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季節高校生

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春の終わり

<a href="//1659.mitemin.net/i36054/" target="_blank"><img src="//1659.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i36054/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>








日の光が窓から差し込む中。




ゆっくりと目を開かせた、島秋 正木は体を起こそうとした。
しかし、体は思うように動かず小さな溜め息を吐く。




そして、茫然と周りを見渡した時。


「あ、……籔笠くん、かい?」


壁に寄りかかっていた籔笠に正木は口元を緩ませた。


















籔笠から昨日の夜に起きた出来事を大まかに聞いた正木は、そうか、と目を細める。




「……スコーピオンは全部終わらした。……悪かったな、あんたの生き甲斐を取っちまって」
「………いや、それよりも」
「…………ん?」




正木に顔を上げ、視線を向ける籔笠。






そこには優しげに笑った島秋正木の顔があり、








「花を守ってくれて、ありがとう」










その言葉は籔笠にとって良いものではなかった。


「……君を恨んだりはしないよ。私には君みたいな力はないからね」
「……そんなこと」
「私はあの子の気持ちを分かっていたのに見ぬふりをしていたんだ。私はただ加織を死においあったあの子達に似た彼らを止めたかったんだ」




島秋正木は側にいつも持ち歩いていた手帳を思い出す。


密かにスコーピオンを調査して、ボロボロになるほどにメモした手帳。




しかし、その行動が今回、目をつけられ。




娘まで巻き込んでしまった。
















「籔笠くん」


正木は籔笠に振り向き、


「花の事を頼めるかい?」
「…………俺なんかで」
「私は昔の君に言ってるんじゃない。今の君に頼んでいるんだ」


正木は口元を緩ませながら優しげな笑顔を浮かべる。




その表情はどこか島秋 花に似ている。












そして、その心も。








「……やっぱり、あんたたちは親子だな」




籔笠は答えることはせずに病室から出ていく。








そして、出ていくさいに開け閉めしたドアに体を預け、籔笠は一言、












「…………………憎んでくれても、いいのに」


















その声は静かに、その場を静寂させた。












「花、心配したのよ」
「馬鹿!馬鹿!」




花が寝ている個室では浜崎と鍵谷が騒いでいた。
病院では静かに、といったことなど無視だ。




「ごめんね、真木ちゃん。玲奈ちゃん」


頬には湿布が張られ、少し憔悴した顔色が見える。
泣きじゃくる鍵谷の頭を撫でる島秋。
そこで島秋は浜崎に尋ねる。




「玲奈ちゃん。……籔笠くんは?」


















「籔笠」
「ん、鍵谷か?」


籔笠は病院の屋上から下に見える桜の木を見ていた。
桜は地面に落ち、春の終わりを感じる。




「花がアンタに会いたいって」
「ああ」
「後、二人とももう少し入院するみたい」


鍵谷は籔笠の隣に歩み寄り、地面に咲く桜を見つめる。






「籔笠、知ってる?」
「ん?」




鍵谷は口元を緩ませながら、






「桜って出会いと繋ぎの象徴なんだよ」


















瞬間。
籔笠の脳裏に思い出す。












『桜って、出会いの繋ぎの象徴なんだよ』










「籔笠?」
「あ、いや、……何でもない」


小さく笑い、そう言う籔笠。
変なの、と鍵谷は笑いながら屋上の屋上に向かい歩いていく。




桜が風に舞い、地面に落ちていく。








「春も終わりだな」


籔笠はその景色を眺め、そう呟く。








「籔笠!!置いてくよ!」
「ああ、わかったわかった。今行く!」
「…早くこないと籔笠が屋上から看護師さんのこといやらしい目で見てたって玲奈と花に言っちゃう」
「鍵谷ぃぃぃ!!」
「キャアアア!痴漢ンン!!」




春が終わり。
次の季節が訪れようとしている。







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