季節高校生
服屋と悲しい瞳
「島秋に感謝しろよ」
「………」
藪笠と鍵谷は今、待ち合わせの公園から離れた商店街を歩いていた。
二人がこうして会えた理由は藪笠が電話した島秋に鍵谷の居場所を教えてもらったからだ。
「はぁ。あの時島秋に電話番号聞いといてよかったな」
「…………うぅ」
藪笠は携帯電話を片手に息を吐いた。
「それで、どこ行くんだ?」
「………」
「おい」
「………パ…ト」
「は?」
言いづらそうな表情で鍵谷は顔を赤くし、
「デパート!!」
そして、現在。
「…………」
頬をつきながら、藪笠はデパートの休憩所に座っていた。
一方、鍵谷はというと、
「うーん」
休憩所の向かいにある服屋で服を見ていた。
退屈になった籔笠は辺りを見渡す。
どこも、皆一緒で男女の姿が見える。しかし、それにしては数が多すぎだと思った。
すると、その時。
「籔笠」
店から出てきた鍵谷が立っていた。そして、苦笑いをしながら手を合わせ、
…………………
「コスプレ!?」
「う、うん」
まさか、こんなことになるとは思わなかった。
籔笠と鍵谷は今、服屋の奥の更衣ルームに来ている。
どうやら鍵谷の目的はここでしか入らないオリジナルの服だったらしく、それを手に入れるには店のデザイン中の服を着て店長に見せなくてはいけないといったものだった。
(コイツ…一人だと恥ずいからって、俺をはめやがったな)
じー、っと鍵谷に睨む籔笠。
そして、気まずいのか籔笠に振り返らない鍵谷。
だが、その状態もいつまでも続くことはなく、二人は店の人に指定された個室の更衣室に入る。
「っば!?」
直後。鍵谷が盛大にむせた。
何にというと、それは視線の先にある白と黒のチラチラとした。
メイド服。
「ねぇ、籔笠!!ちょっと助けて!!」
鍵谷は直ぐ様、更衣室から出て籔笠のいる更衣室に向かい。
そして、更衣室のカーテンを盛大に開けた。
「え?」
だが、そこにいたのは、
前髪をふわりと揺らせ、黒い羽織を来た。
悲しい瞳をした一人の男の姿だけだった。
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