地獄の番人ですよ!
地獄のレベルは五つまで
地獄レベルは5まで♪
地獄。
極刑の場にて。
「あー、そこ。二番に入って!」
ケルベロス・リザンカは手元にある書類から人間たちの行き先を伝えていた。
地獄に落ちた人間は刑を受けるに対し、五つの極刑の内、一つは必ず行かされる。
まず、一つ目は岩石削り。
「リザンカさーん! 岩石の中に魂石ありました!」
「わかったー! 足元転ばしといてー!」
魂石とは石の宿る小さな魂のことだ。
天界に住む神のペット、岩石竜が落とす糞石にごく少数として出てくる。
人間たちはそれをハンマーで叩き砕き採取する。ちなみにハンマーの重さは40キロ。
二つ目は血滝登り。
「ぐぼっげほ!!」
「はーい、後ちょっとだからガンバー!!」
「む、むぶってリザャンカさぁんっ!? ぎゃあああああああああああああああ!!」
「はぁ……。また、一から頑張ってねー!」
流速が激しい血の滝。上から垂らされた鎖を手で登り降りする。
たまに、滝を降りに着た甘噛み珍獣の青ネッシーに喰われることも。
結構痛いらしい。
三つ目は猛獣逃げ。
「頼むベスタ!! 痛いから食べないでえええええええええええええええ!!」
「逃げないと食べられるよー! 全速力ー!!」
「リザンカさぁん!? ベスタの背中に乗ってる暇があるなら助けて!!」
「無理♪」
猛獣、白毛の地獄百獣ライオンことベスタ。
もうダッシュで人間を追いかけ、食べた後は糞として出してしまう。
その時の体内での激臭は相当な物らしい。
四つ目は、鬼の鉄槌。
「正座。精神を清らかに………」
「……………は…は、くしゃっ!? は!!」
「はい、残念。それじゃー鬼さん、お願いしまーす♪」
『うむ』
「ひゃ、そんなトゲトゲ金棒で叩かないでっぎゃあああああああああああああああ!!!」
文字通り、鬼の鉄槌。
座禅を組み、瞑想に少しでも乱れが出れば鬼の金棒による鉄槌が叩き込まれるのだ。
たまに飛ばされる距離は山を越えるとか。
と、四つと紹介したが、一番にキツイ極刑がある。
それが五つ目。
ケルベロスの地獄落とし。
「なんだ、このクソガキ!! テメェに一からしごかれる義理はねぇんだよ!!」
地獄に落とされ、まだ時間が経っていない人間はよくリザンカを見て暴言を吐く。
「はぁ………仕方がないなぁ」
リザンカは背中の鎌を抜き去り、大きく上に振り上げる。
「ねぇ、踏み潰しと切断。どっちがいい?」
「はぁ!? なに訳のわからないことを、テメェから先にぶっ潰してやろうか!!」
「うん、どっちも止めた。………………クソは噛み潰す」
振り上げた鎌を人間に向けた。
その直後、異変は起きる。
突き伸ばされていた鎌は徐々に形を変え、それは大きく。
「な、なんだよ、それ!!」
顎。
人間など一飲みする程のケルベロスの口に形を変えた鎌が人間に突きつけられた。
「ひゃ、ヒャッ………」
「それじゃ、地獄の地獄、いってらっしゃーい♪」
ガブッ!!
暴言を吐いた人間は、その口に飲み込まれ、そのままゴクリと飲み込まれる。
飲み込まれた行き着く先は地獄の奥底。
漆黒の暗闇の底無し沼に落ち、約数ヵ月でやっと地獄に帰ってこれるのだ。
「はぁ、今日の仕事は一段落つーいた。それじゃ、アンタたちー!! 後数分したら食事係の鬼さんがくるからそれまでファイト!!」
「「おおおおお!!」」
ケルベロス・リザンカの仕事は、地獄の番人。
教育や書類とその他にも沢山あるが、それでも彼女はこの生活を楽しんでいる。
リザンカの日常はこうして始まる。
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