季節高校生
辛いと思っていても・1
夏。
季節が過ぎる中で一番に楽しみが沢山ある季節。
一年生にとっては唯一の癒しであり、クーラーに当たって一日中眠っていたい。
そう、いわば夏休みに近づくにつれてわくわくが止まらない、
「そんな季節何でお願いします、明音先生。見逃してください!!」
「いや、無理だから…っか鍵谷。そんな季節だからこそ夢見て浮かれてんじゃねえよぞコラ」
指導室。
成績がよくない生徒を呼び出し、彼らを優しく丁寧に地獄に送る。
そして、今。
鍵谷 真木は生徒指導担当の長髪女教師、清近 明音に呼び出され、かれこれ三十分は経っていた。
「はぁー」
籔笠は息を吐く。
現在、籔笠は外の中庭の石段に座り込んでいた。
隣には、
「真木ちゃん、遅いね」
あれから数日が経ち、笑顔を取り戻した島秋 花が苦笑いを浮かべている。
四時間授業が終わり一緒に昼飯を食べようと誘った直後、鍵谷は指導室へと呼び出され(実際は清近に襟首を捕まれ連行された )直ぐに終わるだろうと待っていたのだ。
浜崎は用事があるらしく先に帰ったのだが、
『あ、明音先生?……何でそんな物をッ!?』
『鍵谷、アンタにはちょっと調教が必要なようなの。まぁ、バカのアンタにはわからないだろうけど』
『ああ明音せん』
『鍵谷、覚悟決まった?』
…………………………………。
『ウニャァァァァァァァァァッ!!』
ドガバコッ!?と、
中庭まで、二階にある指導室からの騒音が聞こえてくる。
「……籔笠くん、何か」
「聞くな、島秋。もう手遅れだ。それよりも親父さん元気」
『逃げるな、鍵谷!!』
「う、うん。今はちょくちょく来る同僚の人と世間話して」
『助けてぇぇ!!花ぁぁ!!』
「そうか、親父さん思ったより元気でよかったな」
「う……うん、よかった」
制裁!!、グハッ!?と、
どうやら、決着がついたらしい。
あ、真木ちゃん死んだ!?、と顔を青くする島秋。
しかし、決着がついたかと思ったが、
『はぁ、…………仕方ない。鍵谷、道連れを一人言ってみろ。それで少しは罰を優しくしてやる』
『明音先生!籔笠でお願いします!!』
『即答だな、おい』
トン、と足をつき立ち上がる籔笠は、
「悪い、島秋。あのバカしばき倒してくる」
籔笠が一瞬にしてその場から消え、数秒後。
『明音先生!道連れとは言わずにコイツだけ地獄に叩き落としてください。』
『ッ!?先生、籔笠も成績はギリギリなんです!!ぜひとも』
『ぶっ飛ばすぞ、鍵谷!!』
白熱とかした指導室。
島秋は苦笑いのまま指導室から目をそむけ、空を眺める。
「………………暑いなぁ」
季節は変わり、夏が始まった。
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