金髪、青目の美人エルフに転生!

鏡田りりか

第百六話  突然の呼び出し

「うわぁっ!」
「きゃあっ!」


 フェリオスとクララが飛んでいく。やり過ぎたと後悔しつつ、でも私はもう一発魔法を撃つ。
 サウルは苦笑い。ヴェリが楽しそうにクララを受け止めフェリオスを放置。


「いったぁ?! ちょっと、ヴェリ?!」
「ん? 女の子優先だよね、クララ?」
「残念だったね、私と一緒で」
「えぇ……」


 フェリオスが文句を言っている。けど、まあ、ヴェリはそういうやつだからなぁ。結構何事も面白がる。で、今みたいなことはよくあるわけで。ま、この程度でフェリオスが何とかなる事はまずない。
 だからまあ、こっちも安心してみてられる。ヴェリもその辺は理解してる。


 練習試合は、結構白熱する。なにせ、みんな強くなってるからね。ただ、それにしても私の相手は、ちょっと異常だと思う。
 フェリオス、レオン、ヴェリ、サウル、ニコライ、クララ、ルアンナ、ナタリア、アラーナ。
 に加えてたまにジェイド、インディゴ、スカーレット。
 ほら、おかしいじゃん! 人数が多くて、もはや私、軍と戦ってるみたいだよ。


「ねぇねぇ、文句言わないでよ。せっかくバリア張ってあげたんだからさ」
「え?! あ、ありがとうルアンナ」
「うん、気が付かなかったか。残念。でもいいや。大丈夫そうだし」


 こんな感じで、だいたい途中で試合は中止になるけど、楽しんでるからいいの。
 楽しむために、私たちは毎日戦っている。ま、練習のためでもあるけど、二の次だ。


「一応回復掛けてあげるね」
「ありがとう、アラーナー。ルアンナとアラーナ2人だけだよ、心配してくれるのー」
「あははっ。フェリはこれくらいじゃ壊れないでしょ?」
「クララ、言い過ぎだよ。今日はもう帰ろっか」


 帰ろうとしていると、ゆきちゃんがこっちに向かって走って来た。
 ゆきちゃんもたまに戦いに参加する。そういうときは、私の唯一の仲間になる。
 いつの間にかゆきちゃんも強くなってるし、そろそろ雪豹っぽい大きさになったし。


「あれ、ゆきちゃん、もう帰ろって言ってたんだけど」
「にゃあ」
「あ、なぁに?」


 ゆきちゃんは手紙を私に押しつける。私宛で、送り主は……、ジェイドだ!
 って、なんでわざわざゆきちゃん通して? 直接言ってくればいいのに。
 内容を見れば、いつか言った主人の話をしようと書いてある。
 そういえば、あれを言ったのは十月。もう二カ月も前の事か。


「ごめん、急に呼び出し入っちゃった。みんなで行ってね」
「ああ、うん。一緒にご飯食べようって言ってたんだっけ。じゃ、また今度」


 私は歩きだしたゆきちゃんについて行く。多分、案内してくれるんだろう。
 ゆきちゃんは、ちょっと後ろを振り返りつつ歩いて行く。それを見ても、案内してくれている事は分かる。










「ジェイド、来たよ?」
「あ、すみません。練習試合、してたんでしょう?」
「うん、でも平気。終わってたから」


 私が座ろうとすると、あ、と止めた。それから、椅子を立って扉をあける。


「まだ、ご飯食べてないでしょう? 二人きりになれる所があるので」
「そうなんだ? それってどこ?」
「私たちが会議に良く使うところなんですけれどね。桃色魔法衣ピンクローブの人に言っておけばいいので」
 ん? どういうこと? なんだかよくわからない事を……。










「アリアンさん、みんなに言って置いて下さい」
「……? あ! 分かりました。すぐに手配します」


 途中に会ったアリアンにジェイドはそんな事を言う。
 アリアンは分かったようで、走って消えて行った。携帯もどきを出しながら。
 あれでいいの? でも、まあいいんだろう。分かってるようだし。この辺の事は、私より周りがよく知ってるようで。










「さて。これで大丈夫でしょう」
「ここって?」
「一応、桃色魔法衣ピンクローブ以下の人は知りません」


 国の端の方、高い建物の最上階にある部屋。
 とっても綺麗なビルだ。どうやら、私たちの会議用らしいけど、当の私は知りません!
 あ、一応、冒険に行ってた時に作ったらしいし、知らないのも不思議じゃないかも。


「ソフィア様には、本当は、言いたくなかったんですけれど、仕方ないと思います」
「はっ?! あのさ、もしかして、すごい重い事?」
「結構……。あと、嫌いになってしまうかもしれません」


 それって……。ジェイドの事を嫌いになってしまうかもしれないような事なんて、想像できないよ。
 例えば、実は魔王の仲間です、と言われたらさすがに、だけどさ。でも、そんなことはない、よね?
 え、もしかして、そっちの方? ちょっと、それは考えてなかったんだけど?!


「ちょっと待って?! あ、いや、ごめん」
「はい? まあいいですけど」


 いや、それは、違うって時に困る。それは避けたい。黙っておこう。
 もしそうだったら、何とかするけど、多分違うと信じよう。


「お料理お持ちしましたよ。ジェイドさん、お願いします…………」
「ア、アリアンさん……。分かってますよ。任せて下さい」
「アリアンも、関係ある事って……」


 一つしか、思いつかない。だって、そうかなって思ってたもん。
 二つ重なったら……。もう、信じるしかないじゃん。


「心の準備は出来たよ、ジェイド。話してもらって構わない」
「はい、想像出来ちゃったみたいですね。では、食べながらで、すみません」


 ジェイドは、ゆっくりと話し始めた。

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