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季節高校生

goro

二泊三日の二日目・2





迷路から出た時には時間は既に十時をまわっていた。


「はぁ、どこいったのよ籔笠は……」




鍵谷は少しムスッとした表情で一人、ベンチに座っている。
迷路を出た後、用事があると言われて籔笠について行き、ここで待っててくれと言われた。
どこに行くの?と尋ねると返ってきた言葉はげんなりした表情で一言。


『トイレ』




思い出しただけで顔が赤くなってしまう。
息を吐きながら空を眺める。




「あなたは行かないの?」
「え?」


ふと、その声に振り向くとそこには小さな女の子が立っていた。
女の子はどうやら母親と一緒に来たらしく、向こうではほっそりとした女性が呼び掛けているのが見える。


「えーっと、行かないって何が?」
「知らないの?今ね、イベントで宝物探しをしてるの。茶色い布を見つけたら、ある場所を伝えにきてほしいんだって。そしたら景品をくれるって」


茶色い布?


その言葉に対し鍵谷はふと思い出す。
迷路を途中でレンガに挟まっていたある物を。




「それってあれかな…」
「?」
















籔笠は今、ある建物の前に来ていた。
辺りには人はおらずドアの直ぐ側には係員待機所と書かれた看板が立て掛けられていた。


「………………」


籔笠は息を吐くと体を反らし、短く息を吐く。


直後、扉に衝撃と破壊が同時に炸裂された。






中心がまるで何かに貫かれたように鉄の扉は変形していた。










籔笠はゆっくりと歩きながら中に入って行く。
そこには数人の男たちが口と手首を縛られている。


彼らは驚いた表情で籔笠に視線を送り、


「………やっかいなことは変わりないか」


籔笠を頭をかきながら彼らに近づき、一人の男性の口を塞いでいた布を解く。


「何でアンタらが捕まってるわけ?」
「い、いや、俺達も何が何やら」




男は今だ冷静になれないのか籔笠にあるがままを話す。


突然の襲撃。隠したブツ。イベントを利用しての捜索。




それらと彼らが言う男たちの話をまとめ、籔笠は昨日見たテレビニュースを思い出す。


「……強盗グループか…」
「な、それは、……だが何で」
「ニュースとかでもやってただろ?大方盗んだのをこの敷地内に隠したんだろ。だけどアンタらがその敷地内にアトラクションを作っちまってしかもまた無駄に金かけまくって一週間で作ったんだ」
「一週間……それって」
「一週間で作ったのは迷路だけなんだろ?だったらそこだろうな。まさか森林を全部切り倒すとは思わなかったし、警察も工事中の敷地にまで手を出さないしな」
「…………」
「…レンガとか使って森全体を迷路にしたのが仇になったみたいだな」


籔笠はそこまで話すと携帯を取り出し、電話をかけた。


「……あ、鍵谷か」
『ガールフレンドは預かった』


そのふいの言葉に籔笠は眉を潜める。


「は?」
『聞こえなかったか?ガールフレンドは預かった。悪いがガールフレンドの変わりに茶色い布を見つけてきてくれ。まぁ、それがある場所を伝えに来てくれてもいい。そしたらガールフレンドは返してやる」


その言葉だけを残し通話は途切れた。
籔笠は息をつき、携帯をポケットに戻す。




「き、君……」
「アンタら。今から大体三十分ぐらいしたら警察に電話しろ」
「だ、だが」
「心配ならもうしなくていい」


籔笠はそう言った。


その一言に異変が起きた。






今までいたこの場所がまるで何かに塗り染められたかのようにその空気に彼らの体が寒気を感じた。






「後始末は警察にしてもらう」




いや、寒気ではない。それはまるで死地の真ん中に立たされた感覚。






「アイツらは俺が潰す」








恐怖。











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