みんなは天才になりたいですか?僕は普通でいいです
56.やるか、やらないかはお前らの自由だ
「ただし、監督からの条件がいくつかある。みんなよく聞いて各々判断してくれ。神保と……えっとキミもそれでいいかな?」
「はいー。押し掛けているのはこちらなんですし、勿論オーケーですー。」
「よしでは説明するぞ。まずーー」
美鈴コーチの説明を要約するとこんな感じだった。
1、この1on1大会の順位は今後の試合での選手起用の参考には一切しない
2、審判は必ず美鈴コーチがやる事
3、相手に怪我をさせる様なプレーは絶対にしない事
4、以上を踏まえて、参加する、しないは自由。但し、参加不参加は必ず自分の意思で決める事。
だそうだ。まあ、こう言うイベントが好きな人とそうではない人、それぞれだろう。無理をして参加しなくてもいいなら、しかも個人評価の対象にはならないと分かっていたら、わざわざ出る必要は無いと考える人もいるだろう。
他校の、しかも得体の知れない人物が参加するのなら尚更だ。ただ、私は参加したい気持ちがどうやら勝っているようだ。以前、二葉と1on1をやって、まあ有り体に言ってコテンパンにやられたわけだけど、それをバネに今までトレーニングを積んできた。
今の自分の実力がどこまで通用するか試したい。例え、また誰かに負ける事になったとしても。
「じゃあ参加する人はこちらのコートに集まってくれ。不参加の奴も……まあ、いい機会だ。参加者のプレーをよく見ておく様に」
「より〜なんか面白い事になってきたねぇ〜。ウチは参加するよ〜!」
「あ、花ちゃんまって。私も参加するから!」
————————————————
「お、副キャプテンも参加するのか!  珍しいな。こういうのあんまり好きじゃないんじゃないか? 」
「まあ、ちょっとね。真琴はこういうの好きそうだもんね」
「まあね!  キャプテンとして負けるわけにはいかないしなあ」
————————————————
「はっはっは!  オレの思ってたのよりずっと楽しくなりそうだぜ!  まあ、どうせ優勝するのはオレだけどな!」
続々と参加者が集まってくる。最終的に参加を希望したのは、
皇キャプテン
桜先輩
花ちゃん
八重樫先輩
富田先輩
上里の神風(神保 春風)
かがみん(加賀美 芽衣)
いろは(冨樫  いろは)
私(矢野  たより)
の9人だった。意外と少ないな、と思ったけど、県大会も近いしこんな事でもし怪我をしては目も当てられないと考える人が多くいるみたいだ。二葉が参加しない事は少し意外だったけど……。
「おや?  君は参加しないのかい?  君も明星女子のバスケ部なんだろう?」
美鈴コーチが神風と一緒に来ていた小さな女の子に話しかける。
「いえいえ。私は付き添いで来ただけですのでー。練習着も持ってきていませんし!」
と両手を顔の前でパタパタと振りながら答える。なんか小動物みたいな人だな……。
「そうか?  ならまあいいけど。よーし。じゃあ組み合わせはくじ引きで決めるからちょっと待ってろー」
そう言って手早く、くじを作り箱に入れて各々に引くの様に促す。そしてその結果をホワイトボードに記していく。
私の一回戦の相手は……かがみんだった。かがみんは私と同じ二年生でポジションはセンターだ。力強いプレーで試合でも活躍している強敵だ。
他の人の組み合わせは……
皇キャプテン×桜先輩
神風×富田先輩
いろは×八重樫先輩
花ちゃん(シード)
って、いきなりキャプテンと副キャプテン?! ま、まじか。
先日の試合以来、ちょっと微妙な空気が流れてたんだけど、大丈夫かな……?
私の心配を他所に、1on1大会は幕を開けた。
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