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季節高校生

goro

黒銃と白銃





天候が悪くなる。
嵐の前触れかのように強風が吹き付け、空は曇天につつまれようとしている。
そんな中で、風霧が残した地図に頼りに藪笠とリーナは島の山頂付近の目的地に辿りついた。


「………………」
「………………」


二人の視線が集中する。
それは、土壁。しかし、その奥には人が通れるような通路がある。
土壁の下は鉄壁なのだろう。
だが、その壁は土壁を含めて何か巨大なものに貫かれたような大穴が開いていた。
土はともかく鉄を貫く。


(まさか……)


リーナは口元を引きりながら、脳裏にある男の姿を映す。
昨日の光景を見ているからこそ余計に革新があった。


その一方で、藪笠は破壊された鉄壁の状態に疑問を抱いていた。


(……貫いたっていうよりは、吹き飛んだって感じだな)


大穴周辺に残る微かな切り傷。
突くというよりも、何か巨大な物を叩きつけられそのまま吹き飛ばされた。


「……………………」


藪笠は真剣な表情で、その大穴を見つめる。












微かな明かりの電灯がついたトンネル並みの通路。
黒のコートを羽織る風霧は片手に持つ黒刀を肩に担ぎ進んでいた。
特に防犯の装置もなく、かなり奥まで進むことができた。


だが、それは罠かもしれない。
だが、別に気にするつもりもない。


風霧にとってこの状況は普段とかわりない散歩なのだ。


通路を進んでいく中で、道が二つに分かれていた場所があり風霧は感で右の通路を選択した。
そして、今回も、


「はぁ、またか…」


二つの通路。
これは一種の迷路かもしれない。
風霧は溜め息を吐き、再び右の通路を選択した。














通路当初。
二つに分かれた通路。
左に行ったのが悪かった、と藪笠は反省する。


「リーナ、早く急げ!!」
「貴様が右に行かなかったからだろがああああああ!!」


全速力。
リーナの意見を無視して左と決め、やや数分。
普通に進んだ。その真上から音が聞こえ、距離をとろうと前に出た直後に罠らしい大玉が落ちた。
しかも、通路が下に向かってできているため。
……ようするに。


ゴロゴロゴロゴロ!! と。
大玉が藪笠たちを追いかけているのだ。


「藪笠! 貴様は絶対に帰ったら警察に突き出してやる!!」
「な、ってお前それ理不尽だろ!」
「黙れ! 変態!」


ぎゃあぎゃあ! と言い合っている二人。
しかし、言い合っていても大玉はすぐそこに迫っている。


藪笠は後ろに視線をやり、このまま逃げ続けるのは無理と判断した。


「ッ、四季装甲、春!」


呟いた瞬間、藪笠の動きは力を増し、走るよりも跳ぶ形でリーナより前に出る。


「き、貴様! この裏切り」
「リーナ、跳べ!!」


少し涙目のリーナに向かって藪笠は叫ぶ。
大玉は直ぐそこまで来ている。
意を決したリーナは力強く足に力を籠め、藪笠に向かって跳んだ。
その瞬間に藪笠は放つ。




「真・桜!!!」


ドゴン!! と藪笠は足元したの足場に拳を叩きつけた。
その直後、コンクリートでできた足場が砕かれ、真の衝撃から前の部分だけが盛り上がる形となった。
藪笠は、自身に向かって跳ぶリーナの手を掴み強引に引き寄せる。
そして、そのまま抱き寄せた状態で体を伏せ、その次の瞬間。


ドォン! と大玉は盛り上がりにつられたように、跳んだ。
正確には軽く浮いた状態だ。
藪笠はリーナを下に、守るように覆いかぶさっていた。
完璧に防げた。
そう思った、その時。


チィッ、と。
大玉に何かが掠った。


その音を、リーナは耳にした。




















通路は一本道。
風霧は通路奥へと進む。
そして風霧はたどり着いた。


巨大な場所。


大きく作られた、何もない広場。
風霧は頭をかきながら呟く。


「あれ、道間違えたか」


行き止まりということは、さっきの分かれ道は左が正しい。
戻るか、と風霧は後ろに振り返ろうとした。
その次の瞬間。


ドン!!


ギロチンのように、今通ってきた通路が真上から落ちた壁に塞がれる。
そして、風霧は閉じ込められた。


「…………………」


風霧の表情に余裕がなくなった。
さっきまでの表情が一変し、殺気を放つ顔へと変わる。


だが、それはこの状態に対してではない。


大きな場所。
それを作った意味。
閉じ込めた意図。


小さな疑問が集まり、それはある答えに繋がる。


「…………それで隠れてつもりか?」


風霧はぼそりと呟いた。
それに連動するように黒のコートが動き出す。
大きく広がっていたコート端が三つに分かれ、まるで蛇のようにゆらゆらと揺れている。
さらに異変はもう一つあった。
それは、黒の刀。
風霧の持つそれが一瞬にして形を変えたのだ。


長い刀身がなくなる。
異様な柄の形だったアクセサリーもなくなる。


風霧の手にあるそれは。




漆黒の拳銃。






ドンドンドン!!
三発。
振り返ることすらせず、風霧は後方上の天井めがけて銃弾を撃った。
拳銃のように鉄弾が詰められているわけではない。
銃口から発射されたのは黒の衝撃波。


ここに潜入した際に使った陽波虹に比べ、その大きさは小さい。
だが、それは外見だけだ。


ドォン!! ドン!


銃弾は天井に直撃し、大きく崩れる。
同時、その足場に何かが着地した。




「ク…ガあガ……ギヤい……ジあジ…!!」




獣の声だけではない。
微かに人の声も混ざっている。
のそり、と動くそれはまさに醜い。
オオカミの足、トカゲのような瞳、ゴリラのような腕、人のような耳。
そのほかにもさまざまな生き物が寄せ集まったようなその姿。


それは、まるで洞窟奥の壁画に記されていた物。


「…………やっぱり、あの壁画に手を出してたか」


風霧は振り返り、静かに息を吐く。
そして、同時に今まで腰につけていた黒のアクセサリーとは正反対の白のアクセサリーを手にする。


「………そこまで進行が進んでるってことは、もう無理だな」


ビュッ、とスライドと共にアクセサリーは白の刀に姿を変える。
静か過ぎる中で、醜いソレは息声を荒くさせる。
いつ飛び込んでもおかしくない。
緊迫とした状態の中。


風霧は銃と刀を構え、




「……今まで苦しかったよな。だから、ここで終わりにしよう」




魂に語りかけるように、言葉と共に走り出す。





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