金髪、青目の美人エルフに転生!

鏡田りりか

第八十九話  ヘルプラントのコンボ

「うわ……。さっきより強そう」


 エベリナが嫌な顔をした。確かに、さっきよりも大きい。なんていうか、城一個相手にしてるみたいな感じだ。


 最近眼鏡は邪魔で付けてないから感覚で行くけど、魔力は普通にしてて大体200くらい。
 体内に回してあるのはだいたい6000。
 制御しておいたのは、約8000くらいだと思う。
 その計算で行けば、15000、12700位は使えるはずだ。


 さっき使ったのは硬石弾ダイヤブレッド二発と、大滝キャタラクトと、猛火ローリングフレイムの火力強め。4500って感じか。ちょっとまずいなぁ。


「ソフィ、どうするのぉ?」
「そうだなぁ……。誰か、補助魔法はかけられる?」


 エベリナが徐々に魔力が回復する魔法と、魔法攻撃力を上げる魔法をかけてくれた。これで戦えばなんとかなるかな?


 まずは酷暑インテンスヒート。これは、雷技。つまり、雷のエネルギーを熱に変換する。雲を晴らすなんかには使えないのが欠点だけど。最近知った。雷技の括りなのは、そう言う意味らしい。
 それから地獄雨ヘルレイン。ちょっぴり毒素を持つスコールのように強力な雨。こっちは、雲を作って雨を降らす。だから、空技だ。
 ちなみに、酷暑インテンスヒートなら、地獄雨ヘルレインと一緒に使える。両方雲を使っているから。


 これで熱帯のような場所が完成した。さて、いくよ?
 出ておいで! 地獄草ヘルプラント


 ぐんぐん伸びる。豆の木じゃないんだから……。まあ、蔓に顔がついたみたいな、なんとなく、似てるような……、いや、違うか。
 これでドラゴン倒せるかな? 結構強いんだ。生きてるから、根をドラゴンに生やして養分を吸い取る、なんてことまでできる。あっという間に倒せた。


「ソフィ、また来たぞ!」


 マリアの声が聞こえる。確かに、前からもう一頭。
 私は地獄草ヘルプラントをちらりと見た。うまくいくかな?


「ねえ、ジェイド、剣借りるね」
「え?! あ!」


 ジェイドの剣を魔法で引っ手繰り、目を閉じる。
 目を開けると、目の前に口を大きく開けた地獄草ヘルプラントが迫っていた。


 一瞬にして。私は、地獄草ヘルプラントに食べられた。


 押し殺したような悲鳴が聞こえてくる。それはリリアーナやジェイドたちも例外ではない。
 っていうか、私の地獄草ヘルプラントに剣向けてる人がいるんだけど?!
 それはいいけど、ちょっと痛いかも……。結構歯が鋭いのね……。
 まあ、食べられたっていうより、咥えられたっていう方が正しいと言うか。こうやって運んで貰うと結構速いな。


 地獄草ヘルプラントは私が指示した通り、いや、それよりもずっと丁寧にほかの蔓の上に乗せてくれた。
 私は足が着いたのを確認してから走り出した。地獄草ヘルプラントは指示していないけれど、私のことをそっと補助してくれる。


「行くよ! 集まって!」


 剣に猛火ローリングフレイムを纏わせ、私は蔓から飛び降りた。
 私が斬りかかるのに合わせて、ほかのたくさんの蔓も噛み付く。狙うはドラゴンの首!
 思ってたより、ざっくりと切れた。返り血は地獄草ヘルプラントが葉っぱで防いでくれたから掛からない。
 地面に着く前に蔓は私をパクッと咥えた。そのまま動いて、ジェイドのすぐそばにそっと降ろす。


「す、すごい……。さすがは勇者様……」
「そんな連携ができるなんて……」


 ジェイドに剣を返すと、ちょっと溶けたのを気にしているようだった。悪かったと思うけど、重い剣の方が有効だし……。
 ごめん。後で直すから許して。そんな顔しないで。


「う……。分かりました。えっと、すごい上手いですね、動かすの」
「いや、この子は意思があるの。生きてるの」
「……? 冗談ですか」


 え? いやいや、そんな訳……、ん? おかしいな……。噛み合わない。
 まあいいや。それより、残りの2頭だ。こっちに来るかな? この子動けないし。でも、もう一度やるのは……。まあ、無理だろうなぁ。


<え? 誰が動けないって?>
「うわあああ?! うっそ!」
「な、なんですか。いきなり大きな声出して……」


 今、喋ったの、だって、この子……。


<む……。ボクら、頑張ったのに!>
<ねえ、ボクら、動けるよ。行こうよ>
<知ってる? 今ご主人様がやったのね、ボクらが一番うまく動けるコンボなんだよ>


 ああ、それで……。覚えておこ。なにか便利かもしれない。
 なんだっけ? 酷暑インテンスヒート地獄雨ヘルレインで、地獄草ヘルプラント……。魔力3000も使うじゃん! 無理だ! って、もう7500も使っちゃったのか。


「で、どうしますか?」
「う……。うん、じゃ、みんな、行こっか」
 根っこを前に伸ばして、後ろの根っこが枯れていく。ああ、歩くってそういうことね。


「うわああああ! なんだこれ?!」
「ちょ、ええええ?!」


 兵士たちが大慌て。まあ、リリアーナとエベリナはちょっと怯えながらだけど、マリアとジェイドはもう慣れたのか、割と平気そうだった。


<見つけた! 吸い取り攻撃ドレインアタックー>
吸い取り攻撃ドレインアタックー>


 見つけるなり、根っこがドラゴンに絡みついた。なんか、この子達、どんどん大きくなってるんだけど。


<わあい! またご飯きた! 吸い取り攻撃ドレインアタックー>


 なんだか、結局こんな感じで、あっさりとドラゴンは退治された。

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