金髪、青目の美人エルフに転生!

鏡田りりか

第百三十四話  伝統のアレです

 私は、帰ってすぐにジェイドの部屋に行った。ジェイドは、すぐに迎えてくれた。


「お帰りなさい、ソフィア様。信じていただけたんですか?」
「うん。それと、やっぱり、予定通り」
「連れて来たんですね?」
「ごめんね」


 先に言ってあった。もしかしたら、連れてきちゃうかもしれないって。そしたら、みんな、良いって応えてくれたから。
 だから、連れてきちゃいました、お母さん。今はソフィアのお母さんの所に居るよ。


「で、それは良いとして。ジェイドとのことなんだけど」
「ああ、そうでしたね?」
「やっぱり、規則は守りたいんだ」
「戦うってことですか? お安いご用です」


 戦って、男の人が勝ったら。これは、やっぱり伝統だし、守りたい。
 と言う事で、私はゴスロリのあれを着てここまで来たんだ。杖も置いてきた。
 審判はスカーレットに頼んだよ。ニヤッと笑って了承してくれた。おかげで凄く心配になったから、インディゴにも言っておいた。もう準備は出来てるはずだよ。










「はい、これから、ジェイドとソフィが戦うよー!」
「ちょっと?! リナ?! リリ?! マリ?!」
「なにせ、この年で本気でやるのは多分ソフィが初だぞ」


 本気でって、ああ、そういう事ですか。そりゃ、三十で成人のエルフじゃあ、これは早すぎるんだろうね。でも、待たせるわけには……。


「ま、気にしないで。ジェイドさん、がっつりいっちゃって?」
「え……。まあ、婚約がせいぜいでしょうけど」
「でも、ソフィは転生者。もう良いような気もするけどなぁ?」
「実年齢、いくつなんだっけー?」


 あうぅ……。とっくに三十越えてます。確かに、そう考えたら……。アレ?! 婚期逃した女性みたいじゃん! 止めてよっ!


「とりあえず、リリはフェリとどうなの?」
「はわっ?! えぇと、まあ、ぼちぼち……、って、ソフィ!」
「あはは。っと、そろそろ始めよっか?」


 私がジェイドの顔をしっかりと見ると、向こうから私たちを呼ぶ声が聞こえた。凄く嫌な感じ。
「お母様? お父様? ハナ? と、お母さん?」
「ソフィア、やっぱり、ジェイドさんとねぇ……」


 楽しそうな顔をしないで……。凄く戦い辛くなっていくんだけど?
 でも、それよりも、何か報告があるのかもしれない。じゃないと、ここまで来るか? 来るか。


「言うことあるんだけど、終わってからでいいわ。早く始めちゃってー」
「わ、分かりましたわ。じゃ、ジェイド」


 スカーレットの合図に合わせて、私たちは動きだす。


 ジェイドは私が送った剣ではなく、自分で作った、あの翡翠色の剣を使っている。
 私は素手だけど、魔法はそれでも十分です!


 まず最初に。私は補助魔法を自分に掛ける。これで避けるのは楽だけど、まあ、体力差で最後負けるのは目に見えてる。
 ジェイドの上から振った剣には後ろに避ける事で対応。大きく跳んだら、跳び過ぎて、もはや飛んでる。
 まあ、それは気にせず、そのまま大滝キャタラクト! 続けて緑石弾エメラルドブレッド
 ジェイドは大滝キャタラクトを横に避けて、緑石弾エメラルドブレッドを剣で砕いた。


「ふふ、ウォーミングアップは済んだかな?」
「ええ、一応。さ、じゃ、行きますよ!」


 ジェイドは剣を持って突っ込んでくる。赤石弾ルビーブレッドで即席の剣を作ってそれを弾いたら、真っ赤な剣は一瞬で砕けたよ。ルビーなのに。
 後ろに飛んでちょっと距離を取り、大吹雪ブリザードを放つ。観客には当てないように。
 ジェイドはバリア魔法で対応。やっぱり、ダメージは与えられないか。


「これ、負ける気ありますか?」
「十分楽しんだら、ね?」
「もちろん、手加減なんてされたらツマラナイ!」


 ふふ、それでこそジェイドだ。悪魔はそうでなくっちゃね。
 悪魔魔法の光線ビーム雷光線サンダービームで相殺。直後硬石弾ダイヤブレッドを放ったけど、軽い感じで避けられる。動きが全て滑らかで美しい。思わず見惚れちゃいそう。


「よし、そろそろ本気だすよ!」
「では、私も。さ、もう少し楽しみますよ!」










「はぁ、はぁ、はぁ……。ああ、疲れた」
「もう……。手加減しましたね? いつもの攻撃的な感じが無い」
「あ、ばれてた、か。だって、いつもみたいに、攻撃したら、それこそ、一瞬で、終わるから」


 ジェイドはコップと水を出現させると、私に渡した。ここまで疲れる戦いは初めて。
 別に、殺す必要はないもの。死なない魔法は掛かってるけど、もう逃げられないだろう、というところまで追いつめればいい。スカーレットとインディゴがストップ掛けた。


「ソフィア、大丈夫?」
「お母様。ええ。ですが、やはり疲れました」
「蒼空、じゃなくて、ソフィアだっけ。あんなに激しい戦いなのね……」
「まだまだです。私が手加減しちゃったから」


 にしても、ずいぶん強くなったなぁ。ジェイドってこんな強かったっけ。
 そんな事を考えてたら、ジェイドがひょいっと私を持ちあげた。すごいびっくりした。
 いままで、凄く我慢してたんだろうな。周りに居る人なんて、目に入っていないみたいだった。


「あわっ?!」
「さ、ソフィア様。良いんでしょう?」
「えっ、あ、その……」


 初めてのキスの味は、甘酸っぱいレモンの味です。

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