みんなは天才になりたいですか?僕は普通でいいです
50.桜は思う。wwwってなんなのか、と。
ピロンッ
最近私のスマホがよく鳴る。
こんな事を言ってはなんだが、少し前までの私は別にスマホなんて、無くても良いと思っていたくらいだった。
バスケ部のメンバーやコーチと連絡を取り合うことは勿論あるのだけど、基本的には日時や場所など必要最低限のやりとりに留めていた。
別に機械音痴と言うわけではない。単純に誰かと常に連絡を取り合うという行為を面倒だ、と感じる性格だっただけだ。わざわざ家に帰ってまでメッセージのやり取りをしなくたって、学校に行けば直接話しが出来るんだし、よくみんなそんな手間な事をするなあ、と思っていた。
[桜ちゃん、聞いて聞いてー!]
「全く、弓月は相変わらずですね」
聞いて聞いてーと打つ時間があれば、要件を伝えられるんじゃないの?  って思うのは、私がSNSやスマホでのメッセージのやり取りに疎い、古いタイプの人間だからなのかな?
[どうしたんですか?」
[今日、授業中に居眠りしてたら先生に怒られちゃったよー!!」
「……」
授業中に寝ていたら怒られるのなんて当たり前じゃない。そんな当然のことを、なんでわざわざメッセージで送ってくるのだろう。
[怒られて当然ですよ。それにしても受験生だと言うのに随分と余裕があるんですね]
[うっ……それは言わない約束だよ!  桜ちゃんは勉強してるのー?]
[まあ、それなりにはしていますよ]
それなり。まあ、それなりだ。
特別勉強が出来るわけでも無いけど、極端に出来ないわけでもない。
数学は得意なんだけど、暗記系はあまり得意ではない。
弓月には偉そうな事を言っておきながら、私も決して勉強が好きなわけではない。人並みにはやっておかないと、自分が困りそうだから仕方なくやっているだけだ。
[凄いねー!  よくバスケしながら勉強なんて出来るね!  私なんか部活していた時は授業中、眠くて眠くてやばかったよ!]
[なに言ってるんですか。スポーツの強豪校は偏差値が高いところが多いんですよ。文武両道です]
[ひえー。私には到底真似できないなー!  引退した今でもまともに勉強してないのに……苦笑]
引退……。弓月は既に部活を引退している。三年生最後の大会で私たちの高校とあたり、そして私たちが勝った。
一度負ければそれで終わりのトーナメント戦。今まで特に意識した事は無かったけれど、私たちが勝つと言う事は、当然、相手は負けてそこで終わり。
だからなんだ、と言われれば特に何もないんだけど、なんとなく、その事がやけに気になった。それと気になることがもう一つ……
[弓月、どうしても聞きたいことがあります。近々、時間取れませんか?]
[えっ!!  勿論!!  基本暇だからいつでもOKだよ♪]
[ありがとうございます。日時は改めて連絡しますので」
[りょーかーい!  てか桜ちゃんのメッセージ、OLみたいだね!  笑]
「はあ?!  OL?!」
一体どの辺りがOLなんだろう。自分ではよく分からない。もう少し砕けた言葉遣いの方が良いのかな? えっと……こ、こんな感じかな?
[えっ!  そうかなー?  そんな事ないよ♪]
ドキドキしながら返信を待つ。いつもなら気にもしないスマホを握りしめて、そわそわしている。
「ねーちゃん、彼氏でも出来たの?」
リビングでテレビを観ていた弟に唐突に声をかけられ、思わずスマホを握っていた手に力が入る。
「は、はあ?  急に何言ってるのよ。出来てないよ、彼氏なんて」
「へー。最近やたらスマホいじってるし、今もなんか独り言を言いながらニヤニヤしてるからてっきり」
「ば、バカ言ってないの。私は今バスケに集中したいんだから、彼氏なんていらない」
「本当だな桜……信じるぞ」
弟の隣でビールを飲んでいる父親が寂しそうに問いかけてくる。若干、目が潤んでいる気がするけど、気付かなかった事にした。
ピロンッ
[ちょ、桜ちゃんwww]
弓月から返信を見ながら自分の部屋に向かう。あれ?  何か可笑しかったのだろうか。それに文末に付いているこのwは一体……?
ワールドワイドウェブ……?
ピロンッ
私がどうすれば良いか分からず、固まっている間に続けざまにメッセージが届く。
[OLって言った事は謝るから、いつもの桜ちゃんのままでいてね!]
「全く、なんなんですか。本当に失礼な人ですね。ふふふ」
リビングから足早に退散したのは正解だったかも知れない。今の私の顔を鏡で見たら、きっと顔の筋肉が緩みきっているだろうから。
[分かりました。ではまた後日]
ピロンッ
[はーい!  またねー!  おやすみ♪]
本当に最近私のスマホはよく鳴る。
最近私のスマホがよく鳴る。
こんな事を言ってはなんだが、少し前までの私は別にスマホなんて、無くても良いと思っていたくらいだった。
バスケ部のメンバーやコーチと連絡を取り合うことは勿論あるのだけど、基本的には日時や場所など必要最低限のやりとりに留めていた。
別に機械音痴と言うわけではない。単純に誰かと常に連絡を取り合うという行為を面倒だ、と感じる性格だっただけだ。わざわざ家に帰ってまでメッセージのやり取りをしなくたって、学校に行けば直接話しが出来るんだし、よくみんなそんな手間な事をするなあ、と思っていた。
[桜ちゃん、聞いて聞いてー!]
「全く、弓月は相変わらずですね」
聞いて聞いてーと打つ時間があれば、要件を伝えられるんじゃないの?  って思うのは、私がSNSやスマホでのメッセージのやり取りに疎い、古いタイプの人間だからなのかな?
[どうしたんですか?」
[今日、授業中に居眠りしてたら先生に怒られちゃったよー!!」
「……」
授業中に寝ていたら怒られるのなんて当たり前じゃない。そんな当然のことを、なんでわざわざメッセージで送ってくるのだろう。
[怒られて当然ですよ。それにしても受験生だと言うのに随分と余裕があるんですね]
[うっ……それは言わない約束だよ!  桜ちゃんは勉強してるのー?]
[まあ、それなりにはしていますよ]
それなり。まあ、それなりだ。
特別勉強が出来るわけでも無いけど、極端に出来ないわけでもない。
数学は得意なんだけど、暗記系はあまり得意ではない。
弓月には偉そうな事を言っておきながら、私も決して勉強が好きなわけではない。人並みにはやっておかないと、自分が困りそうだから仕方なくやっているだけだ。
[凄いねー!  よくバスケしながら勉強なんて出来るね!  私なんか部活していた時は授業中、眠くて眠くてやばかったよ!]
[なに言ってるんですか。スポーツの強豪校は偏差値が高いところが多いんですよ。文武両道です]
[ひえー。私には到底真似できないなー!  引退した今でもまともに勉強してないのに……苦笑]
引退……。弓月は既に部活を引退している。三年生最後の大会で私たちの高校とあたり、そして私たちが勝った。
一度負ければそれで終わりのトーナメント戦。今まで特に意識した事は無かったけれど、私たちが勝つと言う事は、当然、相手は負けてそこで終わり。
だからなんだ、と言われれば特に何もないんだけど、なんとなく、その事がやけに気になった。それと気になることがもう一つ……
[弓月、どうしても聞きたいことがあります。近々、時間取れませんか?]
[えっ!!  勿論!!  基本暇だからいつでもOKだよ♪]
[ありがとうございます。日時は改めて連絡しますので」
[りょーかーい!  てか桜ちゃんのメッセージ、OLみたいだね!  笑]
「はあ?!  OL?!」
一体どの辺りがOLなんだろう。自分ではよく分からない。もう少し砕けた言葉遣いの方が良いのかな? えっと……こ、こんな感じかな?
[えっ!  そうかなー?  そんな事ないよ♪]
ドキドキしながら返信を待つ。いつもなら気にもしないスマホを握りしめて、そわそわしている。
「ねーちゃん、彼氏でも出来たの?」
リビングでテレビを観ていた弟に唐突に声をかけられ、思わずスマホを握っていた手に力が入る。
「は、はあ?  急に何言ってるのよ。出来てないよ、彼氏なんて」
「へー。最近やたらスマホいじってるし、今もなんか独り言を言いながらニヤニヤしてるからてっきり」
「ば、バカ言ってないの。私は今バスケに集中したいんだから、彼氏なんていらない」
「本当だな桜……信じるぞ」
弟の隣でビールを飲んでいる父親が寂しそうに問いかけてくる。若干、目が潤んでいる気がするけど、気付かなかった事にした。
ピロンッ
[ちょ、桜ちゃんwww]
弓月から返信を見ながら自分の部屋に向かう。あれ?  何か可笑しかったのだろうか。それに文末に付いているこのwは一体……?
ワールドワイドウェブ……?
ピロンッ
私がどうすれば良いか分からず、固まっている間に続けざまにメッセージが届く。
[OLって言った事は謝るから、いつもの桜ちゃんのままでいてね!]
「全く、なんなんですか。本当に失礼な人ですね。ふふふ」
リビングから足早に退散したのは正解だったかも知れない。今の私の顔を鏡で見たら、きっと顔の筋肉が緩みきっているだろうから。
[分かりました。ではまた後日]
ピロンッ
[はーい!  またねー!  おやすみ♪]
本当に最近私のスマホはよく鳴る。
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