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季節高校生

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◇絵心は大切です





サブストーリー
《絵心は大切です》








<a href="//1659.mitemin.net/i62258/" target="_blank"><img src="//1659.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i62258/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>










十月の寒い季節。


日曜日でもあり、運動部を除く大半の学生たちは休日を過ごしている。


そんな中、美術室でただ一人。








「うーん、どうしよう」


島秋 花は、絵の具のついた筆を手にうなり混んでいる。
目の前には、立て掛けに掛けられた板紙。
そこには鉛筆で下書きが描かれ、少しづつ絵の具で色がつけられている。


はたから見て良い出来と言ってもおかしくない。
しかし、島秋はある箇所を何色にするかで悩んでいた。




「………青か、それとも橙」


悩んでいる、それは画面に広がる海だ。


そもそも、美術授業の課題では『夏』をイメージした絵を出すことになっていた。
約二名を除く大半のクラスメートは絵を仕上げ、島秋だけはもうちょっと描きたいと先生に申し出たのだ。




そして、約二名というのは…………。




「ッ……、まったく鍵谷の奴」
「あ、藪笠くん」


美術室入り口から入ってきた、寝癖髪をかく藪笠芥木。
島秋とは違い、呼び出しを食らった一人である。


「先生にまた呼び出されてたの?」
「まぁな、鍵谷はまだ怒られてるけど」
「え、怒られてるって、今度は何したの?」


島秋は尋ねると藪笠は頬をかきながら、


「いや、たまたま……何だけどな。……鍵谷と言い合ってた最中に廊下に飾ってた花瓶割っちまってな」
「あー、なるほど。…でも、真木ちゃん何でまだ怒られて」
「職員室出るとき、近くにあった花瓶割った」
「…………」


あはは…、と苦笑いを浮かべる島秋。
藪笠は机上に鞄を置き、自身の描いた絵(先生から強制的に未完成と言い渡された物)を立て掛けに掛ける。


「はぁ……出来てるって言ってんのに」
「………や、藪笠くん。それ、また凄いよね」


立て掛けられた絵。
夏とあり、橙色を使っている。


……いるのだが、


「真っ赤だね、本当に」
「ん、そうか?」


何事も平常心な藪笠。
先生の気持ちも分からなくもない…、と内心に思う島秋。


とはいえ、こうして話し合ってては作業は進まない。




藪笠と島秋は集中して作業に取りかかることにした。










チク、タク、チク、タク……。
時間が刻々と過ぎていく。


島秋の隣で作業に取りかかる藪笠。
橙から青と、色を変えているようだが…………………………さらに現状が悪化している。
一方、島秋はというと、とりあえず他の部分を細かくしようと手をつけていた。


「うーん」


だが、結局最初の問題に突き当たる。
頭をかきながら、考える島秋。


と、そこに、


「何悩んでんだ?」


ひょい、と顔をこちらに向け尋ねる藪笠。
自身のには、手をつけてない所を見るに諦めたようだ。


「あ……ちょっと、海を何色にしようか考えてて」
「海?」
「うん。夕暮れの橙か日中の青か……………藪笠くんは、夏っていえば何色にしようと思う?」


他人の考えを参考にしよう。
島秋は顔を藪笠に向けながら、返答を待つ。


そして、数秒の沈黙から、


「………俺なら」






口元を緩ませ、藪笠は言った。




「青でいいんじゃねえか。島秋だったらピッタリだしな」


え? と目を丸くする島秋。




「私だったらピッタリって……どういう」
「ん? どういうって、そのままの意味だけど」
「………」
「まぁ、何だ」


目と目が交差する。
藪笠は視線を反らし、背中を島秋に向けながら言った。




「何も曇りもない、って意味だよ」










……………………………………つまり、どういうこと?


藪笠に再び尋ねて更に頭が混乱してしまった島秋。
その言葉のうちに何が秘められているか分からない。




だが、しかし、




「……………(私、だったらか…)」


藪笠の言葉。
島秋は口元を緩ませ、嬉しさに悩みがあったことさえ忘れてしまっていた。


「藪笠くん」
「……………ん?」


島秋は筆を手に、こちらに顔を向けた藪笠に声をかける。
そして、










「ありがとう!」










笑顔を浮かべながら、島秋は言った。
内にたくさんの事を詰めた、感謝を込めて………………。


















一方、職員室にて。


「とりあえず、反省文三枚な」
「先生! 酷すぎます!!」
「自業自得だろ」




約二時間をかけ、涙流す鍵谷は反省文を仕上げる事となる。







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