金髪、青目の美人エルフに転生!
第百二十三話 四人娘との戦い
紫色の、部屋の中。窓の代わりにステンドグラス。電気は大きなシャンデリア。
自然と私はアリシアと対峙する。アリシアはニヤリと笑って私を見る。
他に、セシリアはエベリナ、エステルはリリアーナ、マルセルはマリアが担当する。
と、私はある事に気が付いて無防備だけど、振り返ってジェイドに叫ぶ。
「ジェイド、後ろ! 向こうは任せた!」
「え……? うわっ?! いつの間に!」
いつの間にか、後ろの通路から大量の兵士がなだれ込んでいた。急に狭くなったように感じる。
私は慌てて前を向くと、アリシアはそのままこちらに向かって笑っている。
とにかく、私はこいつを必ず倒さないといけない。何度もこいつを仕留め損ねているんだから。今度こそ、ね。
「さて、もう良いかな? ソフィアちゃん?」
「もちろん。行くよ」
私は杖をしっかりと構えてアリシアに向かう。
アリシアは、奇妙な形をした杖を持っていた。なんだか、お化けの顔みたいなところに、魔石がすっぽりと覆い隠されるかのように入っている。
とりあえず、魔族の魔法に注意。操られる事はもうない。ちゃんと対策をしてある。そう言う装備品を身につけている。
っていうか、ぶっちゃけトレアのサークレットだ。トレアに力を貸してもらった。
どうやら、トレアはどうしても魔王を私に倒させたらしい。何故か。前のターンで『失敗』しているからだ。
しかも、この世界だけでなく、全ての並行世界や未来、過去を確認し、『一番適性があった』のが、私だったのだ。そして、二番目がマリア。
だから、私ができなければ、もう未来はない。ならば、必ず。
私は緑石弾を撃つ。一番被害が出にくいと考えたから。
軽々避けたその弾は、そのまま壁にぶつかって、ついでに壁が一面消えるという事態になった。高そうなのに。
って言うか、壁が弱いのか? こんなに簡単に壁が吹き飛ぶなんてありえない。
と思っていたんだけど、そうじゃない事に気が付いた。多分……。
「ジェイド! その兵士、こっちに攻撃してくるんだけど?!」
「くっ……。悪いのですが、外の兵士とは比べ物にならなくて……。正直、一度に相手できるのは10人が限度で……」
ジェイドでその人数?! どうしよう……。このままだと、負けそうだ。本当なら、アリシアを一瞬で片づけて援護に向かいたい。けど、それも出来ない状況。
アルラウネが悲鳴を上げるのが聞こえる。あれはレモンちゃんだろう。あんなに似てるって言うのに、もう覚えてしまったよ。
私はアリシアの悪魔魔法を避けつつそんな事を考える。さっきまで余裕そうな顔をしていたアリシアの顔にイラつきが見える。
私は一歩後ろに下がって赤石弾を放つ。アリシアはトンと床を蹴ってバク宙で避けた。
ああ、集中できないよ。アルラウネの悲鳴が聞こえて、ジェイドの苦戦している様子が見えるんだよ?
それだけで胸が張り裂けそうなのに、このアリシアは隙が無く、見ていて悔しい位、完璧だ。
それに、セリシアを相手にしたエベリナは……、まあ、不利だろう。回復役だし。魔法は使えるけど、神級はあまり上手じゃない。そんなエベリナは、短剣を使いつつ何とかやってる感じ。
エステルとやるリリアーナは、この部屋では圧倒的に不利。なにせ、弓は接近戦ではまるで役に立たない。もうすでに焦った顔をしているリリアーナに対し、エステルはそっと微笑んで、表情とは合わない超強力な魔法を連射している。
マルセルと戦うマリアもだ。この狭い部屋では、大きなマリアの魔物を呼ぶ事が出来ない。この前の事があってから、よりユニを大切に扱うマリアは、この切羽詰まった状況でユニを呼ぶことはしない。マリアは1人で、魔法頼りに戦っている。
この圧倒的に不利な状況で、私は本気を出せないでいた。
本気で撃ったら、味方もろとも、どころか屋敷ごと吹き飛ぶぞ? どうするんだよ。
全ての魔法なら屋敷や味方を巻き込む心配はないけど、視界に入らない人が多すぎるから、魔力の無駄になってしまう。
どうしよう、魔王にたどり着いてすらいないのに、いきなり絶体絶命だ。
「きゃああ!」
「悪いのですが、手加減するわけにはいかないのです」
エベリナの悲鳴が響く。今すぐにでも殺されてしまいそうなほどだ。
「いやぁっ! はぁ、はぁ……。なんて強さなのぉ……」
「ご主人の命令は絶対だから……」
間一髪で魔法を避けたリリアーナ。明らかに、動きが遅くなっている。
「くっ、少々分が悪いな」
「それは本心か? 本当に『少々』なのか?」
珍しく、焦りの表情を浮かべるマリア。額に浮かぶ汗を拭い、辛そうに目を瞑る。
まずい。これ以上長引かせると、全員が消耗し過ぎる。でも、範囲の狭い魔法はまるで当たらないし、味方を巻き込むような大きな魔法は打てない……。
そして、私は今、アリシアの猛攻を避けるので精一杯だ。
「どうするんだい? 君も味方も、もう危ないね?」
「馬鹿にしてるの……? 諦めるわけ、ないからね」
「いつまでそんなこと言ってられるかな?」
いつまでも、言ってやるさ。私は、みんなのために戦うって決めた。
それに、ちょっと、考えたんだ。一か八かだけど、起死回生を狙える。そんな方法を。
「あなたこそ、いつまで呑気なこと言ってられる?」
「なに? 策があるわけ?」
アリシアはあり得ないでしょ、と余裕の表情。本気で舐められてるみたいだね。
ふふ、何言ってるのかな。私だって、やればできる子ですからね……?
自然と私はアリシアと対峙する。アリシアはニヤリと笑って私を見る。
他に、セシリアはエベリナ、エステルはリリアーナ、マルセルはマリアが担当する。
と、私はある事に気が付いて無防備だけど、振り返ってジェイドに叫ぶ。
「ジェイド、後ろ! 向こうは任せた!」
「え……? うわっ?! いつの間に!」
いつの間にか、後ろの通路から大量の兵士がなだれ込んでいた。急に狭くなったように感じる。
私は慌てて前を向くと、アリシアはそのままこちらに向かって笑っている。
とにかく、私はこいつを必ず倒さないといけない。何度もこいつを仕留め損ねているんだから。今度こそ、ね。
「さて、もう良いかな? ソフィアちゃん?」
「もちろん。行くよ」
私は杖をしっかりと構えてアリシアに向かう。
アリシアは、奇妙な形をした杖を持っていた。なんだか、お化けの顔みたいなところに、魔石がすっぽりと覆い隠されるかのように入っている。
とりあえず、魔族の魔法に注意。操られる事はもうない。ちゃんと対策をしてある。そう言う装備品を身につけている。
っていうか、ぶっちゃけトレアのサークレットだ。トレアに力を貸してもらった。
どうやら、トレアはどうしても魔王を私に倒させたらしい。何故か。前のターンで『失敗』しているからだ。
しかも、この世界だけでなく、全ての並行世界や未来、過去を確認し、『一番適性があった』のが、私だったのだ。そして、二番目がマリア。
だから、私ができなければ、もう未来はない。ならば、必ず。
私は緑石弾を撃つ。一番被害が出にくいと考えたから。
軽々避けたその弾は、そのまま壁にぶつかって、ついでに壁が一面消えるという事態になった。高そうなのに。
って言うか、壁が弱いのか? こんなに簡単に壁が吹き飛ぶなんてありえない。
と思っていたんだけど、そうじゃない事に気が付いた。多分……。
「ジェイド! その兵士、こっちに攻撃してくるんだけど?!」
「くっ……。悪いのですが、外の兵士とは比べ物にならなくて……。正直、一度に相手できるのは10人が限度で……」
ジェイドでその人数?! どうしよう……。このままだと、負けそうだ。本当なら、アリシアを一瞬で片づけて援護に向かいたい。けど、それも出来ない状況。
アルラウネが悲鳴を上げるのが聞こえる。あれはレモンちゃんだろう。あんなに似てるって言うのに、もう覚えてしまったよ。
私はアリシアの悪魔魔法を避けつつそんな事を考える。さっきまで余裕そうな顔をしていたアリシアの顔にイラつきが見える。
私は一歩後ろに下がって赤石弾を放つ。アリシアはトンと床を蹴ってバク宙で避けた。
ああ、集中できないよ。アルラウネの悲鳴が聞こえて、ジェイドの苦戦している様子が見えるんだよ?
それだけで胸が張り裂けそうなのに、このアリシアは隙が無く、見ていて悔しい位、完璧だ。
それに、セリシアを相手にしたエベリナは……、まあ、不利だろう。回復役だし。魔法は使えるけど、神級はあまり上手じゃない。そんなエベリナは、短剣を使いつつ何とかやってる感じ。
エステルとやるリリアーナは、この部屋では圧倒的に不利。なにせ、弓は接近戦ではまるで役に立たない。もうすでに焦った顔をしているリリアーナに対し、エステルはそっと微笑んで、表情とは合わない超強力な魔法を連射している。
マルセルと戦うマリアもだ。この狭い部屋では、大きなマリアの魔物を呼ぶ事が出来ない。この前の事があってから、よりユニを大切に扱うマリアは、この切羽詰まった状況でユニを呼ぶことはしない。マリアは1人で、魔法頼りに戦っている。
この圧倒的に不利な状況で、私は本気を出せないでいた。
本気で撃ったら、味方もろとも、どころか屋敷ごと吹き飛ぶぞ? どうするんだよ。
全ての魔法なら屋敷や味方を巻き込む心配はないけど、視界に入らない人が多すぎるから、魔力の無駄になってしまう。
どうしよう、魔王にたどり着いてすらいないのに、いきなり絶体絶命だ。
「きゃああ!」
「悪いのですが、手加減するわけにはいかないのです」
エベリナの悲鳴が響く。今すぐにでも殺されてしまいそうなほどだ。
「いやぁっ! はぁ、はぁ……。なんて強さなのぉ……」
「ご主人の命令は絶対だから……」
間一髪で魔法を避けたリリアーナ。明らかに、動きが遅くなっている。
「くっ、少々分が悪いな」
「それは本心か? 本当に『少々』なのか?」
珍しく、焦りの表情を浮かべるマリア。額に浮かぶ汗を拭い、辛そうに目を瞑る。
まずい。これ以上長引かせると、全員が消耗し過ぎる。でも、範囲の狭い魔法はまるで当たらないし、味方を巻き込むような大きな魔法は打てない……。
そして、私は今、アリシアの猛攻を避けるので精一杯だ。
「どうするんだい? 君も味方も、もう危ないね?」
「馬鹿にしてるの……? 諦めるわけ、ないからね」
「いつまでそんなこと言ってられるかな?」
いつまでも、言ってやるさ。私は、みんなのために戦うって決めた。
それに、ちょっと、考えたんだ。一か八かだけど、起死回生を狙える。そんな方法を。
「あなたこそ、いつまで呑気なこと言ってられる?」
「なに? 策があるわけ?」
アリシアはあり得ないでしょ、と余裕の表情。本気で舐められてるみたいだね。
ふふ、何言ってるのかな。私だって、やればできる子ですからね……?
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