事ですので……。毎日毎日すごく嬉しいですが私達がテト様に怒られちゃいます」

「大丈夫ですよ、テトには私がしたいからしていると言って許可いただいておりますし、私はここラグナロクに住まわしてもらっている身ですのでこれくらいはさしてください、ウフフ」

「アリア様は本当にお優しいお方ですね。テト様がお選びになった理由がとてもわかります!ですが、アリア様、今朝何かテト様とありましたか?オホホ」

「聞こえてたんですか?!私が先程叫んでいたこと!」

「大変大きな声でバカやろーー!お叫びになってましたね」


 恥ずかしい、私としたことが恥ずかしいと思いながらも、使用人の皆さんと手を動かしながらこんなことが朝からありましてと恋のお話に花を咲かせる。
 テトの話を毎日色々聞かせてもらえる時間がこの朝食作りの時間であるので毎日楽しみである。
 お仕事中のテト、移動中のテトなどたくさんのテトの話を聞けて自分の知らないテトをしれる幸せな時間。



ーー朝食の時間

 朝食時はいつもテトと向かい合い部屋のテーブルで食事をとるのですが、今日は私の提案により使用人さんやヨルお兄様とお屋敷に住む皆さんと大リビングで食事をとった。


「テト様聞きましたよ?朝からアリア様との破廉恥な夢を見て寝言を言っていたいたとか」

「アリア!言ったのか?!使用人やヨルムンガルドにまで今朝のこと知られていたとは……」

「テトはいつもそうだね。アリア様との破廉恥なことばかり考えて。アリア様?こんな変態な弟だが許してあげてね?」

「はい、テトが変態なのはわかっていますけど、今朝のはひどかったですよ?離れようとしても抱きついて離してくれないですし」


 それで……、こうであぁで……と大勢の人と卓を囲み笑い話や真面目な話などとても幸せな時間を過ごせた朝。
 私は物心がつく前に両親をなくし奴隷として生きてきて王宮に入ってからは独り暮らしで大勢の人と一緒に卓を囲んで話しながら食事をとったのは初めてで感動して食事を終えてから泣いてしまった。


「アリア様どうなされました?!なぜ泣いておらるのですか?」

「私、物心つく前から両親をなくして、貴族から奴隷に落ち、十歳にして王宮に入ってからは独り暮らしだったのでこんなに大勢の方と卓を囲んだことが一回もなくて……。嬉しくて……。つい」

「アリア、毎日ここは君の帰る場所で皆が待ち皆が必ずいる場所だ!だからいつでもみんなで飯を囲もう!みんなで外出にも行こう!旅行にも行こう!僕と二人の時間はたくさんある、けれどここにいる何人かは家の事情でやめることもある。だから、二人だけの時間も大事にし、みんなとの時間も大事にしよう!ここにはみんながいる!」

「そうですよ、アリア様!私達の中からやめるものもでるかもしれません。ですが、アリア様のいるところには必ずテト様、そして私達がいます。もうアリア様は独りではありません!」

「皆さん、ありがとうございます。私、ここへ来て本当に良かったです!」


 私はもう独りではない、あの頃とは違い帰る場所、私がいるべき場所があり皆が待つ場所がここにある。
 私はラグナロクをまた一つ好きになった。
 私のいていい世界、私のことをみんな大切にしてくれて、みんなを大切に思える前いた世界とは別の世界。
 

「お父さん、お母さん。私は大切な宝物を沢山手に入れたよ、そして一番この世で大切なテトと言う素敵な旦那様を見つけたよ!私を育ててくれてありがとう!」


 

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